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第52話 君は転生者ですか?

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「私のジョブは戦士。本当は戦場を駆けまわりたいし、モンスターを狩りたいの。でも、ガーレットはシグルトとエンジュ、そして私の兄妹以外は弱っち」

「え!?」

ハルトはさらに驚く。

「本当は同盟のために、ガーレットとラインハルホの同盟のために結婚なんかしたくなかった。だけど、まぁ、ラインハルホに行けば戦場に参加したりモンスター狩りもさせてもらえるって条件があったから、仕方なく嫁いだってわけよ」

ラフィーナ姫はさばさばという。
華奢な体と優雅な姿から、血にまみれて戦う姿は想像できない。
しかし、話を聞く限りでは、彼女は戦えるようだ。
それにしても、彼女は外交の道具として、ガーレットとラインハルホの同盟に使われていた。
したくもないラインハルホの王子と結婚した様だ。
意外に悲劇のヒロインの様だ。

「ハルト殿、ラフィーナはこう見えても強いぞ」

バルクがそう言った。

「へぇー。どれくらい?」

ハルトは興味を持った。

「そうだな。モンスターでギガンテスとケルベロスがいるだろ。それが、いっぺんに襲い掛かっても棍棒一つで倒せる」
「もう。バルク兄さん。足りないわ。グリーンドラゴンも追加して」
「すまん」

すご……

ハルトは心の中でつぶやいた。
すると、ラフィーナがハルトに話しかけてきた。

「ハルト君。ハルト君のレベルはいくつなの?」
「僕は、まだ20です」
「そっか。ハルト君は救世主なんだよね。初めて見るよ救世主。意外にフツー」
「はぁ」

ハルトはあいまいな返事をした。
ラフィーナがハルトに手を差し出す。
ハルトはその手を握り返した。
ラフィーナの手は柔らかく、そして温かかった。
ハルトはつい胸元を見てしまう。
その視線に気付いたのか、ラフィーナがハルトにウィンクする。
ハルトはドキッとした。
ラフィーナがハルトに耳打ちをする。
ラフィーナの吐息がハルトにかかる。
良い匂いがした。
ラフィーナがささやく。
ハルトの耳に甘い声が響く。
ラフィーナが囁く。ハルトの鼓動が激しくなった。
ラフィーナがハルトの耳から口を離し、ハルトから離れる。
ハルトの体が熱い。
顔が真っ赤になる。
ラフィーナが言う。
ハルトの頭の中にラフィーナの声が響いている。
ハルトの思考が止まった。
ラフィーナの言葉しか聞こえない。

(あなたは、私に勝てる?)

ハルトが答える。

(無理です)

ハルトの心を読んだかのようにラフィーナが微笑む。
ラフィーナの顔を見て、ハルトはまた見惚れてしまった。
ハルトは自分が負けたことを悟った。
ラフィーナの瞳に見つめられてハルトは動けなくなったのだ。

(私には、あなたの力が分かるのよ)

ラフィーナが再びハルトにささやく。
ハルトはうなずきそうになった。
そして、次に驚くべき質問。


(ね、あなた? もしかして転生者?)
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