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第一章 女子高生行方不明事件
第二十七話
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明善達は署長の大柳から指示された今回の事件の資料をその日のうちに作り上げ、各部署に配布した。資料と言ってもかなり簡素なものであり、画像が何枚か載っているだけ。
翌日短い打ち合わせを行い、異犯対と捜査二課がリベレーションの取引場所の内偵を行うことに。
そして、さらにその翌日。内偵で持ち帰った情報を基に、本格的な捜査会議が行われる。
署の二階の会議室には続々と警官が入室し、部屋はすぐに満杯に。この会議には異犯対はもちろん、麻薬などの薬物捜査を担当する捜査二課、パトロールなどの地域活動を行う地域課、そして異犯対に沖田の件を持ち込んできた生活安全課の、計四つの課が参加している。
大柳を始めとした署の幹部が会議室に入ってくると、意見交換していた警官達は口を閉じる。
大柳は部屋を見渡した後、警官達の正面に座った。
「うむ。人もすでに集まっているようだ。では、会議を始めようか。松本君」
「はい」
大柳の言葉を継いだのは、副署長の松本清隆。松本は身長百九十センチを誇る筋骨隆々の巨漢であり、制服の上からでも鍛え上げられた筋肉が窺える。
「これから異世界人による薬物、リベレーション売買における捜査会議を始める!」
松本の低くドスの効いた東北訛りの言葉に、警官達は背筋を伸ばす。
「まずは、異犯対。今回の件について、手短に説明しろ」
愛美が「ここは私が」と立ち上がる。
「では、本件について手短に最初から説明いたします。現在、都内を始めたとした各大都市でリベレーションという薬物が出回っています。この薬物は非常に依存性が高く、また中毒死も何件か確認されています。そして、昨日市内においてこの薬物を使用し、錯乱状態に陥った男性が暴行事件を起こしました。その男性、沖田さんから聞いた結果、市内においてリベレーションの売買を行なっているとのことです。お手元の資料の六ページをお開きください」
警官達はテーブルの上に置いてあった資料をめくり、愛美の指定したページを開く。そのページには衛星写真が貼り付けられていた。写真の中央には古びた大きな建物が赤い丸で囲ってある。
「この建物が沖田さんから聞き出したリベレーションの取引現場です。ここは十数年前に廃業した工場であり、証言から異世界人はこの工場を住居としても利用しているようです。雑木林のかなり深い場所にありまして、直接目視で確認することはできませんでした。人があまり入らない場所でして、下手に近づくと我々警察の存在がバレるので。昨日異犯対で少し離れた場所から、張り込みをしていました。その結果、買い出しに出かける異世界人を二名確認しました。沖田さんの証言と照らし合わせた結果、この工場には異世界人が少なくとも六人いるそうです」
「六人か。結構多いな」
松本は難しい顔で顎を摩る。
「アルミトスだったか、異世界人は?」
愛美は真剣な顔で頷く。
「はい。アルミトスはルーンという文字を操ります。これは生物や無機物を強化したり、なにかしらの特性を付与するものです。ルーン自体は大して強力なものではありません。ただ、アルミトスは軍事技術に秀でた世界でして、ルーンで強化した高性能のパワードスーツや戦車を保有しています」
その言葉に警官達が息を呑む。様々な奇跡を起こす異世界人は一人だけでも脅威だ。それが六人もおり、しかも強力な武器を保有しているとなると無理もない。
翌日短い打ち合わせを行い、異犯対と捜査二課がリベレーションの取引場所の内偵を行うことに。
そして、さらにその翌日。内偵で持ち帰った情報を基に、本格的な捜査会議が行われる。
署の二階の会議室には続々と警官が入室し、部屋はすぐに満杯に。この会議には異犯対はもちろん、麻薬などの薬物捜査を担当する捜査二課、パトロールなどの地域活動を行う地域課、そして異犯対に沖田の件を持ち込んできた生活安全課の、計四つの課が参加している。
大柳を始めとした署の幹部が会議室に入ってくると、意見交換していた警官達は口を閉じる。
大柳は部屋を見渡した後、警官達の正面に座った。
「うむ。人もすでに集まっているようだ。では、会議を始めようか。松本君」
「はい」
大柳の言葉を継いだのは、副署長の松本清隆。松本は身長百九十センチを誇る筋骨隆々の巨漢であり、制服の上からでも鍛え上げられた筋肉が窺える。
「これから異世界人による薬物、リベレーション売買における捜査会議を始める!」
松本の低くドスの効いた東北訛りの言葉に、警官達は背筋を伸ばす。
「まずは、異犯対。今回の件について、手短に説明しろ」
愛美が「ここは私が」と立ち上がる。
「では、本件について手短に最初から説明いたします。現在、都内を始めたとした各大都市でリベレーションという薬物が出回っています。この薬物は非常に依存性が高く、また中毒死も何件か確認されています。そして、昨日市内においてこの薬物を使用し、錯乱状態に陥った男性が暴行事件を起こしました。その男性、沖田さんから聞いた結果、市内においてリベレーションの売買を行なっているとのことです。お手元の資料の六ページをお開きください」
警官達はテーブルの上に置いてあった資料をめくり、愛美の指定したページを開く。そのページには衛星写真が貼り付けられていた。写真の中央には古びた大きな建物が赤い丸で囲ってある。
「この建物が沖田さんから聞き出したリベレーションの取引現場です。ここは十数年前に廃業した工場であり、証言から異世界人はこの工場を住居としても利用しているようです。雑木林のかなり深い場所にありまして、直接目視で確認することはできませんでした。人があまり入らない場所でして、下手に近づくと我々警察の存在がバレるので。昨日異犯対で少し離れた場所から、張り込みをしていました。その結果、買い出しに出かける異世界人を二名確認しました。沖田さんの証言と照らし合わせた結果、この工場には異世界人が少なくとも六人いるそうです」
「六人か。結構多いな」
松本は難しい顔で顎を摩る。
「アルミトスだったか、異世界人は?」
愛美は真剣な顔で頷く。
「はい。アルミトスはルーンという文字を操ります。これは生物や無機物を強化したり、なにかしらの特性を付与するものです。ルーン自体は大して強力なものではありません。ただ、アルミトスは軍事技術に秀でた世界でして、ルーンで強化した高性能のパワードスーツや戦車を保有しています」
その言葉に警官達が息を呑む。様々な奇跡を起こす異世界人は一人だけでも脅威だ。それが六人もおり、しかも強力な武器を保有しているとなると無理もない。
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