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314 レイリア城での論功行賞

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 兵士達が皆レイリア城に集まった所で、各城から新しく城主となった者達も呼び寄せ、久々の論功行賞をすることとなった。

 今回は昇格する者が多く、非常に長い論功行賞だったので、その結果を全て紙に書き記す。


 まず、カトレア・チェリン・リタ・リナ・ベアトリーチェの女性5名、そしてドワンゴが部将に昇格。ミスリルの脇差を与えられ、服の最大強化の権利を得た。
 ようやくカーラと並ぶことが出来たので、皆とても喜んでたな。

 今回カーラは保留。ずっとトラネコ城で兵を鍛えてたので、家老になる程の実績が積めなかった。聖帝との戦で活躍するだろうから次回に期待だな。

 そして、ルル・ピピン隊・ルーシーの他数名、各城の城主になった足軽大将の面々が侍大将に昇格。領地と好きなゴブリン武器を手にする権利を得た。ただ領地の方は、聖帝領を手に入れた後に決めた方が良いと判断し、現時点では保留だ。

 ボヤッキーやヴォルフ、その他数名の足軽組頭達も足軽大将へ昇格。

 本来ならば足軽大将になった時点で服が貰える。しかし残念ながら男性服を入手する運が壊滅的な俺のせいで、ダンジョン産の服を彼らに与えることが出来ない。
 なので代わりに、三河で仕入れた通常よりも更に強化したお洒落な服とヴォイド弓を渡し、実績を積まないと貰えないハズのミスリル刀も前倒しで与えた。
 勿論それぞれの刀には、俺が知ってる神様の名から頂いた銘を入れてあるぞ。鑑定したらその銘が表記されるので、手を抜いたら一瞬でバレるのだ。

 あと約束通り、俺がいつも重用しているエルフ達全員を足軽組頭に昇格させた。尾張で漁業全般を任されているランスロットも同様に昇格だ。
 それ以外にも見所のある兵士達や、主に偵察任務を遂行している者が多い獣人達、今も休みなく線路を敷いているドワーフ達も大量に昇格した。

 これからはレイリア城がとても賑やかになることだろう。

 そして普段の仕事ぶりやシェルフィーユの防衛戦での活躍もあり、ルシオは異例の二階級特進だ!
 すなわち、ピピンやルーシーと同じく侍大将となった。ミスリル刀だけじゃなくゴブリン武器までも同時にゲットしたので、次の戦場で大暴れすること間違いナシだ。

 最後に和泉。

 基本的に戦闘には加わらないが、料理を発展させた絶大な功績と、俺と同格の付与魔法使いということもあって、特別職の兵粮奉行に任命された。
 奉行っていうと内政を執り行う役職なのだけれども、『内政全般を任されるなんて絶対無理!』という本人からの強い抵抗で、兵糧に関わる全般の役職となった。

 ただ料理を作っていれば良いってわけじゃなく、各城や最前線へ派遣する料理班の選別や、食材の輸送や仕入れなども全て行わなければならない。三大欲求の一つを満たす為の仕事なので、これはこれでかなり重要な役目と言えよう。


 元ヒューリック軍の重臣達は、ヒューリックを含めて皆足軽組頭だ。

 それも侍大将以上の者限定なので、それ以下の身分だった者は、残念ながら一般兵からのやり直しとなる。しかし戦場で何度も戦った経験があるのならば、その力で這い上がって来るのは十分可能だろう。不貞腐れること無く頑張って欲しい。

 身分の高かった者達には、自分の領地だった場所に屋敷があって大勢の家来達もいるのだが、さすがに足軽組頭では養っていくことが出来ない。
 なのでとりあえず領地は現状維持とし、聖帝との決着が着いた後で、飢えることが無いように住居や職場を用意してやろうと思っている。

 ただ当の本人達は、城内施設が利用できる境遇に満足しているようだ。

 足軽から足軽組頭に昇格すると、城に住むことが許され城内施設を利用できるくらいしか恩恵は無いんだけど、実はその恩恵が非常に大きい。
 今まで見たこともないような御馳走が毎日食えて、しかもその後大浴場まで使えるってのは、実は破格な待遇なのだ。

 城内の料理は和泉が監修した激うま料理だけど、一般兵は宿泊施設の中の食堂で、軍で雇ったおばちゃん達の家庭料理を食べている。値段は安く設定しているけど有料なので結構痛い出費といえる。
 おばちゃん達にも醤油や味噌などの調味料を渡してあるけど、和泉のレシピは秘蔵の品なので渡していない。素人が思い付くレベルの、まあ焼き魚に醤油をかけるくらいだろうと推測される。

 宿泊施設の中にはエルフ達に銭湯並みの風呂場を作ってもらったんだけど、城内の大浴場と比べると、快適さに天と地との差があると言えよう。
 大浴場は人もそれほど多くなく、それでいて広いのでとても快適だが、施設の風呂は銭湯くらいの大きさではあるけど、とにかく人が多いのでわちゃわちゃなのだ。

 足軽組頭まで出世すれば、凄まじく美味いメシが食えて、桃源郷のような大浴場を使えるという噂がすでに流れており、一般兵達はまずそこを目指して日々猛特訓していると聞く。
 そんな話しを伊勢の兵士達がしていれば、城内施設を利用中の元重臣達にも噂が届くので、足軽組頭といえど破格な待遇だということに気付かされるわけだ。

 昇進システムを書いた紙は、ガラスを張った額縁に入れて城内と城外に飾ってあり、昇格して得る物などを誰でも知ることが出来るようにしてある。

 そして今回の論功行賞で侍大将になった者達の何人かが、すでに心に決めていたゴブリン武器をその場で手に入れた。

 というかピピン隊だ。

 他の人達はもう少し吟味してから決めるみたいだけど、ピピンらは実に思い切りが良い。けどそのお陰で、名前だけじゃ全然欲しくもないであろうゴブリン武器の本当の素晴らしさを、論功行賞の場で見せることが出来た。

 貰った本人達は大はしゃぎしていたし、それを見ていた兵士達の目に羨望と決意の色が見えたのは良かった。頑張って出世して、是非とも手にして欲しいものだ。
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