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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中
8.鮭の人の環《リンク》覚醒ハイ~そもそも人に好かれるタイプではなかった
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ところで、当たり前の顔をしてトオンの古書店にいるが、鮭の人ヨシュアは現在、カーナ神国の宰相位を拝命している。
支配者ピアディに次ぐ事実上のナンバー2だ。
忙しい身のはずだが、本当にこんなところにいて大丈夫なのかというアイシャたちの心配は、本人が極めて 仕事できる男と判明して解決した。
そもそも、鮭の人がこの国で受け入れられた理由も独特だった。
他国人だったヨシュアが新生カーナ神国の政務顧問、そして間を置かず宰相に就任するにあたって、旧カーナ王国首脳部が大半の共和政実現会議メンバーたちの反感はなかったのだろうか?
結果からいえば、ほぼゼロだった。
というのも、既に現地で聖剣の聖者として受け入れられていたルシウスが、常に『私の可愛い甥っ子自慢』を繰り広げていたからだ。
それがヨシュア・リーストという人物の事前周知になっていたのだ。
それは聖女として国民に愛されていたアイシャも同じだった。
自分が王家から虐げられ追放された後の困難な時期に、美味しい鮭を送ってきてくれた恩人として『鮭の人』のことを機会があればいつでも人々に語り続けていたわけで。
「私、ヨシュアさんが送ってくれた鮭の美味しさで、本当に救われたの」
「祖国ではファンクラブまであるほど、人気の方なのよ。私も及ばずながら鮭へのお礼を兼ねて記事を寄稿させてもらったの。ほら、これ……」(と環内から取り出したユーグレン責任編集のヨシュアファンクラブ会報を皆に回覧した)
「私たちの仲間のカズンの幼馴染みでね。ルシウスさんによると、カズンが大好きな人なんですって」
結果、ほとんど初対面にも関わらず、聖女アイシャの恩人にして、そのアイシャの師匠ルシウス最愛の甥っ子という地位が確立されていたわけだ。
ついでに、聖女投稿事件で聖女アイシャを助けた重要人物、カズンの親しい友人であることも教えておいた。
それとなく注意事項として、強火のカズン過激派、同担拒否派とも。
これならよほど空気が読めない者でない限り、彼らの間に割り込む不粋者も出ないだろう。
といった事情を知った鮭の人ヨシュアの顔は見ものだった。
「お、おまえ、ヨシュア! ははははは!」
叔父によく似た麗しの顔は呆気に取られていたし、その表情を見て幼馴染みのカズンなどは黒縁眼鏡を落とさんばかりに爆笑していた。
「………………っ、叔父様ほんと、何してくれて……い、いえ、別に悪いことではないですけど、でも!」
叔父ルシウスに憤慨していた鮭の人だったが。
「安心してくれ、ヨシュアさん。俺たちもあなたのことはちゃんと周りに説明していたから!」
「え?」
トオンの言葉に、思わず鮭の人が動きを止めた。
恐る恐る振り返ると、キラキラと、蛍石の薄緑色の瞳と、飴のような茶の瞳をそれぞれ輝かせたトオンとアイシャがいた。
う、と鮭の人は言葉に詰まった。今までの人生で美貌に注目される以外の、こんな無条件の信頼の表情を向けられたことなど滅多になかったからだ。
※「強火のカズン過激派、同担拒否派」←
色んな意味で笑える表現ですな……同担拒否……
別ページで連載中の「裏・聖女投稿」もよろしくお願いします!
支配者ピアディに次ぐ事実上のナンバー2だ。
忙しい身のはずだが、本当にこんなところにいて大丈夫なのかというアイシャたちの心配は、本人が極めて 仕事できる男と判明して解決した。
そもそも、鮭の人がこの国で受け入れられた理由も独特だった。
他国人だったヨシュアが新生カーナ神国の政務顧問、そして間を置かず宰相に就任するにあたって、旧カーナ王国首脳部が大半の共和政実現会議メンバーたちの反感はなかったのだろうか?
結果からいえば、ほぼゼロだった。
というのも、既に現地で聖剣の聖者として受け入れられていたルシウスが、常に『私の可愛い甥っ子自慢』を繰り広げていたからだ。
それがヨシュア・リーストという人物の事前周知になっていたのだ。
それは聖女として国民に愛されていたアイシャも同じだった。
自分が王家から虐げられ追放された後の困難な時期に、美味しい鮭を送ってきてくれた恩人として『鮭の人』のことを機会があればいつでも人々に語り続けていたわけで。
「私、ヨシュアさんが送ってくれた鮭の美味しさで、本当に救われたの」
「祖国ではファンクラブまであるほど、人気の方なのよ。私も及ばずながら鮭へのお礼を兼ねて記事を寄稿させてもらったの。ほら、これ……」(と環内から取り出したユーグレン責任編集のヨシュアファンクラブ会報を皆に回覧した)
「私たちの仲間のカズンの幼馴染みでね。ルシウスさんによると、カズンが大好きな人なんですって」
結果、ほとんど初対面にも関わらず、聖女アイシャの恩人にして、そのアイシャの師匠ルシウス最愛の甥っ子という地位が確立されていたわけだ。
ついでに、聖女投稿事件で聖女アイシャを助けた重要人物、カズンの親しい友人であることも教えておいた。
それとなく注意事項として、強火のカズン過激派、同担拒否派とも。
これならよほど空気が読めない者でない限り、彼らの間に割り込む不粋者も出ないだろう。
といった事情を知った鮭の人ヨシュアの顔は見ものだった。
「お、おまえ、ヨシュア! ははははは!」
叔父によく似た麗しの顔は呆気に取られていたし、その表情を見て幼馴染みのカズンなどは黒縁眼鏡を落とさんばかりに爆笑していた。
「………………っ、叔父様ほんと、何してくれて……い、いえ、別に悪いことではないですけど、でも!」
叔父ルシウスに憤慨していた鮭の人だったが。
「安心してくれ、ヨシュアさん。俺たちもあなたのことはちゃんと周りに説明していたから!」
「え?」
トオンの言葉に、思わず鮭の人が動きを止めた。
恐る恐る振り返ると、キラキラと、蛍石の薄緑色の瞳と、飴のような茶の瞳をそれぞれ輝かせたトオンとアイシャがいた。
う、と鮭の人は言葉に詰まった。今までの人生で美貌に注目される以外の、こんな無条件の信頼の表情を向けられたことなど滅多になかったからだ。
※「強火のカズン過激派、同担拒否派」←
色んな意味で笑える表現ですな……同担拒否……
別ページで連載中の「裏・聖女投稿」もよろしくお願いします!
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