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546 お洒落の街ルーサイア

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 意気揚々とトラネコ城の大浴場にやって来たわけだけど、なぜかフィオリーナが俺にべったりで、さっきからずっと女性陣全体がピリピリした状態なんですけど?

 そして湯船に入る前にまず身体を洗おうとすると、フィオリーナが背中を流してくれるという話になったので、『じゃあ頼む!』と言ったのが失敗だった。

 仲間達全員がその会話を聞いていたものだから、『じゃあ私も!』『ウチも!』『あたいも!』『ボクも!』と連鎖して行き、結局大勢に丸洗いされる羽目に!!


 カポーン


 女性達の猛攻に耐えきれず、無事賢者へとジョブチェンジを果たした俺は、湯船に浸かりながら子供達がはしゃいでる姿を眺めていた。


 ザパーーーン!

「あははははははははーーーーー!」
「これすっごいおもしろいね!!」
「大人用と子供用の二つを用意してるなんてすごいわね!」


 うむ。
 今は大人しか居なくとも、女性が多い軍だからな。

 そのうち生まれてくる子供達の為にと、あらかじめすべての城に子供の遊び場を作っておいたのだ。

 それに今日みたいに、突発的に子供が訪れることだってある。
 『備えあれば憂いなし』ってね!


 大浴場で寛いだ後、フィオリーナに動物乗り物を貸してもらうと子供達は大興奮!すごく楽しかったようで、良い思い出になったんじゃないかな?


 そしてトラネコ城に一泊し、俺達一行はとりあえずの目的地である『ルーサイア』へ向かって出発した。

 フィオリーナは少し寂しそうにしてたけど、こればっかりはしゃーないしな。

 トラネコ城に来る用事なんて無いだろうからと、仕事以外でまた遊びに来ることを約束させられてしまったよ。





 ************************************************************





「ここが尾張の首都『ルーサイア』だ!」

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」


 俺はとうとう、この街に帰って来たんだな!

 全てが始まった街だ。
 第一印象は酷いもんだったが、今では一番大好きな街だ!

 街を歩く人々の服装が、俺の知ってるのとは全然違っている。
 まるで三河の街を歩いているかのようだ。

 ミスフィートさんが居た頃からボチボチと衣類が売りに出されてはいたんだけど、その頃はまだ住民の経済力が豊かではなく、服を買っている余裕までは無かったんだよね。

 しかし聖帝軍と戦ってる間にも順調な経済成長をみせ、とうとう『お洒落の街ルーサイア』として花開いたんだ!


 ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!


 そんなルーサイアの住人達は、誰もが驚いた顔でゴーレム集団を見ている。


「実に美しい街じゃのう!」
「街も綺麗だけど、みんな良い服着てない!?」
「凄いな!人もめちゃくちゃ多いぞ!」
「みんにゃコッチを見てるにゃ」
「さすがにゴーレムは珍しいんじゃないかしら?」


 色々な街を見てきた仲間達ですら、かなりの高評価のようだ。

 まあ俺ですら都会にやって来たって感覚だからな。
 ガラス張りで中が丸見えの店なんかもあったりで、見てるだけでそわそわする。

 すぐミスフィートさんの元へと向かいたい気持ちはあるけど、明日は街の散策で決定だろ!こんなのを見たのにすぐ出発したんじゃ、仲間達だって不満だろうしな。

 しかし随分と人が増えたな~。

 住民が増えたのか機関車に乗って都会に遊びに来たのかは知らんけど、この景色を見て『ここに住みたい!』って思う気持ちはわかるぞ!

 まあとりあえずはそれでもいいんだけど、やはり将来的にはミスフィート領の全てをこんな感じにしたいよな。

 うん、過労死しない程度に頑張ろう・・・。



 ―――――そして俺達一行は、『ミケネコ城』の前までやって来た。



「デッケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「何なのこの城?ちょっと凄すぎない!?」
「さすがミケネコにゃね!」
「これは凄いな・・・。この城を落とすのは容易ではないぞ」
「ひょえーーーーー!今まで見た城と全然格が違うし!!」

 そう言われると嬉しいんだけど、残念ながら俺が建てた城じゃないんだよな~。

「実はこの城を造ったのって三河の清光さんなんだ。俺が取引を持ち掛けたんだけどさ、あの人たった一人でコレを造ったんだぜ?」
「たった一人でじゃと!?」
「三河って確かゴーレムで戦った国じゃないか!とんでもない奴がいたもんだな」
「巨大なお城を一人で造ったの!?こんなの私だって無理なんだけど!」

 パメラは陸奥に城を建てた経験があるけど、一人で造ったわけじゃないし、大きさもトラネコ城クラスだったからね。

 尾張エルフの建築精鋭部隊でも、一人でこの規模の城を造るなんて絶対に無理だ。
 土魔法に関してなら、間違いなく清光さんが最強だろうな。


 そんな会話をしていると、城内から知ってる女性が飛び出して来た。
 門兵から知らせが届いたみたいだな。


「わあああああああ~~~~~~~~~~~!おかえり小烏丸!!」


 タタタタタタ トンッ!


「おっと!ただいまユリ。やっとルーサイアに帰って来られたぜ!」
「本当に心配したんだから!!」


 なんか城に到着するたびに女性に抱きつかれてるんだけど、ユリもフィオリーナもこんなタイプの女性だったっけ?そういやお嬢にも抱きつかれたな・・・。


「やっぱりまたこの展開だよ!!」
「だから一体何人の嫁がいるのさ!?」
「ダメにゃコイツ」


 ぐおおおおおお!後頭部に刺さる氷の刃がキツ過ぎますぞ!!
 おかしい・・・、これじゃ仲間達に女たらしだと誤解され兼ねん。

 今まで女性に抱きつかれたことなんて滅多に無かったのに、1年以上軍を離れたせいでこうなってしまったのか!?

 まだ尾張に到着したばかりなんで、ミスフィート軍の極一部の人と接触した段階に過ぎないんですけど?

 カーラやチェリンなんかと再開したら、俺は一体どうなってしまうのだ・・・。
 今は氷の刃が刺さってるくらいで済んでるけど、隕石とか降って来ないだろな!?
 
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