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再びのループ~真実の愛を破壊する
バルカス王子の横領と悪辣2
しおりを挟む◇◇◇
「マーゴット、あいつこそ娼館に売り飛ばしてやればいいんだろうな。腐っても公爵令嬢だ、高く売れるだろう」
今回の人生でも、やはりバルカス王子は同じ悪辣な発言を繰り出して、取り巻きたちと笑っていた。
「………………」
マーゴットが中庭のあずまやの中で、同盟国からの留学生のグレイシア王女とランチを取っていたのも同じ。
「うむ、良い考えだ」
「バルカス王太子殿下、本当に娼館にマーゴット様を売り飛ばすんですか? 何かあたし、怖いな……」
バルカス王子の恋人、女生徒ポルテが震えて自分の身を抱き締めている。
「町のごろつきどもに誘拐させて娼館に売り飛ばす。程々のところで回収して純潔を失った頃に、それを理由にした婚約破棄でもいいな。娼館に売り飛ばした金と、不貞の慰謝料の二重取りができる。だろう?」
そう言ってバルカス王子は笑っていた。
「マーゴット……。お前の婚約者はとんでもないことを話しているな」
同盟国からの留学生、グレイシア王女がサンドイッチを食べながら、バルカス王子たちのほうを呆れた顔で見ていた。
「マーゴット嬢を誘拐? 娼館? 馬鹿な! そんなこと絶対にさせやしません!」
一緒にランチを食べていた騎士団長令息が憤慨している。
今回の人生では、学園内だけでもと騎士団に依頼して護衛を付けて貰っている。
ちょうど騎士団長の三男である彼が同学年同クラスだったので、側にいるのだ。
今では親しい友人の一人となっている。
「バルカス王子、年々アホになってますねえ。周りも見えてないし」
こちらはピクルスを摘んでいる、やはり同じクラスの伯爵令嬢だ。
卒業後は王宮で女官となり、将来的に女王に即位するマーゴットの側近になる女生徒の一人である。
「ふむ。悪辣なことを言って喜んでいるのは、バルカス王子と取り巻きたちだけなのだな。周りの生徒たちが非難する目で見てることにも気づいてない」
「将来、王配としてマーゴット様を支える立場なのに、周囲の空気に鈍感なのはいただけませんねえ。帰ったら父と兄に報告しておきます」
伯爵令嬢の家は、カレイド王国の諜報部に関わっている。
彼らが本気を出せば、バルカス王子は文字通り“終わり”だ。
「ですが誘拐や娼館云々とは危険なことです。まずは学園長に報告へ参りましょう」
あずまやから離れた場所にいたバルカス王子たちは食事を終えて中庭を出て行った。
マーゴットたちは止まっていたランチの続きを堪能し、教室には戻らず学長室へ向かうことにした。
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