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394 いきなりの激戦

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 はしゃぐゴマちゃんとニャルルはいいとして、ショックを受けているシャイナとパメラの方が心配なので、二人の傍まで行く。


「本州上陸に喜んでもいい場面なのに、あえて気分が悪くなるような警告をした理由がわかったろう?治安の悪い国ってのは本当に最悪なんだよ」
「ミィが1時間持たずに攫われるとか言ってたけど、本当にその通りじゃない!」
「それどころか、ボク達も狙われてなかった?」

 そういやアイツら、女が5人もいるぜヒャッハーとか言ってたな。

「あの時の丸洗いでみんな綺麗になったからな。それに見映えのする服装をしているから、悪党じゃなくたって注目の的になるだろう」
「それって、永遠に狙われ続けるってことじゃないの!!」
「エーーーーーー!?着替えた方がいい?」
「あたいは着替えねえぞ!悪党が寄って来たら斬ればいいだけだ!」
「次はウチもこがにゃんみたいに戦うにゃ!」


 ちなみにチャミィはパメラに抱っこされている。

 こんな小さな子供に殺戮現場なんて見せるもんじゃないんだけども、今の状況じゃ離れるわけにもイカンからどうしようもない。

 尾張に辿り着いたら、こんな殺伐とした光景を忘れてしまうほど楽しませてやらなきゃな。ララやメルティー様と一緒にいれば、精神的にも穏やかになってくと思いたい。



「いたぞ!たぶんアイツらだ!!」
「足元に死体が転がってやがる!間違いねえ!!」
「俺がぶっ殺してやる!!!」



 チッ!もう次のが来やがった。


「あー、次のお客さんだ。ちょっと斬って来るわ」

「あたいも行くぜ!!」
「ウチも行くにゃ!!」
「あっ・・・、ボ、ボクも行くよ!!!」

「無理しなくていいんだぞ?」

「ここで怖気づいてちゃ、この先足手まといになっちゃうもん!」
「私は・・・、ごめん!ミィを守らなきゃ」
「いや、それでいい。絶対に誰かがチャミィを守っている必要があるのだから、姉であるパメラが最適だ。もし俺達が危険になったら魔法の援護だけ頼む」
「それは任せて!」


 本当は人殺しなんかさせたくないんだが、この国を突破するには彼女達にも精神的に強くなってもらう必要がある。

 悲しいけど、ココってそういう世界なのよね・・・。


「ゼネトス軍の兵隊さん達、コンニチワ」


「ああん?俺達のことを知っていながら、随分と余裕だな?」
「馬鹿なんだろ?しかしフルアーマー姿でもないのにマスクだけ着けてるとか、薄気味悪い野郎だな」
「おっ!?よく見たらいい女がいっぱいいるじゃねえか!あのマスク野郎をぶっ殺して全部いただこうぜ!!」
「男は殺せ!!!女は犯せ!!!」
「ヒャッハーーーーーッ!!!」


 ・・・敵は5人か。

 コイツら、ジャバルグ軍にいたモヒカン共と中身一緒なんじゃねえのか?行動パターンがまったく同じだ。話を聞いていると、兵士というよりかは盗賊とか山賊色が強いが、陸奥という土地柄がそうさせているのかもしれんな。


 ザシュッ!

「うがあああアアアッッッ!」

 まず1人。

「ヒャッハーと叫んだ後はすぐ襲い掛からなきゃダメだろ。野盗としても二流じゃねえか!お前らワンテンポ遅いんだよな~」

「て、てめえ!!!」
「クソッ!よくもブランを殺りやがったな!?」

 その時、俺の横をニャルル達三人が駆け抜けて行った。


 ヒュン ドシュッ! ゴギン!

「あ、あガッ!」
「て、おあアア・・・」
「ガアああああアアっ!お、俺の腕がーーーーーーーーッッ」

 ニャルルとゴマちゃんはゼネトス兵を一撃で仕留めたが、シャイナは少し葛藤があったせいか、腕を切断することには成功したが殺すまでには至らなかった。

「ゴフッ!」

 と思ったら、短剣で首を一突きしてトドメを刺した。うん、見事だ!


「ヒ、ヒイイィィィィィ!!て、敵だああああああ!!オーーーーーイ!!!こっちだあああ!!!」


 しまった!残った1人が大声で援軍を呼びやがった!!

「チッ!」

 タタタッ ギンッ!

「ガハアアアアアアッッ!!」

 叫んでるゼネトス兵を、後ろから叩き斬った。


「拙いな、援軍を呼ばれちまった。兵士が集まる前に」

「いたぞッ!あそこだ!!!」
「糞がッ!みんな殺られちまってるじゃねえか!!」
「殺せええええええ!!!」

 近くにいやがったのか!

「三人共、少し後ろに下がるぞ!こいつらの死体が戦いの邪魔になる」
「「アイアイサー!!」」
「いや、だからその掛け声は陸地だからもう、まあいいや、とにかく一瞬も気を抜くな!向かって来る敵は全て容赦なく倒せ!」


 不意のアイアイサーで少し気が抜けてしまったが、乱戦に突入したので心を修羅モードに切り替えた。


 ドガッ ギンッ ガギン


 向かって来るゼネトス兵を斬って斬って斬りまくる。

 近くにいた敵の援軍は6人だったが、戦ってるうちにどんどん増えていって、今や20人近くまで膨れ上がっていた。
 足元にはゼネトス兵の死体がゴロゴロ転がっている状態で、合わせると全部で50人くらいだ。ここまで来るともう戦闘じゃなくて戦争じゃねえか!


「助太刀するぞ!!!」


 ・・・ん?


 10人程の集団が右側から現れ、ゼネトス兵に斬りかかった。

 おおっ!マジか!?俺らにも援軍が来たぞ!!!


「シャイナ、ニャルル、ゴマちゃん、パメラ!右から来たのは全員味方だ!!あの人達を攻撃しないよう注意して戦ってくれ!」

「味方!?」
「よっしゃーーーー!あたいらにも援軍だ!!」

「やったにゃーーーーーーー!」
「援軍なの!?」


 まだ誰も斬られてはいなかったけども、多勢に無勢でいつ何が起きてもおかしくない状況だったから、援軍は本当にありがたい!



 ・・・・・



 そして援軍が来たことで、20人いたゼネトス兵を一気に殲滅することが出来た。


「ふーーーっ、やっと終わったか」

「っしゃーーーー!あたいらの大勝利だ!!」
「敵がどんどん増えてキツかったね~」
「みんな無事?・・・みたいね。良かったーーー!」
「ワラワラと、フナムシみたいにゃ奴らにゃ!」

 フナムシ?
 そういや北海道で見たな。あのキモイ虫だけはまったく同じ名前なのか・・・。


「オーーーーーイ!!キミ達、怪我は無いか?」


 見ると、赤いロングヘアーの美女がこちらへ歩いて来ていた。

 そしてその後ろから、彼女と共に戦っていた9名の男女がついて来ている。


「俺達は大丈夫だ!しかし何故の助太刀か?」

「そりゃあ勿論、ゼネトス兵と戦っていたからだよ!しかもたったの五人で!!幼子を守りながら凄いじゃないか!」

 気さくな人だな・・・。いるじゃないか、この国にもまともな人間が!

「えーと、君らにとってもゼネトス兵は敵なのか?」


 彼女は鋭い視線で周辺を見渡した後、静かに語り始めた。


「私の名はナルティア。反乱軍として、もう何年もゼネトス軍と戦っているんだ」



 ・・・・・・な、なんだってー!?
 
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