午後のはなし

てふ102

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高校生B

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夜中、大凡学生が歩けば補導されるような時間帯であった。所属する研究室での学習が想像の50倍長引き、帰りの電車はいつも乗るものの数十本先のものとなっていた。生憎、こんな田舎からド田舎へ帰る学生は自分一人である。対面のホームに集まる同じ研究室所属のメンバーをどこか遠くに感じながら、電車を待っていた。
田舎の数少ない電車、疎らに見られる人々はことごとく長椅子の隅を陣取っている。仕方無しに長椅子の中央に下ろした腰は、落ち着きなく身動ぎを繰り返した。真ん中で謎の孤立感があるのも一つの理由だろうが、周囲の人は仕事帰りと考えられるような風貌ばかりで。誰かの日常に自分という非日常が混ざり込んでしまったような感覚が只管に居心地悪かったのが、大きな理由だろう。心做しか向けられるような視線から逃げるように俯き、改めて当たり前ながら自身が制服を纏っていることに気づく。ダラリと開かれた首元のボタン。こんな夜中に出歩くなんて、と非行少年へ向けた軽蔑の言葉が、自覚された幻聴として耳につく。周りの目から隠すように、取り繕うように一番上まできっちり締めた。

あぁ、なんて、居心地が悪い。
なんて、息苦しい。

意思を逸らすようにポケットに手を突っ込む。形よく整えられた狭い入り口に手間取りながら取り出したのは、今朝の電車でもお世話になったイヤホンだった。























充実した学生生活、充実した学びを得る日々の少し苦く弱気な締め括り。曰く人目を気にする一人の拠所のない夜。
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