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【家出少年ルシウスNEXT】ルシウス君、冒険者になる
ポイズンオイスター祭り
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冒険者ギルド・ココ村支部のある海岸にやってくる魔物は、お魚さんだけではない。
シーフード系がまんべんなく襲来する。
今回やってきたのは。
「ポイズンオイスターだー! ポイズンオイスターが群れでやってきたぞー!」
ギルドに駆け込んできた冒険者の叫びに、職員たちも冒険者たちも一気に殺気だった。
「来たか……」
壁に掛けていた自分の大剣に手を伸ばす髭面ギルドマスター。
「祭りだな……」
「ああ。今夜は眠れないやつだ」
男の冒険者たちと頷き合っていた。
女の冒険者たちは、どちらかといえば呆れ顔だ。
「あははははは! なにあれなにあれ! かわいい! ゆるキャラ系!」
ギルドの窓からは、砂浜近くの浅瀬に「ぬぼー」と立ち尽くしているポイズンオイスターたちが見える。
なかなか可愛らしい外見に、ルシウスは大喜びだ。
ポイズンオイスターは牡蠣の魔物だ。
縦になった細長い二枚貝の下側に、短い脚が申し訳程度に二本生えている。
中身のちょっとほんのり緑がかった黒縁の白いふわふわした身と相まって、妙に可愛い。
貝だから特に顔などはないのだが、フォルムがゆるキャラ系だ。
ただし、デカい。
まだ子供のルシウスの背丈より大きいものが大半だ。
「ルシウス! ポイズンオイスターは殻に毒がある。あのザラザラした殻で傷つけられると、毒と治りにくい傷でやられちまう」
「了解です! あれも核を破壊すればいいの?」
貝柱付近に剣をぶっ刺せばいいのか?
「ノー! ポイズンオイスターは一体につき二人体制でかかる。あの二枚貝が開いて中身が出たところを狙って、貝を真っ二つに割る。それでミッションクリアーだ」
そしてルシウスが渡されたのは、分厚いゴム手袋とゴム長靴だった。
「奴らはそんなに強くない。動きも鈍いから気をつければ平気だが、念のためな」
「さあ……行くぜ野郎ども!」
「「「おー!!!」」」
「あ、ほんとだ。ノロマなんだね、足も遅い」
今回出没したポイズンオイスターは十数体。
お魚さんタイプと違って、短い脚でよちよち歩くから攻撃を避けるのは簡単だ。
ギルドマスターが倒し方の見本を見せてくれた通りに、牡蠣の殻を広げて“蝶つがい”部分をバキッと破壊してしまえばお仕舞いだった。
「お?」
二枚貝を力任せに割ると、一瞬だけ光った後にポイズンオイスターは消えた。
後には、バラバラと普通サイズの牡蠣が砂浜に落ちていく。
一体につきざっと20から30個の牡蠣が落ちている。
「よしっ。坊主、牡蠣は全部拾ってくれ!」
「あれっ、オヤジさん!?」
振り向くと、ゴム手袋にバケツを持った食堂の料理人のオヤジさんがいるではないか。
「オヤジさん、非戦闘員なのに危ないよー?」
「ポイズンオイスターが来たときだけは別だ。こいつらそんなに危険はないし、牡蠣はすぐ下処理したいからな」
「この牡蠣、毒あるんでしょ? 毒消し飲みながら食べさせる気?」
ルシウスはお腹も大変丈夫なお子さんだったが、さすがにそれはイヤだなーと顰めっ面になった。
「毒があるのはデカいときだけだ。こいつは普通の牡蠣が魔力を帯びて合体した魔物なんだよ」
さくさくバケツに牡蠣を放り込んでいく。
「魔力を帯びてって。……その魔力、どこから来てるんだろ?」
首を傾げたものの、考えごとは後だ。
ポイズンオイスターの殻を壊しては、元に戻った小さな牡蠣を回収していった。
シーフード系がまんべんなく襲来する。
今回やってきたのは。
「ポイズンオイスターだー! ポイズンオイスターが群れでやってきたぞー!」
ギルドに駆け込んできた冒険者の叫びに、職員たちも冒険者たちも一気に殺気だった。
「来たか……」
壁に掛けていた自分の大剣に手を伸ばす髭面ギルドマスター。
「祭りだな……」
「ああ。今夜は眠れないやつだ」
男の冒険者たちと頷き合っていた。
女の冒険者たちは、どちらかといえば呆れ顔だ。
「あははははは! なにあれなにあれ! かわいい! ゆるキャラ系!」
ギルドの窓からは、砂浜近くの浅瀬に「ぬぼー」と立ち尽くしているポイズンオイスターたちが見える。
なかなか可愛らしい外見に、ルシウスは大喜びだ。
ポイズンオイスターは牡蠣の魔物だ。
縦になった細長い二枚貝の下側に、短い脚が申し訳程度に二本生えている。
中身のちょっとほんのり緑がかった黒縁の白いふわふわした身と相まって、妙に可愛い。
貝だから特に顔などはないのだが、フォルムがゆるキャラ系だ。
ただし、デカい。
まだ子供のルシウスの背丈より大きいものが大半だ。
「ルシウス! ポイズンオイスターは殻に毒がある。あのザラザラした殻で傷つけられると、毒と治りにくい傷でやられちまう」
「了解です! あれも核を破壊すればいいの?」
貝柱付近に剣をぶっ刺せばいいのか?
「ノー! ポイズンオイスターは一体につき二人体制でかかる。あの二枚貝が開いて中身が出たところを狙って、貝を真っ二つに割る。それでミッションクリアーだ」
そしてルシウスが渡されたのは、分厚いゴム手袋とゴム長靴だった。
「奴らはそんなに強くない。動きも鈍いから気をつければ平気だが、念のためな」
「さあ……行くぜ野郎ども!」
「「「おー!!!」」」
「あ、ほんとだ。ノロマなんだね、足も遅い」
今回出没したポイズンオイスターは十数体。
お魚さんタイプと違って、短い脚でよちよち歩くから攻撃を避けるのは簡単だ。
ギルドマスターが倒し方の見本を見せてくれた通りに、牡蠣の殻を広げて“蝶つがい”部分をバキッと破壊してしまえばお仕舞いだった。
「お?」
二枚貝を力任せに割ると、一瞬だけ光った後にポイズンオイスターは消えた。
後には、バラバラと普通サイズの牡蠣が砂浜に落ちていく。
一体につきざっと20から30個の牡蠣が落ちている。
「よしっ。坊主、牡蠣は全部拾ってくれ!」
「あれっ、オヤジさん!?」
振り向くと、ゴム手袋にバケツを持った食堂の料理人のオヤジさんがいるではないか。
「オヤジさん、非戦闘員なのに危ないよー?」
「ポイズンオイスターが来たときだけは別だ。こいつらそんなに危険はないし、牡蠣はすぐ下処理したいからな」
「この牡蠣、毒あるんでしょ? 毒消し飲みながら食べさせる気?」
ルシウスはお腹も大変丈夫なお子さんだったが、さすがにそれはイヤだなーと顰めっ面になった。
「毒があるのはデカいときだけだ。こいつは普通の牡蠣が魔力を帯びて合体した魔物なんだよ」
さくさくバケツに牡蠣を放り込んでいく。
「魔力を帯びてって。……その魔力、どこから来てるんだろ?」
首を傾げたものの、考えごとは後だ。
ポイズンオイスターの殻を壊しては、元に戻った小さな牡蠣を回収していった。
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