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守護者と立ち向かう新ループ

神殿に来ないバルカス王子2

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「……カーナ。私はバルカスが好きよ。彼と結婚できるのが子供の頃から楽しみだったの。だけど、何回繰り返しても彼は私を愛さず、憎む」

 カーナの琥珀の双眸がマーゴットの光る緑の瞳を見つめている。

「バルカスが君を見てくれるようになるまで、ループを繰り返すつもりだったのかい?」
「………………」

 改めて人からそう言われると、しみじみ辛い。

 親友のグレイシア王女には『馬鹿女』とまで罵られている。自分でも愚かなことだと思う。

「どんな選択が正解かわからないの。私が女王になるのは変えられない。そのとき、バルカスに隣にいて欲しかった」

 やはり、誤りを正すところから始めるべきなのだろう。

「ごめんなさい。すぐにバルカスを見捨てることはできないわ。でもその前に、できることをやるつもり」

 カーナと神官を見ると、二人ともその通りと言うように頷いた。

「バルカスは王太子ではない。まずは彼に偽りの王太子を名乗るのを止めさせてみようか」

「それでバルカスは変わるかしら?」

「バルカスが君を軽視するのは、自分が王太子で君より立場が上だと思っているからだ。その誤解を正せば変わらざるを得ないはずだ」

 そこで、バルカス王子の王太子詐称の改善を修正するよう、神殿側から王家に対して警告を出してもらうことにした。

「そもそも、神殿としてはバルカス王子に仮とはいえ王太子を名乗らせることに反対でした。王族の序列を乱しますから、当然です」

「雑草会も反対していたと聞きます」

「ええ。もちろん私も雑草会の会員ですから存じております。ですが、当時、血筋順位一位のダイアン国王が周囲の反対を押しきってしまった」

 神官は憤慨している。
 この件があるせいで、本来なら王家を積極的に支援するはずの神殿も、王族の親戚集団の雑草会も険悪な仲が続いている。

「まあ、オレはしばらくこの神殿に滞在する。いつでも会えるから遊びにおいで」

 それで話は一区切りだ。


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