上 下
750 / 801

750 論功行賞Ⅳ(7回目)

しおりを挟む
 武将達が勢揃いするのってそうあることではないので、強引に侍大将に任命することで皆の興味を引き、実際に強さを見せることで『このバカみたいに強い男は俺の親父だ!』と紹介しておいた。

 そもそも軍にいなかったのだから、当然実績はゼロだ。
 しかし『俺の親父』ってだけで、秘められた有能さに説得力があるのだよ!

 ただの知り合い程度ならどれほど強かろうが信用されないだろうけど、ミスフィート軍の軍師として数々の実績を残してきた俺の親父なのだからな。

 あとは道路公団以外にも内政で実力を見せれば、すぐにでも皆に認められるんじゃないかな?


 ・・・さて、残すはアレ・・だけだ。


「おそらくもう皆聞いていると思うが、つい最近三河との取引が成立し、堺ダンジョンを三河に貸し出すことで此方はアリアダンジョンを借りられることになった」


 こんな面白そうな話が噂にならないわけがなく、全員知っているようでウンウン頷いている。


「アリアダンジョンは、そこに座ってる『ゴブ夫』と同じ姿の凶悪なゴブリンが出現するダンジョンなんだが、魔石を集めることでガチャが回せるという話も聞いているだろう?」


 全員がウンウン頷いた。


「それで身分上位者から数名ずつ、『アリアダンジョンでガチャを回そうツアー』を開催中なんだけど、ご存じの通り、目玉商品はミスフィート軍の女性達が着ている美しい服だ!それ以外にも魔道具や家具なんかも手に入れることが可能だ」


 全員の目が輝き出した。


「今まではアリアダンジョンに行く手段が限られていたので、俺くらいしか行くことが出来なかったんだけど、なぜか俺には『女性服しか出ない』という謎の呪いが掛かっていて何度やってもダメだったんだ。しかし本当は男性服も出るんだよ!」


「「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」」


「例えばそう、親父が着ている『大バカ殿様の衣装』だ!」


 親父の金ピカの衣装を見た男性陣が、棒のような目になった。


「スマン。あの衣装はちょっと敷居が高すぎるが、ルシオが着ている格好良い服なんかもガチャの景品だ!俺は呪いが掛かっているのでゲットすることは出来ないが、男性陣はこれを機会に自力で格好良い服を手に入れてくれ!」


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」


 男だって良い服が着たいのだ。皆の気持ちはすごく分かるぞ!


「ハイ静粛に!!実は最近、三河大名の清光さんと勝負をして大勝利し、俺はとんでもない服を手に入れてしまったのだ。今『女性服しか出ない』呪いが掛かっていると言ったばかりだが、この服はちょっと特殊でな。まあ、こうして武将全員が集められる機会もなかなか無いので、折角なので披露しようと思う!」


 その言葉を聞き、親父が目を大きく開いた。


(お前、正気か!?)
(アリアダンジョンのメンバーが変わる度に変身してみせるのが面倒になった。全員揃っている状況で見せれば一回で済む!)
(なるほど。一撃で楽になる道を選んだか・・・)


 さあ、いくぜ!!


「ガチャの大当たりというモノを教えてやる。赤者せきしゃ!」


 ブンッ! ブンッ! ブオンッ!


 ポーズを決めた瞬間、赤い流星の衣装から宇宙刑事シャアリバーンの衣装にチェンジしたのが分かった。


「宇宙刑事」


 シュピン! シュピン! ピュオーン!


「シャアリバーン!」


 そして玉座の間に集められた武将全員の脳内に変身ムービーが流れ、俺だけ盛大にスベったような状態で放置されることとなる。

 当然『ぼやきキャンセル』はナシだ。

 ムービーを完走させることで、『最後まで見たかったからもう一度変身してくれ』と言われないようにしておくのだ。

 自分では見ることが出来ないが、心ゆくまで俺の格好良い変身シーンを堪能してくれたまえ!



「「なんだこりゃああああああああああああああああああああ!?」」


 どうやら全員現実世界に戻って来たようだ。


「意味不明だけど、死ぬほど格好良かった!!」
「謎の敵と戦ってたよな!?」
「なんか歌が流れてたよ?」
「あーーーーーっ!見て見て!小烏丸があの衣装を着てる!!」
「まるで意味が分からん!!」
「ガチャってすげーな!」


 突然の謎現象に、玉座の間は大騒ぎだ。


 ・・・でもまだ半分だぜ?


「これが『宇宙刑事シャアリバーン』の衣装だ。マジで凄かっただろ?しかーし!実はそこにいる大バカ殿様も宇宙刑事の衣装を手に入れた強運の持ち主なのだ!」


 それを聞き、親父が『やられた!』って顔になった。


「お前、最初から俺も巻き込むつもりだったな!?」
「見せちまえばもう怖いものなど無い!やるしかねーんだよ!」
「まあ言いたいことは分かる。しゃーねえ、やるか!!」


 親父と場所をチェンジした。


常着じょうちゃく!」


 シュッ シュッ シュパッ!


 その瞬間、大バカ殿様の姿が宇宙刑事ギャラバーンになった。


「宇宙刑事」


 シュッ シュッ ジャキン!


「ギャラバーン!!」


 そしてやはり自分の名前を叫んだタイミングでナレーションが流れ始め、そのままムービーが始まった。

 しかし親父も俺と同じことを考えたのだろう。『ぼやきキャンセル』が無かったので、最後までムービーを見ることが出来た!


「「うおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 今度は全員がそういうモノなんだと認識していたので、普通に大歓声に包まれた。
 元ネタを知らない人達からしたら、おそらく普通に格好良く感じるハズだしな!


「俺からは以上だ」


 ニヤニヤしているミスフィートさんと場所を交代した。


「今回の論功行賞はこれで終了とする!皆の者、長い時間ご苦労であった!明日も休日とするので、今夜は思う存分飲んで騒いでくれ!」


「「ヒャッホオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 こうして第7回論功行賞は終了した。
 出世したみんな、本当におめでとう!!



 ◇◇◇



 お気に入り登録やコメント、そして誤字報告をしてくれた皆様。
 いつも本当に感謝しております!これからも応援宜しくお願いします。
 
しおりを挟む
感想 419

あなたにおすすめの小説

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

Crystal of Latir

ファンタジー
西暦2011年、大都市晃京に無数の悪魔が現れ 人々は混迷に覆われてしまう。 夜間の内に23区周辺は封鎖。 都内在住の高校生、神来杜聖夜は奇襲を受ける寸前 3人の同級生に助けられ、原因とされる結晶 アンジェラスクリスタルを各地で回収するよう依頼。 街を解放するために協力を頼まれた。 だが、脅威は外だけでなく、内からによる事象も顕在。 人々は人知を超えた異質なる価値に魅入られ、 呼びかけられる何処の塊に囚われてゆく。 太陽と月の交わりが訪れる暦までに。 今作品は2019年9月より執筆開始したものです。 登場する人物・団体・名称等は架空であり、 実在のものとは関係ありません。

異世界でスローライフを満喫する為に

美鈴
ファンタジー
ホットランキング一位本当にありがとうございます! 【※毎日18時更新中】 タイトル通り異世界に行った主人公が異世界でスローライフを満喫…。出来たらいいなというお話です! ※カクヨム様にも投稿しております ※イラストはAIアートイラストを使用

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

素質ナシの転生者、死にかけたら最弱最強の職業となり魔法使いと旅にでる。~趣味で伝説を追っていたら伝説になってしまいました~

シロ鼬
ファンタジー
 才能、素質、これさえあれば金も名誉も手に入る現代。そんな中、足掻く一人の……おっさんがいた。  羽佐間 幸信(はざま ゆきのぶ)38歳――完全完璧(パーフェクト)な凡人。自分の中では得意とする持ち前の要領の良さで頑張るが上には常に上がいる。いくら努力しようとも決してそれらに勝つことはできなかった。  華のない彼は華に憧れ、いつしか伝説とつくもの全てを追うようになり……彼はある日、一つの都市伝説を耳にする。  『深夜、山で一人やまびこをするとどこかに連れていかれる』  山頂に登った彼は一心不乱に叫んだ…………そして酸欠になり足を滑らせ滑落、瀕死の状態となった彼に死が迫る。  ――こっちに……を、助けて――  「何か……聞こえる…………伝説は……あったんだ…………俺……いくよ……!」  こうして彼は記憶を持ったまま転生、声の主もわからぬまま何事もなく10歳に成長したある日――

見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します) ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。 神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。 もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ 楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。 ※基本的に主人公視点で進んでいきます。 ※趣味作品ですので不定期投稿となります。 コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...