異世界犯罪対策課

河野守

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第一章 女子高生行方不明事件

第二十二話

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 息子が搬送された病院は、須賀川署から車で四十分ほどの距離だった。彼は精神錯乱を起こしており、薬物の使用が濃厚だったため、大きめの病院に搬送されたのだ。
 病院に到着した明善は、受付で警察手帳を見せ、息子がいる部屋を訪ねる。
「その方でしたら、C棟の三〇九号室です」
「ありがとうございます」
 受付から教えてもらった道順通りに進む。息子が入院しているC棟は病院の敷地の隅に立地しており、外壁補修をした他の棟と違い古びた病棟だった。入口には守衛がおり、身分書の提示を求められる。警察手帳を見せ、今朝搬送されてきた人物との面会に来たと説明し通してもらう。
 この病棟は他の病棟とは雰囲気が明らかに違う。棟内に設置された監視カメラは多く、目に入る医療従事者や面会者の数が少ない。おそらく、ここは厄介な患者を隔離するための建物なのだろう。
 まあ、薬物の使用が疑われる患者を他の患者と引き離そうとするのは当然か。
 明善は息子がいる部屋に到着し、入り口の前に立っていた制服警官達に警察手帳を見せる。
 沖田晶おきた あきらと書かれた部屋の扉を静かに開け、中に入った。
 部屋の中にいるのは三人。メモを手に持っている落合、林檎を剥いている愛美。そして、ベッドの上で上半身を起こしている痩身の男性。彼が今回の事件を起こした沖田だ。
「……あ、どうも」
 沖田は明善に気付き、頭を下げる。その声は小さく、消え入りそうなほどだった。彼の頬は痩せこけており、目の下には濃いクマがあった。
 複数の警官達を相手に大暴れしたと聞き、明善は恰幅の良い大男を想像していたのが、正直拍子抜けだ。
 いや、この細身の男性にとんでもない怪力を出させたリベレーションに驚くべきだろう。
「初めまして、暁と言います。こちらの二人と同じ異世界犯罪対策課です」
「あ、はい」
「早速ですが、お話を聞かせてもらってよろしいでしょうか?」
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