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side 王子 姉妹から試練の追加。オリハルコン100g!

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 マリオンとの偶然の再会から半月。
 もう12月に入っていた。

 エドアルド王子はひたすらミスラル鉱山にこもり、キングミスラルスライムと格闘し続けた。
 最終的には、不安定だった聖なる魔力を剣に乗せることができて、クソ硬いミスラル銀を含んだスライムを破裂させて勝利に至る。

 命からがら無事に討伐し、ミスラル鉱脈から原石を採掘して速攻で精製させて、王都の冒険者ギルドへ駆け込むと。

 そこで待っていたのはマリオンの祖父ダリオンではなく、彼の遠縁のハスミンとガブリエラ姉妹だった。

「エド。悪いけどマリオンは留守よ」
「ダリオン君と盗まれた魔導具の調査に行ってるの。帰ってくるのは遅くなるわよー」
「そんなあ……」

 マリオンに今度こそ謝れると思ったのに。

 仮にも王子のエドアルド王子との話を、立ち話で済ませるわけにもいかない。
 姉妹はマリオンから預かっていた鍵で冒険者ギルドの研究室に入り、王子を促した。

「ルミナスちゃんから聞いたわよう~。あの子からも試練を申し渡されたんですって?」

 姉ガブリエラがお茶を入れている間、妹ハスミンがエドアルド王子に確認した。

「黄金龍の鱗とか一角獣の角とか言われたけど無理だよ……それ大陸の守護者の神獣様じゃん」
「あら、一昔前なら不定期に流通してたわよ。鱗も角も自然に剥がれ落ちるらしくて、人間の国に下賜されてたの」
「!」

 何と可能性があるのか!

「同等の神獣のものでもいいし、……そうね、私たちも課題を出しましょうか」

 ガブリエラが紅茶と茶菓子のカップケーキを持ってきた。
 ここは応接室ではなく研究室なので紅茶は紙コップで、カップケーキの材料には例のマンドラゴラもどきが入っているが。

「か、課題? 課題って!?」

 この、マリオンの遠縁のお姉さんたちは、幼い頃、エドアルド王子がマリオンの実家に滞在していたとき、ごく短期間だけ訪れて遊んでくれた人たちだ。
 とても力のある魔力使いで、もう数百年は生きていると聞かされているが、外見からは美しい姉妹という以外は何もわからない。
 時折、タイアド王国のエドアルド王子のもとへも訪れては、王子たちの前世のことや、彼女たちのファミリーのエピソードを語って帰っていく。

 近年は弟子の育成に一区切りついたそうで、世界中を旅していると聞いていた。

「ミスラル銀ときたら、やはり次は」
「オリハルコンね、お姉様!」
「…………………………オリハルコンが出土するのは高ランクダンジョン限定でしょ……」

 実は王子、キングミスラルスライムを討伐しまくったお陰で、騎士ランクと冒険者ランクがBからAに上がったばかりだ。
 しかし、オリハルコンが出るダンジョンとなると、新米Aランクにはちょっと厳しいかもしれない。

「別に無理にとは言わない。でもね、ダリオンは遅くともマリオンの誕生日までには帰国させるつもりでいるわよ」
「マリオンの誕生日って……さ、3月!」

 現在は12月。マリオンは3月の半ばが誕生日だからもう3ヶ月あるかないかだ。

「幸い、このタイアド王国にはオリハルコンが出るAプラスダンジョンがあるわね。行くか、やめるか。二つに一つよ」

 藍色の長い髪と水色の瞳の姉ガブリエラに、じーっと見つめられた。
 強い圧があるわけでもないのに肝が冷えそうになる。
 妹のハスミンは魔女だし占い師だが、姉の彼女は魔力使いなのは確かだが称号や職業、スキルなども謎の人物だ。冒険者としては鎌使いで登録していて、魔物との戦闘時には大鎌を操っている。

 討伐の現場でもないのに、ここが戦いの正念場だとエドアルド王子は感じた。
 多分ここで無理だと押し通したら、一生マリオンには会えない気がする。

「……オリハルコン。どのくらいの分量持ってくればいいですか?」
「そうね、100グラムもあれば十分じゃないかしら」
「んまあああ! お姉様ったら。それミスラル1キロより大変じゃない?」

 エドアルド王子への試練は今のところ次の通り。

 その1、ダリオンからミスラル銀1キロ。
 クリア!

 その2、綿毛竜コットンドラゴンのルミナスから黄金龍の鱗と一角獣の角。
 そんなの無理!

 その3、姉妹の姉ガブリエラからオリハルコン100グラム。
 無理ゲーではないですか……?


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