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第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン

身ぐるみ剥いでお外にぽい

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 なお、ランクを満たさないのに挑戦しようとダンジョンに侵入したり、内部のダイヤモンドやアダマンタイトを不法に盗掘しようとしたりする輩が出たらどうするか?

 その場合はお仕置きすることにした。

「ぷぅ(ふこころえなふとどきものは、みぐるみはいでお外にぽいなのだ)」
「え?」
「ぷぅ(お外にぽい)」
「いやその前」
「ぷぅ~(みぐるみはいでしまえー)」

 穢れなきウルトラマリンの鮮やかな瞳でピアディは皆を見上げた。
 まったく、何ひとつたりとて、自分の発言に疑いを持っていない純粋であどけない顔をしている。

「良いと思います。身の程知らずが挑むと身ぐるみ剥がされて外部に放り出される。そういうダンジョンだって周知させましょう」

 いいね、とヨシュアがグッと親指を立てて笑った。like it!

 この二人はもしかしなくても、組ませてはいけない人種かもしれない。

「え、でも。誰が剥ぐの?」
「ラスボス様の叔父様にやらせるわけにはいかないし。かといって、ランクの低い者だと冒険者たちに負ける危険性もあるしで」

 うんうんと秘書ユキレラが頷いている。彼もリースト一族の魔法剣士の端くれだそうだが、ランクはC止まりだそうだ。
 同じランクやそれ以上の冒険者相手だと苦戦してしまう。

「中ボスとしてオレがやりましょう。実はオレ、叔父様のせい……いや自分の魔法剣を犠牲に……いやいや、ダンジョン踏破のために魔法剣の大半を手放した結果、〝大魔道士〟の資格を得たんです」
「大魔道士!? それは魔力使いの最上級ではないか!」

 場が騒然となった。大魔道士は聖女や聖者といった聖なる魔力持ち以外の、魔力使いの最高峰である。

 チクチク言葉で刺されているルシウスは、表情こそ人前のため変わらなかったが、少し落ち込み気味だ。

「ええ。それに伴い、だいぶステータスも向上しました。この力でどんな相手でも鮮やかに身ぐるみ剥いでみせますよ」
「ぷぅ!(さいあい、すてきなのだー!)」
「華麗な追い剥ぎ宣言……」

 麗しく笑う鮭の人ヨシュアに、ピアディは絶賛していたし、アイシャやトオンといったファンは賛意を示した。
 彼と親しい叔父のルシウスや幼馴染みのカズン、それにファンクラブ会長のユーグレンなどは「仕方のないやつだ」と苦笑している。

 共和制実現会議の他の面々はやや引き気味だったが、代表して元宰相のベルトラン侯爵が挙手した。

「その、ヨシュア殿。挑戦者たちから剥いだ装備等はどうなされるので?」
「没収です」
「没収」
「迷惑料ですよ。命まで取るわけじゃありませんのでご安心ください」
「あまり……安心できる要素はない……ような……」

 だがヨシュアは強引に押し通した。麗しの顔面の威力を存分に使って誰にも有無を言わせず、〝そういうダンジョン〟として永遠の国に申告し、冒険者ギルドにも周知させるよう求めたのだった。

「わあー。本当にこの国、ルシウスさんの一族に掌握されちゃったね」
「でも悪くないわ。けどルシウスさん、本当にいいの? カーナ神国じゃなくてルシウス神国でもいいのよ?」
「よしてくれ、自分の名前を国に付けるだなんて、さすがに恥ずかしい!」

 なお、会議のメンバーたちは最後まで『アイシャ聖国』案を推していたことを付記しておく。



 いろいろ話し合った結果、ダンジョンの入口は旧王城の庭園のままで、冒険者ギルドが管理する。

 だが、ボスのルシウスたちまで同じ出入口を使用するのは不便だということで、何と。

「屋敷の内部から地下ダンジョン最深部への直通通路を作った」

 通路と言いながら、実際はエレベーター式の魔導具だ。数分で地底深くまで降りられる。
 ちょうど、魔導具師でもある神人ジューアがいたのも良かった。設計から実際の設置まであっという間に完了している。

「ピュイッ(ぼくも遊びに行けるようになったんだよ)」

 綿毛竜コットンドラゴンのユキノも広い遊び場ができたと喜んでいる。

 綿毛竜コットンドラゴンのランクはBからS、あるいはそれ以上になる個体もいる。地下ダンジョンは修行場としても最適らしい。

「ピゥ……(ベビーたちもいたら一緒に遊べたのにね)」
「ユキノ君……」

 しんみりとした鳴き声に、皆も悲しい気持ちを思い出してしまった。

 ユキノが言うには、雛竜たちの死亡を彼以外の親竜たちも深く悲しんでいるという。

 だが、しばらく泣いた後で大半は立ち直り、また次のこどもを作ろうと張り切っているそうだ。

「ピュイッ(しばらくしたら新しいベビーたちが来るよ。またみんなで可愛がってあげてね)」
「ええ。もちろん」

 けれどその雛竜たちは、アイシャたちがもふもふ戯れていた仔たちではないのだ。

 今夜も雛竜たちを思い出して、泣いてしまいそうな予感がした。









※雛竜たちを忘れてない。忘れてなんかないぞー( ´•̥ω•̥`)





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