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92 総攻撃

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 ―――――ジャバルグ視点―――――



「ジャバルグ様!本隊前方が敵の攻撃でごっそりやられました!」
「ジャグルズは無事なのか!?」
「無事です!しかし守備隊を除き、ほとんどがやられたので危険な状態です!」
「全軍、前へ進め!ジャグルズを見殺しには出来ぬ!あの遠距離攻撃は一発だけのハズだ!」

 ドオオオオオオン!

「くっ!何だ!?」
「ジャバルグ様!2陣と3陣に向けての魔法攻撃です!」
「魔法だと!?小賢しい!!構わん!前進しろ!!」
「「ハッ!」」

 反乱軍め!魔法まで使って来るのか!とっとと潰しておくんだった!
 あの一撃で数的優位は消えたか・・・。

 しかし我が軍の方が、兵の質は間違いなく上のハズだ!最近軍に入ったばかりの付焼刃に何が出来る!?
 白兵戦になれば勝つのは俺だ!奴らに力の差を思い知らせてやる!!





 ************************************************************



 ―――――小烏丸視点―――――



 エルフ達の魔法攻撃が始まった。

 指輪で強化された威力が気になるけど、それを眺めている余裕なんかない。
 陣形を変える為に移動しながら、ビームライフルにMPを補給していく。
 エネルギーを満タンにするには時間が全然足りない。だが何発かは撃てるようになる。追撃戦を考えると絶対に必要だ。

 不意に力が湧いて来るのがわかった。ルルの支援魔法が発動されたな?

 ルルはまずエルフ達に魔法攻撃力上昇の魔法をかけてから、次に他のエルフ達とは別行動で本体に加わり、味方全体に支援魔法だけをひたすら使う役割だ。

 この戦に勝つためには、ルルの生存が最重要だ。
 ミスフィート軍のキーパーソンと言えるだろう。

 新人達が百戦錬磨のジャバルグ軍とやり合うには、身体能力アップが不可欠なのだ。もしルルに何かあれば、死傷者が激増するのは確実。

 ダンジョンで手に入れた数少ないマジックポーションを、全てルルに持たせてある。大変だとは思うが頑張ってくれ!


 エルフ達の魔法攻撃が止んだ。
 倒した敵兵の数は・・・、およそ500ってとこか。

 しかし今の魔法攻撃で、ジャバルグ軍はかなりの負傷者が出ただろう。戦力差は逆転しているハズだ。


「全軍、突撃ーーーーーー!!」


 ミスフィートさんの号令だ!


 ガンガンガンガーン


 直後にドラを叩く音が聞こえて来る。


「行くぞ!突撃だ!!」

「「オーーーーー!」」



 真っ先に敵軍に飛び込み、敵をどんどん倒して行く。

 ザンッ

「ぎゃあああああああああ!!」
「次!」
「キサマああぁぁぁ!」

 元気な敵もいるが、負傷者も多い。

「シッ!」
「がはっ!!」

 視界に入った敵は全て攻撃対象だが、出来るだけ元気なのを狙って斬る。

「せいっ!」
「反乱軍如きがあああ!」
「もらったッ!」
「ゴヒュッ」
「あああああああッッ!」

 仲間達も連携を駆使して頑張っているな。

 だが、敵中深くに入り込むと魔法での負傷者が減って行き、敵に少し苦戦するようになって来た。
 さすがに今までの雑魚共とは違って手強い。


「オーッホッホッホッホ!」

「ぬ!?」


 ゴージャスなドレスを着た女が、高笑いしながら怒涛の連撃を繰り出していた。


「うおっ、お嬢すげえな!」


 彼女が通った後に残るのは、敵の残骸のみ。
 戦闘前に月読命を貸し与えたのは大正解だったな。
 刀の汚れを拭きとる手間を省略出来る分、殲滅速度が上昇している。


「何なんだあの女は!?」
「見た目に惑わされるな!コイツら、派手な服着た奴ほど強いぞ!!」
「意味がわかんねーんだよ!!なぜ誰も鎧を着ていない!?」
「知るか!!」





 ************************************************************



 ―――――乱戦に突入したピピン隊―――――



「みんな!一人ずつ確実に倒して行くよ!」
「ピピン後ろ!」

 ズガッ!

「きゃあッッ!」

「よくもッ!」
「ハアアッッ!」
「ぐおあああああっ!!」

 くっ!前の敵に気をとられすぎた!怪我の状態は!?

 ・・・・・・あれ?わき腹を斬られたのに、全然血が出てないよ?
 あっ、この服だ!!うわ~、本当にすごい!みんなにもコレを着せてあげたいな。

「ピピン!怪我の具合は!?」
「大丈夫!服のおかげで助かったみたい」
「ヒューッ!流石は恩賞の服ね!」
「頑張ってみんなの服も手に入れようね!さあどんどん行こう!!」
「「おーーー!!」」





 ************************************************************



 ―――――本陣・ミスフィート視点―――――



 しかし凄いな・・・。


 横にずらっと並んだドワーフ達が、敵をどんどん葬って行く。

 全身鎧なので歩みは遅いが、じわりじわりと確実に敵を倒す。
 そして敵兵を後ろに抜かせることなど一切無い。

 ―――まさに鉄壁。

 彼らの活躍は間違いなく恩賞モノだ。
 戦に勝った暁には、彼らが望む街と、活躍に相応しい地位を授けるのは確定だな。


「ミスフィート様!」

「どうした?」

「こがらす殿がジャグルズと対峙したようです!」
「なにッ!?」

 くそっ!私も戦いに参加したいっ!しかし総大将には我慢も必要・・・。
 あああっ!!思いっきり暴れたい!!!

 しかし小烏丸対ジャグルズか~、間違いなく小烏丸が勝つだろうけど心配だ。
 う~~~、すごく見たい!というかむしろ私が戦いたい!!
 自由に動けるみんなが羨ましくてしょうがないぞ・・・。
 なぜ私は総大将なんかになってしまったのだ!!

 とにかく小烏丸が勝つことを祈ろう。
 頑張れ小烏丸!もう少ししたら私も参加するからなッ!
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