142 / 795
142 予想以上に成長していた
しおりを挟むギンッ!
「グギャアアアアアアアアア!」
ルシオが刀を鞘に納める。
戦いが終わったわけじゃないぞ?これは抜刀術の構えだ。
満身創痍の赤ゴブリンが、ルシオの脳天目掛けてハルバードを振り下ろす。
それを見切ったルシオが、槍を躱しながら刀を一閃。
「グギャ・・・」
チンッ
とうとう赤ゴブリンが地に伏した。ルシオの勝利だ!
パチパチパチパチ!
「やるじゃないか!赤ゴブリンを倒せるほど強くなっていたとはな!」
「は~~~~っ、本当に強敵でした!2階のゴブリンとは強さの桁がまるで違いますね!正直、何度も冷や汗を流しましたよ」
「俺なんかコイツに一度負けているんだぞ?まあそのお陰で、技を鍛え直して現在皆に教えてる戦い方に繋がるんだけどな。俺の師匠はリザードマンだ」
「ああ!リザードマンも強いですよね!しかも剣筋がとても綺麗です!」
「俺もあの剣技に感動してな。いや、剣技だけじゃなく姿勢から何から全て見習った。最も、俺の武器は刀だから半分以上我流なんだが」
このダンジョンに、戦い方を参考に出来る魔物がいたのには本当に助けられた。
あの場所にあの魔物を配置したのは、そういう理由があったんだと思う。剣の技術ナシではあの赤いゴブリンは倒せないと。その先に進んだら死ぬぞと。
「なるほど、そうだったのですか。本当にこのダンジョンにいると、いくらでも強くなれそうです」
「おっと!まったり話してる場合じゃないぞ。魔石と武器を回収だ」
「そうでした!」
ルシオが慌てて魔石と槍を回収した。
「この槍は赤ゴブリンを倒したルシオのもんだ。とりあえず俺が預かっとくけど、尾張に帰ったら渡すよ」
「それは嬉しいですね!刀があるので武器として使うことはなさそうですけど、初めて強敵を撃破した記念に部屋に飾っておきたいです!」
「そうだな。宝物として飾っとくのも良いし、槍が得意な部下ができたら恩賞として渡すのもアリだぞ」
「僕に部下ですか!?」
「強くなれば出世もするさ。そして有能な人材は上司が見つけてやるんだ。例え素質があっても上の者が目をかけてやらないと、一人で這い上がるのは困難だからな」
「なるほど・・・、人の上に立つ責任にも色々あるのですね」
ルシオよ、お前がその有能な人材なんだぞ?
「そうだな。よし、赤ゴブリンが倒せるならば4階どころか5階を攻めても大丈夫だ。というか4階は海産物ゾーンだから雑魚ばっかなんだ。しかし4階には、前に警告した危険な人魚がいるから要注意な」
「ああ!眠らせてくる魔物でしたよね?」
「最初は俺がついて行ってやる。眠ったら確実に死ぬからマジで危ねえんだアイツ。そこで眠気に完全に抵抗出来るようになるまで、ひたすら耐性上げをするぞ」
「わ、わかりました!頑張ります!」
そこで耐性を上げきってしまえば、一生モノの財産になるからな。
半日ほど費やせば耐性もLv7までなら上がる。人魚の強さの問題もあるようで、MAXまで上げるには、人魚の目の前に住み込むくらいの覚悟が必要だろう。
そのまま2人で人魚ゾーンまで移動し、ルシオの耐性をガッツリ上げまくった。
************************************************************
ガチャコン!
「よし赤だ!服確定!」
当然女性服だったが、最初から完全に諦めているので悲しみすらない。
もう男性服を求めて一喜一憂する段階は乗り越えたのだ。
出ると思っているからショックがデカいのです。
出ないのが当たり前と考え、間違って男性服が出た時に驚けば良いのさ。
ってか毎日ガチャってるから、変に期待なんかすると俺の精神が持たないのだ!
ガチャコン!キュピン!
「銀キターーー!」
カードに書かれている文字は【魔道具】
「なんだと!?どわッ!!」
[時計(特大)]
:魔力で時刻を自動調整してくれる大きな時計。評価A
:素材は不明。魔石をセットすれば動き始めます。
:衝撃耐性+ 魔法耐性+ 炎耐性 冷気耐性 防水機能
「・・・・・・・・・死ぬかと思った」
マジでびっくらこいたわ!!いきなり手の上に2メートル級の時計だぞ!?
地面に落とさなかった俺を非常に褒めてやりたい!
しかしこいつはスゲー!城の正面にドーンと嵌め込んだら最高じゃん!
時刻を自動調整してくれるって、無茶苦茶高性能だなあ。
時計は作ろうにも知識が無かったので完全に諦めていたのだ。
昔懐中時計を解体した時に、中に細かい部品がギッシリ詰まってるのを見ているんで、まず作ろうという気が起こらなかった。
まさかこんなデカいのが手に入るとはな!マジで心の底から感動している。
動かす前に、耐性を上げまくって自動修復も付けよう。
雷が落ちても平気なように、雷耐性とかも付与するべきだな。
今回は本当にすげーわ。カメラも当てたし、かなりガチャ運に恵まれてるぞ!
帰るまでに、もう一つくらい面白い魔道具をゲットしたいな~。
絶対に壊すわけにはいかないので、速攻で時計を強化しまくった。
・・・・・
「ルシオ!ルシオ!」
「あ、小烏丸さん。どうしました?」
「大物をゲットしたぞ!!!」
「おお!?ガチャで当たりを引いたのですか?」
「ウム!まあ見てくれ!」
マジックバッグから巨大時計を取り出した。
「な!?なんです?その大きいのは!!!」
「時計だよ!現在の時刻がわかる魔道具だ!」
「とけい?」
時計に魔石(中)を入れると、自動で針がグルグル回って現在の時刻に合わさった。いや、時刻が正しいのか判断する術もないんだけどさ。
「すげーなこれ・・・、魔石を入れただけで時刻が自動調整されたぞ」
「まったく意味が分かりません!!」
「針の位置と数字を照らし合わせるんだ。朝か夜かわからんけど今は6時だ!」
体感的に、たぶん朝じゃなくて夕方の6時な気がする。
ダンジョンってずっと明るいから、ずっと暮らしてると、朝なのか夜なのか全くわからなくなるんだよな・・・。
「へーーーー!これで正確な時間が分かるのですね?すごく便利そうです」
「帰ったらこれを城の正面に嵌め込むからな!きっとみんな驚くぞ」
尾張国民の誰もが、今までずっと時間にアバウトな生活をしてたのだから、これからは逆に時間に囚われてしまうことに窮屈さを感じるかもしれんけどね。
というか時間が分かるようになって一番嬉しいのは、間違いなくこの俺だ!
12
お気に入りに追加
1,222
あなたにおすすめの小説
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。
克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……
この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件
なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。
そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。
このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。
【web累計100万PV突破!】
著/イラスト なかの
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!
のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、
ハサンと名を変えて異世界で
聖騎士として生きることを決める。
ここでの世界では
感謝の力が有効と知る。
魔王スマターを倒せ!
不動明王へと化身せよ!
聖騎士ハサン伝説の伝承!
略称は「しなおじ」!
年内書籍化予定!
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
ド底辺から始める下克上! 〜神に嫌われ無能力となった男。街を追放された末、理を外れた【超越】魔法に覚醒し、一大領主へ成り上がる。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
この世界では、18の歳になると、創造神・ミーネより皆に魔力が授けられる。
捨て子だったハイネは教会に拾われたこともあり、どれだけ辛いことがあっても、ミーネを信奉し日々拝んできたが………
魔力付与式当日。
なぜかハイネにだけ、魔力が与えられることはなかった。日々の努力や信仰は全く報われなかったのだ。
ハイネは、大人たちの都合により、身体に『悪魔』を封印された忌み子でもあった。
そのため、
「能力を与えられなかったのは、呪われているからだ」
と決めつけられ、領主であるマルテ伯爵に街を追放されてしまう。
その夜、山で魔物に襲われ死にかけるハイネ。
そのとき、『悪魔』を封印していた首輪が切れ、身体に眠る力が目覚めた。
実は、封印されていたのは悪魔ではなく、別世界を司る女神だったのだ。
今は、ハイネと完全に同化していると言う。
ハイネはその女神の力を使い、この世には本来存在しない魔法・『超越』魔法で窮地を切り抜ける。
さらに、この『超越』魔法の規格外っぷりは恐ろしく……
戦闘で並外れた魔法を発動できるのはもちろん、生産面でも、この世の常識を飛び越えたアイテムを量産できるのだ。
この力を使い、まずは小さな村を悪徳代官たちから救うハイネ。
本人は気づくよしもない。
それが、元底辺聖職者の一大両者は成り上がる第一歩だとは。
◇
一方、そんなハイネを追放した街では……。
領主であるマルテ伯爵が、窮地に追い込まれていた。
彼は、ハイネを『呪われた底辺聖職者』と厄介者扱いしていたが、実はそのハイネの作る護符により街は魔物の侵略を免れていたのだ。
また、マルテ伯爵の娘は、ハイネに密かな思いを寄せており……
父に愛想を尽かし、家を出奔し、ハイネを探す旅に出てしまう。
そうして、民や娘からの信頼を失い続けた伯爵は、人生崩壊の一途を辿るのであった。
勇者パーティーを追放された召喚術師、美少女揃いのパーティーに拾われて鬼神の如く崇められる。
名無し
ファンタジー
ある日、勇者パーティーを追放された召喚術師ディル。
彼の召喚術は途轍もなく強いが一風変わっていた。何が飛び出すかは蓋を開けてみないとわからないというガチャ的なもので、思わず脱力してしまうほど変なものを召喚することもあるため、仲間から舐められていたのである。
ディルは居場所を失っただけでなく、性格が狂暴だから追放されたことを記す貼り紙を勇者パーティーに公開されて苦境に立たされるが、とある底辺パーティーに拾われる。
そこは横暴なリーダーに捨てられたばかりのパーティーで、どんな仕打ちにも耐えられる自信があるという。ディルは自身が凶悪な人物だと勘違いされているのを上手く利用し、底辺パーティーとともに成り上がっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる