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第2章
祖父との語らい
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あの後俺達はお互いに軽く自己紹介をした後、祖父同伴のもとジルコの先導で客間へと通された。
今はジルコがお茶を入れている。
全員にお茶が行き渡りジルコが祖父の後ろへと下がる。
俺の両隣に座っているアイリスとギンハは緊張しており、アイリスはまだマシだがギンハひガチガチだった。
「さて、何を聞きたい?」
「母さんを政略結婚に使おうとしたのは本当ですか?」
「…その質問に答える前に1ついいか?」
「なんですか?」
「その敬語をやめてくれないか?孫からそんな対応をされるとつらいのでな。あと私のことはおじいちゃんとでも呼んでくれ」
「わかりま……わかったよ。じゃあじいちゃんで。で、さっきの質問だけど」
「ああ、その答えとしては表向きはそうだが実際は違う。むしろ私はあの子をそんなことにはやりたくなかった」
「表向きは?」
「そうだ」
「なぜそんなことを?」
「それには理由があってだな、ティナの嫁ぎ先が公爵家だったのだよ」
「それってつまり…」
「そう、王家の血筋だ。公爵家の当主が現国王陛下の弟でな、その嫡男がティナのことを気に入ったのだ」
「なるほど。でもなんでそれをじいちゃんが拒んだの?」
「さっきいった通りで私はティナを渡す気がなかったのだ。それにあの子がそれを望まなかったし、何よりティナはあの時にはすでにジオと恋仲だったからな」
「それって大丈夫だったの?」
「私にはティナ以外に息子がいたから。爵位は息子に継がせればいい」
「その公爵家って悪い噂があったりした?」
「まあな、私の持っている情報網では常に悪い噂が絶えなかったな」
「まじかよ」
「私からも1つ聞かせてくれないか?」
「なに?」
「あの子は今幸せか?」
「うん、俺が覚えてる限りでは笑ってなかった日がないくらい」
「そうか…」
「そういえばなんで表向きにはじいちゃんが無理矢理にってことにしたの?」
「それは簡単に言えば向こうの面子を保つためだな」
「え?」
「あの公爵家は実際は違うが世間では王家の血筋ということや表面を取り繕ってるので評判が良い。何より私が娘に逃げられたと言う失態を負えば後々都合が良いのでな」
「なんで?」
「評判の良い公爵家が女性に逃げられたとなると王家の評判にも関わるからな。そういう評価を落とすような話は無い方がいい。あくまで意中の人といるために父親から逃げたという感じにしといたほうがいいのだよ。まあそれはそれで公爵家の嫡男に魅力がなかったのかという話になるが、それの処理はもう終わっている」
「なるほど。じゃあ母さんの捜索に関しては?」
「それに関しては私も関与していてな、早めに捜索を打ち切るように向こうの領主に圧力をかけていた。私のところの者も何人か名誉挽回ということで連れて行ってもらい証拠隠滅をした」
「大がかりだね」
「娘のためだ。なんでもするさ」
「じいちゃんが良い人でよかったよ」
「孫にそう言われると嬉しいな」
じいちゃんは俺にそう言われて照れて頰を掻く。
「それにしてもレオ、なんで私の話を疑いもせずに聞いてくれるのだ?最初、君は私に良い感情を抱いていなかっただろうに」
「それに関してはジルコから言われたのと、あとは俺のギフトの能力で嘘を見抜くことができるからだね」
「ほお、なかなか良いギフトだな」
「そういうじいちゃんはどうなの?」
「私のギフトが気になるのかな?」
「じいちゃんってこの国の将軍なんでしょ?だったら気になるよ」
「…なら模擬戦で確かめてみるか?」
「模擬戦?」
「そうだ。聞くよりも見た方がわかることもあるだろう。それに私も体を動かしたいのだよ」
「いいよ、やろう」
「そう来なくては」
そう言って俺達とじいちゃんは客間を後にした。
今はジルコがお茶を入れている。
全員にお茶が行き渡りジルコが祖父の後ろへと下がる。
俺の両隣に座っているアイリスとギンハは緊張しており、アイリスはまだマシだがギンハひガチガチだった。
「さて、何を聞きたい?」
「母さんを政略結婚に使おうとしたのは本当ですか?」
「…その質問に答える前に1ついいか?」
「なんですか?」
「その敬語をやめてくれないか?孫からそんな対応をされるとつらいのでな。あと私のことはおじいちゃんとでも呼んでくれ」
「わかりま……わかったよ。じゃあじいちゃんで。で、さっきの質問だけど」
「ああ、その答えとしては表向きはそうだが実際は違う。むしろ私はあの子をそんなことにはやりたくなかった」
「表向きは?」
「そうだ」
「なぜそんなことを?」
「それには理由があってだな、ティナの嫁ぎ先が公爵家だったのだよ」
「それってつまり…」
「そう、王家の血筋だ。公爵家の当主が現国王陛下の弟でな、その嫡男がティナのことを気に入ったのだ」
「なるほど。でもなんでそれをじいちゃんが拒んだの?」
「さっきいった通りで私はティナを渡す気がなかったのだ。それにあの子がそれを望まなかったし、何よりティナはあの時にはすでにジオと恋仲だったからな」
「それって大丈夫だったの?」
「私にはティナ以外に息子がいたから。爵位は息子に継がせればいい」
「その公爵家って悪い噂があったりした?」
「まあな、私の持っている情報網では常に悪い噂が絶えなかったな」
「まじかよ」
「私からも1つ聞かせてくれないか?」
「なに?」
「あの子は今幸せか?」
「うん、俺が覚えてる限りでは笑ってなかった日がないくらい」
「そうか…」
「そういえばなんで表向きにはじいちゃんが無理矢理にってことにしたの?」
「それは簡単に言えば向こうの面子を保つためだな」
「え?」
「あの公爵家は実際は違うが世間では王家の血筋ということや表面を取り繕ってるので評判が良い。何より私が娘に逃げられたと言う失態を負えば後々都合が良いのでな」
「なんで?」
「評判の良い公爵家が女性に逃げられたとなると王家の評判にも関わるからな。そういう評価を落とすような話は無い方がいい。あくまで意中の人といるために父親から逃げたという感じにしといたほうがいいのだよ。まあそれはそれで公爵家の嫡男に魅力がなかったのかという話になるが、それの処理はもう終わっている」
「なるほど。じゃあ母さんの捜索に関しては?」
「それに関しては私も関与していてな、早めに捜索を打ち切るように向こうの領主に圧力をかけていた。私のところの者も何人か名誉挽回ということで連れて行ってもらい証拠隠滅をした」
「大がかりだね」
「娘のためだ。なんでもするさ」
「じいちゃんが良い人でよかったよ」
「孫にそう言われると嬉しいな」
じいちゃんは俺にそう言われて照れて頰を掻く。
「それにしてもレオ、なんで私の話を疑いもせずに聞いてくれるのだ?最初、君は私に良い感情を抱いていなかっただろうに」
「それに関してはジルコから言われたのと、あとは俺のギフトの能力で嘘を見抜くことができるからだね」
「ほお、なかなか良いギフトだな」
「そういうじいちゃんはどうなの?」
「私のギフトが気になるのかな?」
「じいちゃんってこの国の将軍なんでしょ?だったら気になるよ」
「…なら模擬戦で確かめてみるか?」
「模擬戦?」
「そうだ。聞くよりも見た方がわかることもあるだろう。それに私も体を動かしたいのだよ」
「いいよ、やろう」
「そう来なくては」
そう言って俺達とじいちゃんは客間を後にした。
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