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534 ストレス2億5000万

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『おいニャルル!一体どこに行ってたんだよ!』

『にゃはははははは!ちょっと偵察して来たにゃ!』

『偵察?まあとにかく、ココにいたんじゃ強いのと戦えないから反対側に移動だ』

『わかったにゃ!』


 ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!


 ほとんどの仲間達は汎用機で戦っているので、強敵との戦いに連れ出すようなことはせず、ニャルルと二人だけで大物を求めて移動を開始。

 しかし味方本陣の前を素通りしようとした時、敵勢力の接近に気付いた。


『ん?アレって甲斐のゴーレムじゃないよな?なぜこんな所に三河のゴーレムが・・・』

『あーーー、さっきちょっと戦ったヤツらにゃね』

『なに!?偵察ってこっち側に来てたのか?』

『違うにゃ。こがにゃん達がいた場所のずっと先の辺りにゃ。たぶん進路を変えてこっちに来たにゃ』

『ハッ!?俺達が戦ってた相手は陽動で、本当の狙いは本陣急襲だったのか!!』


 三河の総攻撃が来るかな?

 強いとは聞いているが、もし流れ弾でライオウ機がやられたら不完全燃焼で終わってしまうし、俺達は甲斐本陣に迫る部隊を止めることにしようか。


『ニャルル、2機だけでアレに突撃するぞ!』

『素晴らしい作戦にゃ!このいくさは守りに入った方の負けにゃ!』


 いつもはアホの子のくせに、なぜかゴーレムに乗るとニャルルが頼もしい。しかも戦場の空気を読んでいるかのような発言。眠っていた素質が開花したのか!?


 ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!


 ん?白いゴーレム・・・アレって虎徹さんじゃないのか!?


『もらったぞ!三河の白い奴!!』


 先頭を走る白いゴーレムに狙いを定めて引き金を引く。


『ダメにゃ!』

 ボシュッ

 ニャルルに邪魔をされて、バズーカを空に向けて撃ってしまった。
 なぜ隣にいるニャンコが邪魔をする!?

『アレに攻撃するにゃんてとんでもにゃいにゃ!』

 見ると白いゴーレムを守る様に、動物のペイントがしてあるゴーレムが立ちはだかっていた。

『いや、別にアレを倒したって問題なくね?』
『よく見るにゃ!描かれてる絵にゃ!』

 目を凝らしてよく見ると、そのゴーレムには猫の絵がいっぱい描かれていた。

『猫のペイントだな。でもそれが何なのだ?』
『猫の絵に攻撃するにゃんて普通ありえにゃいにゃ!!』
『・・・な、んだと!?猫のペイントに攻撃しちゃダメなの??』
『猫好きに悪いヤツはいにゃいにゃ!』

 そうこうしてる間に、虎徹機がこちらに向かってバズーカを向けていた。

『しまった!』

 ボシュッ

 しかし虎徹さんのバズーカも空に向かって撃ち上げられた。

『おいニーナ!何しやがる!!』
『にゃにをやってるにゃ!あの猫型ゴーレムを撃つにゃんてありえにゃいにゃ!』

 向こうの会話が聞こえて来た。
 そしていつの間にか、俺の機体を守るようにニャルル機が前にいた。

『いやいやいやいや!あの猫型ゴーレムも滅茶苦茶危険なんだって!!』
『猫好きに悪いヤツはいにゃいにゃ!』

 向こうもこっちと同じような会話をしているんだが・・・。
 ってかあの猫のペイント機体に乗ってるのって、ニーニャさんだったのか。

 とにかくこのままじゃ、にっちもさっちもいかん。

 『左側に移動して戦わないか?』と虎徹さんに合図を送った。
 すると虎徹機がウンウン頷いたので、20メートルほど左に移動。


『よし、邪魔なニャンコはいなくなった。行きますよ!』

『赤い流星専用ザキュとのバトルか。面白い!!』


 ボシュッ ボシュッ ボシュッ

 ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!

 ボシュッ ボシュッ ボシュッ

 ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!


 お互い走りながらバズーカ砲を撃ち合うが、前回の戦闘の時よりも機動性がアップしているのがすぐにわかった。

『昨日までの白いゴーレムと、まるで違うぞ!』

 前回見たのは一ヶ月前だけど、これはただの名セリフですので!

 しかしアレに当てるのは至難の業だろう。
 走りながら、武器をバズーカから斧に持ち替える。

 いけッッ!

 ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!

『速い!?』

 全力で接近して斧を振るうと、間一髪で剣に弾かれた。

『いや、そのザキュ絶対改造したろ!?なんで3倍の速度になってるんだよ!!』
『赤い流星ですから3倍は当然でしょう!』

 さらに斧を叩きつけると今度は盾で弾かれたので、武器を薙刀にチェンジ。

『いや、薙刀はザキュの武器じゃねえだろ!』
『細かいことは言いっこなし!!』

 しかし薙刀が白いゴーレムに当たる直前、猫プリントゴーレムが割って入る。

『なにッ!?アレが邪魔をする!』
『おまえを倒さねばコテツが死ぬにゃ!』
『うおッ!なんでニーナが、いや死なねえし!!』
『こがにゃん!いけにゃい!』
『チイッ』
『コテツ、そこをどくにゃ!邪魔にゃ!』
『やれるのか!?』
『こがにゃんを傷つける、悪い人にゃ』
『つーか、猫二匹が死ぬほど邪魔なんですけど!!』
『こりゃダメだ!一旦離れるぞ!!』


 少し距離をとって、白いゴーレムと睨み合う。

 今の攻防だけで、俺のストレスは2億5000万ポイントを超えていた。
 おそらく、いや間違いなく虎徹さんも同じくらいのストレスに達したと思われる。


『なあ小烏丸・・・』

『わかってます!この場はお互い引きましょう』



 ―――当然ながらこの総力戦の後、虎徹と小烏丸との間で会議が開かれ、大事な決戦にニャンコの同伴が禁止される事となったのは言うまでもないだろう。

 
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