パーティから追放されたのは神に選ばれし救世主だった。～チートスキルで元のパーティを見返し、全知全能の冒険者になってやる！～

第40話 決闘！

甲板に上がる。
船員たちが周りでは忙しそうに立ち働いている。
そんな中、いきなりの決闘。

「もちろん、フィリア姫だろうが、本気でやります」

騎士団長エンジュは不敵な笑みを浮かべる。

「じゃあ、やろう」

フィリアは構えた。
エンジュは腰に差した剣を抜いた。
ハルトはフィリアの横に立ち、短剣を構える。

「では参ります」

エンジュは素早く動いた。
素早い踏み込みからの剣の突き。
フィリアはそれを紙一重でかわし、足払いをかける。
だが、エンジュはその攻撃をジャンプして避け、空中から蹴りを繰り出す。
フィリアはそれを受け止めると押し返した。

「さすがですね。姫。強くなられた」

エンジュは言う。

「あなたに鍛えられた成果です」

フィリアが言った。

「それなら……」

エンジュは嬉しそうに距離を取った。
そして、呪文を唱え始めた。

「我が身に宿りし炎の神よ。我に力を貸せ」

エンジュの体の周りに火の粉が集まり始める。

「火炎魔法！？」

フィリアの顔色が変わる。

（これはまずい）

「ハルト！」

フィリアが叫んだ。
だが、ハルトは動けない。

「な、なんで！？」

硬直した身体を見回すハルト。

「ははは。ハルト殿。君には大人しくしてもらう。君には魔法を掛けさせてもらった」

全身を硬直させる魔法。
戦闘開始前からエンジュは心の中でその魔法を詠唱した。
戦闘開始直後、エンジュはそれをハルトに発動させた。

「卑怯よ！」

ルミナスが叫ぶ。

「いや、ルミナスちゃん。これも立派な戦い方。モンスター何てもっと卑劣な戦い方をする。学んでおくといい」

エンジュが動く。
エンジュの手から放たれたのは火球だった。
フィリアがそれをかわす。
だが……

「曲がれ！」

エンジュが叫ぶと同時に、火球が直角に曲がり進路を変え、ハルトの方に向かって進む。

「うわぁ！！」

ハルトの悲鳴が上がる。
爆炎がハルトの身体を包む。

「ハルト！」

フィリアが駆け寄ろうとする。
だが、そこにエンジュが立ちふさがる。

「フィリア姫、負けを認めなさい。私はあなたを城に連れ戻さなければならない！」
「エンジュ、目を覚ましなさい！　父上は魔王に操られているのです。私はそれを正すためにラインハルホ王国へ行かねばならんのです！」