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第353話 スタジオ・モコティー

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 動画撮影で盛り上がり、しばらくカメラで遊んでたんだけど、DVDプレイヤーにカメラを接続できることに気が付いた。

 大画面ってほどじゃないけどカメラの小さな画面よりも見応えがあるので、これにはレミお姉ちゃん親子も大興奮だ。


「あ、そうそう!少し前にボクんちのお隣さんが引っ越したので、その土地を丸ごと買いました!タマねえやお姉ちゃん達とみんなでお金を出し合ったんだよ~!」


 ニコニコとハムちゃん体操の動画を見ていたお姉ちゃんズだったが、今の一言に驚いてボクの方を振り向いた。


「「はい!?」」


「まだ古いお屋敷が残ったままなんだけど、近い内に業者さんが撤去してくれるから、そのあと大きな家を建てる予定なのです!」

 どう見てもお金なんて持ってなさそうなショタが、土地を買ったとか家を建てるとか言っているので、タマねえ以外の三人が口をパクパクさせている。

「すごく広い土地!ウチの2倍くらいあった」
「ちょ、ちょっと待って!そんな大きな土地なら結構お金かかったんじゃない?」
「えーとですね~、少し前にセルパト連邦のハイドリムドって国で、いっぱいお金を稼いできたのです!」
「ひえ~~~!外国でお金を稼いできたですか!?」
「大変だったけど面白かった!」
「すごい行動力ね~♪」

 何して稼いだかは話さない方がいいかな?
 レミお姉ちゃんに心配させるのもどうかと思うし・・・。

「実はその家のことなのですが、アパートにして部屋を貸し出そうと思ってるのですよ!たぶん1階を自分達の家にして、2階がアパートって感じになるのかな?」
「なんだかすごく楽しそうじゃないですか!」
「クーヤちゃんの隣にアパートが?なんて素晴らしいの!一部屋借りていいかしら!?」
「えええええ!?この家ってウチとそんなに離れてないじゃないですか!同じ西区だし、部屋を借りる意味が無いような気がしますよ?」
「意味ならあるわ!だってクーヤちゃんの隣なのよ!!」

 どうやらレミお姉ちゃんは本気のようだ。
 ショタコン思考では、ショタの家の隣に住むことに大きな意味があるらしい。

「ん~、たぶん部屋を貸すことはできると思うけど、まだ建物すら無いのですよ!いつアパートが完成するのかもサッパリわかりません!」
「本当はクーヤちゃんの家に住みたいくらいだわ!」
「このカメラって道具にしても、何だかプレイヤーって道具にしてもだけど、クーヤちゃんの家って面白そうな道具がまだまだいっぱいあるような気がするわね~!」
「そうそう!ママさんの言う通り、あの家には変なモノがいっぱいあるのです!あと動物まみれで、普通の家とは比べ物にならない本当に変な家なのです!」
「さすがクーヤちゃんの家ね~。ほとんどおもちゃ箱じゃないの!私も一度お邪魔してみたいわ!」
「エーーーーー!?そんなに変な家じゃないと思うけどな~」
「クーヤは自分の家をナメてる。あんなの普通なわけない」

 話が横道に逸れて、なぜかボクの家の話になっちゃった。
 たしかに家電とかいっぱいあるし、普通の家とはちょっと違うかも・・・。


「うぅ、わたしもお金があったらティアナと一緒に漫画を描いたりする部屋を借りたいのですが、学生の身なのでそんな余裕は無いのです・・・」


 レミお姉ちゃんがアパートの部屋を借りると盛り上がってたんだけど、本当はモコねえも部屋を借りたかったみたいだ。

 でもモコティー漫画だけじゃ家賃を払うにはちょっと厳しいみたい。
 まだ学生だから当然なんだけどさ。

 ん~~~、可哀相だからボクの部屋を使わせてあげてもいいんだけど、そうなると普通に部屋を借りようとしているレミお姉ちゃんが面白くないよな~。

 こういう場合どうしたらいいんだろ?


「そのティアナというのは?」

 モコねえの一言に反応し、レミお姉ちゃんのママが質問した。

「モコティーとして一緒に漫画を描いている、大切な相方の名前なのですよ」
「ちょっと待って。モコティー?」


 ママさんが何やら考えている。と思ったらハッとした顔になって隣の部屋に入って行き、数冊の本を持って戻って来た。


「モコティー先生といったら、この素晴らしい漫画を描いた人物じゃない!」


 ママさんが持っているのは、レミお姉ちゃんが以前爆買いした『おねショタ漫画』だった。


「あっ、それ!わたしとティアナで描いた自信作なのです!」
「貴女がモコティー先生でしたのね!この漫画を読んで大ファンになったのよ!」
「あ、ありがとうなのですよ!」

 よくわからんけど、レミお姉ちゃんのママもあの漫画の愛好者らしい。

「その漫画をアニメにするのが、わたしの夢なのであります!」
「えーと、アニメってのは実際にはどんなモノなのかしら?」
「あ、ママさんはまだ『好き好きレミィお姉ちゃん!』を見てなかったですね!」
「また見る?」

 タマねえがDVDプレイヤーからカメラを外し、『好き好きレミィお姉ちゃん!』をスタートさせた。

「うぇええええ!!また見るの!?」
「あ、さっきのアニメじゃない!もう一度見たいと思ってたのよね~♪」


 さっきと同様、青い髪の綺麗なお姉さんが洗濯物を干しているシーンから始まる。


『今日もユーヤちゃん遊びに来るかな~?』


「・・・え!?漫画が動いているわ!!」
「そうなのです!アニメとは、動く漫画のことなのです!」


 なんてこった!
 また、おねショタアニメの鑑賞会が始まってしまうとは・・・。

 当然こんな部屋にはいられないので、スッと立ち上がって家の外へ脱出した。



 ◇



 人んちの庭で時間を潰すのはなかなかの地獄で、そろそろアニメを見終わった頃だろうと家の中に戻って来た。


「モコティーさんの漫画がアニメになったら素敵ね~♪」
「私もそう思うわ!ただそれには、あのカメラみたいな道具を作らなきゃならないのよねえ・・・」
「正直アニメ化までは遠いですが、夢は追い続けたいです!」
「タマも応援する!」


 おお?変な空気になってなくて良かった。
 普通にアニメのすごさを語り合ってる感じですね~。


「もうこうなったら、アニメを制作する会社を作っちゃおうかしら?」


「「はい!?」」


 レミお姉ちゃんのママがすごいこと言い始めたんですけど!


「ちょっと待って!まだ風景を記憶する道具すら出来てないのよ?」
「レミ、頑張って♪」
「頑張ってどうにかなるもんじゃないわよ!」
「大丈夫よん。もしアニメ制作に失敗したとしても、モコティー先生がいれば何かしらできるわ。クーヤちゃんとタマちゃんもいるしね~♪」
「なにィ!?いつの間にかボクとタマねえも社員になってるし!!」
「アニメ制作会社!?そんなの就職するに決まってるじゃないですか!」
「会社の場所は?」

 なんか勝手に社員にされちゃったんですけど!!

「それはもちろん、クーヤちゃんの隣よ!」
「なんて素晴らしいの!こうなったら私も就職するしかないわね~♪」
「そこにはアパートを建てるって言ったじゃないですか!」
「でもあの土地すごく広い。もう一つくらいなら建物を置けるかも?」
「あ、たしかにあの広さなら、『スタジオ・モコティー』もいけるか・・・」
「何ですかそのネーミングは!?すごく格好良いじゃないですか!!」


 話が変な方向に進み、突然アニメ制作会社を作ることに!?

 レミお姉ちゃんのママが本気で言ってるのかはまだ謎だけど、もし本当に『スタジオ・モコティー』を建てるなら面白そうだなーとか思ったり。



 ◇◇◇



 相変わらず、何気ない会話から変な方向にどんどん進んでいきますね!


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