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561 正しい性教育

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 目の前の料理を平らげた後、さあ風呂だ!と意気込んだはいいものの、まだ引っ越し前で大浴場の用意が出来ていないと聞かされ愕然とした。

 なぜなら大浴場にお風呂セットを用意するのは、基本俺の仕事だからである。

 ただその仕事を始めるにしても、ミスフィートさんに捕食されっ放しでは無理なので、せめて愛し合うのは夜だけにしませんか?と打診した所・・・。


「却下だ!」


 なにィィィィィーーーーーー!?


「えええええええええ!?いや、えーと・・・、そこまで全身全霊で励まなくても、俺はもうどこにも行きませんよ?」
「私には1週間しか猶予が無いのだ!それまでに絶対孕まなければならぬ!」
「あ、俺じゃなくてミスフィートさんの方の問題でしたか!しかしですね~、えっ?孕む!?・・・俺の子を?」
「小烏丸としか愛したことがないのに、それ以外有り得ないだろう!」
「フオオオオオオオオオオォォォォォォ!」


 いきなりの展開で考えてもいなかったけど、俺って父親になっちゃうの?

 うわーうわーうわー!

 ミスフィートさんの子供なんて可愛いに決まってるじゃん!マジで俺なんかが父親でいいの!?この美女が俺の嫁に?うおおおおおおおおおおおおお!!

 いや待て、落ち着け!
 それよりも先に考えなきゃならんことが山ほどある。

 京の都を支配したばかりなので、集中して子作りに励んでるような猶予が1週間しか無いってのは、まあわからんでもない。

 しかもどうもミスフィートさんは焦り過ぎている感じだな。

 俺も性知識に疎いからふんわりとしか分かってないんだけど、重要なのは子供が出来やすい周期の方なので、やればやるほど良いってもんでもない。

 たぶん俺よりも、和泉の方が詳しく知ってるんじゃないかなあ?
 とりあえず俺が言えるのは一つだけ。


 『弾が入ってない銃など何の役にも立たぬのだ!』


 ・・・というわけで、和泉と親父を連れて来て、女性陣に正しい性教育の話をしてもらった。


「私も出産経験が無いから、女の子の日の少し前が妊娠しやすくて、すぐ後だと妊娠しにくいってことくらいしかわからないよ?それでも運次第だろうから、やっぱり数をこなすしかないんじゃないかなあ?」
「女はそれでいいのかもしれんが、男の方はそうもいかんぞ?一日に作られる子種の量だって限られているのだからな」

「「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」」


 やはりこの世界の女性達にはそういう知識が無かったようで、ひたすらに数をこなせばいいと思っていたようだ。

 しかしそれでもギリギリまで可能性を高めたいとのことで、何とか、目覚めてから夕食までの自由時間は確保したものの、弾丸を補給するために、毎日精の付く料理を中心に食べさせられることになった。

 ウーム・・・、とりあえず自由に動ける時間が出来たから良しとしよう。

 というわけで夕食まで時間が出来たんだけどさ、俺寝てないんだよね。
 しかし風呂の用意をしないことにはココにいる全員が困ることになる。

 すなわち今日の予定は、大浴場を使えるようにする事と睡眠だな。
 旅の途中でセコセコ魔道具を作った甲斐があったってもんだ。


「じゃあ俺は大浴場を使えるようにしてきます。先にミスフィートさんが身体を洗えるようにシャワーを設置しますので、一緒に行きましょうか」
「風呂は全員が入りたいのだから、手分けして一気にやってしまおう!魔道具はどれくらいあるのだ?」
「聖帝領を攻略中なのは知っていたので、とりあえず城一個分揃ってます。ただ各地に新しい城を建てるとなると、まだ全然足りませんけどね」
「流石は小烏丸だ!」
「お前、地味にスゲーな!・・・なるほど、軍師を任されているというのは伊達じゃなかったんだな」

 ガシッ

「親父、魔道具はまだまだ大量に必要だ!二人で頑張ろうな!!」
「ふっ!そう言うだろうとは思っていたが、魔道具の作り方なんか知らねえぞ?」
「サンプルを渡すからボディーだけ作ってくれればいいよ。それに俺が付与魔法を掛ければ完成だ」
「魔法か~~~!そういや俺も魔法を使ったりって出来ねえのか?」
「そういや自分のステータス画面見たことねえの?」
「何だそりゃ?」

 あー、そこから教えなきゃいかんのか。おそらく地球人のデフォルト状態で魔法は存在しないと思うけど、一応見てみないことにはな。

「これは誰にでも見ることが出来るぞ。『ステータス』って言うだけだ」
「ステータス?おお!?何か出たぞ!!」


 親父が自分のステータス画面を見て驚きの声を上げる。


「自分の身体能力が数値で見れるのかよ!おお?スキルってのがいっぱいあるぞ?鍛冶Lv15だとよ!」
「はあ?Lv15だって!?俺の鍛冶スキルはLv10で完全に止まってるんですけど!!なるほどな~、人によって上限が違ったりするのか・・・。親父はルーサイアでも鍛冶をしていたから、そこで基本上限を突破してガンガン上がったのかもしれん」
「魔法の項目は『なし』になっているな」
「やっぱりそうか」
「お前は魔法を使ってるみたいだが、俺もいつか使えるようになるのか?」
「それが何とも言えんのよ。アリアダンジョンに行けば加護が手に入る可能性もあるんだけど、どうやったら身に付くのかが未だにわからん」
「加護ってなんだ?」
「ああ、加護を入手することで、その加護に対応した魔法が使えるようになるんだ。しかしどうやったら加護が貰えるのかが不明なのよ」
「ワケ分からんな。しかし職業の文字の下にある、レベル:1ってのは何とかしたいもんだ。これが総合的なレベルなんだろ?」
「そうそう!レベル1じゃマジでいつ死んでもおかしくないから、近いうちにダンジョンでレベル上げするからな」
「ダンジョンねえ・・・」


 とりあえずミスフィートさんと合流出来たことだし、近いうちに三河とダンジョン交渉せんとな・・・。

 しかしまだカトレアやチェリン達と再会してないし、アリアダンジョンに行くならその後がいいんだろか?これはよく考えてから行動に移す必要があるだろう。

 おっと、かなり話が逸れてしまったな。
 じゃあそろそろ大浴場に魔道具を設置しに行きますかね~。
 
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