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シマメ国での冒険!
昔、昔、そのまた昔①
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数千年前…
「琥珀ー!待って!」
自然と不思議が溢れるこの森の中で、一人の少女がウサギと走り回っていた。
「捕まえられる物なら捕まえてみなー!」
煽り口調で少女に喋りかけるうさぎは、まだ‘ただ’のウサギだった。
平和で、争いなど存在していなかった。
しかし、ある日、少女宛に手紙が送られた。
「ダイアナ様へ、我がお国を守ってください?」
隣国の王からの手紙だった。
「おかあさま、行かなきゃダメ?」
少女、ダイアナの母は彼女の顔を見つめると、苦しそうに頷いた。
「ダイアナ、どうしたの?」
家から出てきたダイアナを見て、琥珀は心配そうに首を傾げた。
「琥珀、私ね、王国に行かなくちゃいけなくなったの。助けて…」
泣きついてきたダイアナのことを小さな前足が抱きしめた。
「ダイアナ、安心して、僕がなんとかするから。」
琥珀はにっこりと微笑むと、ダイアナの手を握り、洞窟へ走った。
「琥珀、洞窟に行ったって意味ないよ?」
「いいや、意味あるよ。」
洞窟の奥へ入っていくと、周りにある石たちが光出した。
「キラキラしてる石、これはなあに?」
赤、黄色、青、色とりどりの石を持ち上げると、光が増した。
「宝石だよ。ダイアナ、この綺麗な石達に名前をつけて。そして、好きな宝石を一つ、僕にプレゼントしてくれないかな?」
ダイアナは嬉しそうに頷いた。
「この赤い子はルビー、青い子はサファイア!黄色い子はトルマリン、緑の子はエメラルド!水色の子は、アクアマリン!うーん。たくさんあるなあ。あ!この子にしよう!」
橙色の宝石を手のひらに乗せると、琥珀に渡した。
「この子の名前は琥珀!琥珀の目の色と同じだから!」
琥珀は宝石をもらうと、口の中に入れて、飲み込んだ。
「わぁっ!琥珀、何してるの!?」
「これで、契約完了。ダイアナ、王様への返事にこう書いて。私は、もう契約しているので、洗脳はできませんよ。って。」
ダイアナは琥珀の言葉を信じ、手紙を書いた。すると、王様から怒りと諦めの手紙が返ってきた。
「やった!行かなくていいんだ!」
舞い上がったダイアナは、琥珀の家まで走った。
いつものように笑う琥珀が待っていると思い、扉を開けると、そこに琥珀はいなかった。
ダイアナが琥珀と名付けた宝石が、床から生えていた。
「うそ、だよね?琥珀がいなくなるはずがない!」
一旦母親の元に戻り、琥珀の行方を聞くと、母は首を傾げた。
「琥珀?誰よそれ。」
返答を聞いた瞬間、何かが自分の中で、爆発した気がした。
生きる意味を無くし、絶望しかなかったダイアナは、その日の夜、家を抜け出し、あそこに似た洞窟を探し始めた。
「琥珀ー!待って!」
自然と不思議が溢れるこの森の中で、一人の少女がウサギと走り回っていた。
「捕まえられる物なら捕まえてみなー!」
煽り口調で少女に喋りかけるうさぎは、まだ‘ただ’のウサギだった。
平和で、争いなど存在していなかった。
しかし、ある日、少女宛に手紙が送られた。
「ダイアナ様へ、我がお国を守ってください?」
隣国の王からの手紙だった。
「おかあさま、行かなきゃダメ?」
少女、ダイアナの母は彼女の顔を見つめると、苦しそうに頷いた。
「ダイアナ、どうしたの?」
家から出てきたダイアナを見て、琥珀は心配そうに首を傾げた。
「琥珀、私ね、王国に行かなくちゃいけなくなったの。助けて…」
泣きついてきたダイアナのことを小さな前足が抱きしめた。
「ダイアナ、安心して、僕がなんとかするから。」
琥珀はにっこりと微笑むと、ダイアナの手を握り、洞窟へ走った。
「琥珀、洞窟に行ったって意味ないよ?」
「いいや、意味あるよ。」
洞窟の奥へ入っていくと、周りにある石たちが光出した。
「キラキラしてる石、これはなあに?」
赤、黄色、青、色とりどりの石を持ち上げると、光が増した。
「宝石だよ。ダイアナ、この綺麗な石達に名前をつけて。そして、好きな宝石を一つ、僕にプレゼントしてくれないかな?」
ダイアナは嬉しそうに頷いた。
「この赤い子はルビー、青い子はサファイア!黄色い子はトルマリン、緑の子はエメラルド!水色の子は、アクアマリン!うーん。たくさんあるなあ。あ!この子にしよう!」
橙色の宝石を手のひらに乗せると、琥珀に渡した。
「この子の名前は琥珀!琥珀の目の色と同じだから!」
琥珀は宝石をもらうと、口の中に入れて、飲み込んだ。
「わぁっ!琥珀、何してるの!?」
「これで、契約完了。ダイアナ、王様への返事にこう書いて。私は、もう契約しているので、洗脳はできませんよ。って。」
ダイアナは琥珀の言葉を信じ、手紙を書いた。すると、王様から怒りと諦めの手紙が返ってきた。
「やった!行かなくていいんだ!」
舞い上がったダイアナは、琥珀の家まで走った。
いつものように笑う琥珀が待っていると思い、扉を開けると、そこに琥珀はいなかった。
ダイアナが琥珀と名付けた宝石が、床から生えていた。
「うそ、だよね?琥珀がいなくなるはずがない!」
一旦母親の元に戻り、琥珀の行方を聞くと、母は首を傾げた。
「琥珀?誰よそれ。」
返答を聞いた瞬間、何かが自分の中で、爆発した気がした。
生きる意味を無くし、絶望しかなかったダイアナは、その日の夜、家を抜け出し、あそこに似た洞窟を探し始めた。
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