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576 山菜だけじゃなく果物も発見!

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 道中の原っぱで発見した『ぜんまい』と『こごみ』を全て回収し、釣りメンバーを除いた全員がようやく森の中へと侵入した。


 ジャキン


「何だこのデカい蜘蛛は!きっしょいな・・・」
「ジャイアントスパイダーだ。11階層までの通常ルートには出現しなかったから、この森だけに出現する魔物なのかもな~」
「ココは10階層から上の階層のハズだろ?手に負えない魔物なんかは出て来ないと思うが、それでもやはり気は抜けないか」
「山菜採りに夢中になって怪我人が出るのは避けたいが、和泉以外のメンバーは歴戦の猛者達だから心配しなくとも大丈夫だ」
「ちょっと!私だって毎日、いや、たまーに刀の訓練もしてるんだからね!」
「でも、お前が一番山菜採りに夢中になりそうやん?」
「それは否定できない!!」


 まあ和泉以外の全員が軍の精鋭ばかりなのだから、誰かしら守ってくれるとは思うけど。そんな会話をしながら森の中を歩いていると、和泉がお宝を発見した。


「シイタケだーーーーーーーーーーーーー!!」

「なにィ!?」
「椎茸だと!!」

 和泉の指差した場所を見ると、程良い大きさの椎茸が木にいっぱい生えていた。

「スゲーーー!これだけあれば、腹いっぱい椎茸のバター炒めが食えるぞ!」
「よっしゃああああ!俺は椎茸が大好物なんだよ!コイツを採取するだけの為に、毎日ダンジョンに通ってもいいくらいだ」
「採取班全員に色々教えたいから、シイタケは私達に任せて!」
「なるほど・・・、確かに最初が肝心だ。特にキノコ狩りの場合、毒キノコにも気を付けなきゃいけないからな」
「んじゃ俺らは違う山の幸を探すか」
「そうしよう」


 そして少し進むと、木に果物がなっているのを発見。


「リンゴじゃん!!」
「うおおおおおおおおお!大量じゃねえか!」
「こりゃデケエぞ!見た感じ食べ頃っぽいし、もう全部収穫するしかないだろ」
「大きめのバッグを一つ出してくれねえか?」
「ちょっと待ってくれ」

 マジックバッグからバッグを取り出して親父に渡した。

「満タンになるか、重くてキツくなったら呼んでくれ」
「わかった!」


 俺と親父は、もの凄い勢いでリンゴの収穫に入った。


「わああああ!これってリンゴの木じゃない!」

 お?和泉の声だ。
 シイタケの方は片付いたみたいだな。

「リンゴは俺達二人で何とかなりそうなんで、別のお宝を見つけてきてくれ!」

「了解~~~!じゃあリンゴは任せるよ!」

「痛ッ!」

 ん?

「ちょっと!この木、棘だらけなんですけどーーー!」

「そういうのもあるから気を付けなきゃ、ってタラの芽キターーーーーーー!!」

「「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」」


 タラの芽と聞いては居ても立ってもいられず、二人ともリンゴの木から降りた。


「おおおっ!いっぱい生えてるじゃん!」
「今夜も天ぷらで確定だな!!」
「この棘の木って美味しいの??」
「木じゃなくて、食べるのは先っぽの芽の部分だけだよ!この棘いっぱいの木のことを『タラノキ』と言って、それに生えてる芽だから『タラの芽』。あまりにも美味しいから、『山菜の王様』とも呼ばれているんだ!」
「「へーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」

 持ち場を交代した方がいいのかな?リンゴはリンゴで大変だけど。

「棘いっぱいの木は触れないだろうから、俺と持ち場を変わるか?」
「和泉ちゃんをナメてもらっちゃ困るわね!」

 和泉が手術前の外科医のようなポーズをすると、その手には手袋がハマっていた。
 っていうか、よく見ると全員が革の手袋を着けていた。

「お前は医者か!!なるほど、山菜を採りに行くって張り切ってたんだから手袋くらい用意するか」
「ってことだから、小烏丸はリンゴの木に戻っても大丈夫だよ!タラの芽は私達に任せて!根こそぎ取っちゃって構わないのよね?」
「おそらく明日になれば復活するんで、次回のことなんて考えなくていいぞ。ココはダンジョンなのだから、地上の法則は当て嵌まらない。・・・たぶん」

 リポップすると確定したわけではないんだけどね。
 地上と変わらなかったらしばらく山菜が食えなくなるけど、その時はその時!


「時間と共にどんどん成長しちゃうみたいだから、急いで収穫するからね!」

「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 こうして俺と親父を含む採取班は、帰る時間ギリギリまで食材を集め続けた。





 ************************************************************





「ただいまーーーーーーーーーーーー!って、誰もいないけどね!」


 急いで城に帰って来て厨房に入った俺達は、食材を保管する為に作ってあった部屋に移動し、山菜や魚などをマジックバッグから出して並べていった。

 もう18時になろうかって時間なのに、これから夕食を作らなきゃならんのだ。

 天ぷらは明日でいいだなんて誰一人口にしない。
 こんだけ頑張ったのに、美味そうな食材だけ見て我慢なんか出来るかーーーい!

 料理班にだけ負担をかけるわけにもいかないので、今日は全員でお手伝いをする。採ってきた食材を全て使うわけでもないので、これならおそらく20時くらいには夕食にありつけるだろう。

 ただ俺はパメラと大事な話があるので、料理の手伝いを免除してもらった。



 ガチャッ


「パメラ!サンプルゴーレムはどうなった?」


 作業部屋に飛び込むと、ゴーレムの動作確認をしていたパメラがこっちを向いた。


「こら!またノックを忘れてるわよ?ココは作業部屋だけど」

 バタン

「おっとスマン。どうもこの城にいると、うっかりしてしまってイカンな」

 そう言いながらパメラの側まで近寄って行った。

「なんで逆さまになってんだ?」
「最終確認よ。見ててね」

 パメラがアクセルを手で押すと、ゴーレムの車輪が回り出した。

「おーーーーー!すごく良さそうじゃないか!」
「外で少し走らせてみたんだけど、スイスイと前に進んだし問題ないと思うわ!ただ土がかなり抉れたから、このままだと綺麗な道路を傷つけちゃうと思う」
「それは承知の上だ。商人の『シド』にタイヤを作らせて、そこでようやくこのゴーレムは完成するんだよ」
「ちゃんと作れるのかしらね?」
「完成させれば大儲け出来るってのはどんな商人だろうが想像できる。軍に頼まれたから仕方なくではなく、自分の利益の為に頑張ってくれるさ!」
「じゃあ完成ってことで、明日はダンジョンに行ってもいいのね?」
「もちろんだ!子供達を存分に遊ばせてやってくれ」


 さてと、明日は皆をダンジョンに送り届けたら、俺はシドの店に直行だな。
 パメラや新規メンバーの道案内は、カーラやお嬢にでも頼むか。
 
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