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シマメ国での冒険!

宝石の洞窟へ向かおう!

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「どうして、道標になれるの?」
『この子はその場所に行くためにいる“何か”と条件を知っています。私は、その少女がいる場所を知っています。なので、道標になれるかな、と。』
「そこに行くには、何かいるの?」
『そのことは、この子から聞いてください。』
私は小竜を狼から受け取った。
『ご主人しゃま!その場所に行くには、宝石の洞窟にしゅんでいるけいやくしゃ、あれきしゃんだーにあわないといけましぇん!』
アレキサンダー。
フローラさんによると、ピンクダイアナの次に偉い人だよね。
「わかった。チャロさん、みんな。ありがとうございました!」
『『また来てください。』』
私は小竜を抱っこしながら、琥珀に飛び乗った。
《アクアマリン、僕はいけないんだよ。そこには。‘本当’の宝石獣クリスタルアニマルと行かなきゃ。》
琥珀は胸がギュッとするような顔で私に伝えた。
‘本当’?
もしかして…
私は小竜のことを見た。
『どうしゅましゅた?』
「小竜さん、私と契約しましょう。」
『いいでしゅよ!』
それなら、
「アリル。」
『わかりましたー!』
小竜さん、改めアリルは急に大きくなった。
でかい琥珀ぐらいのサイズに。
これで、契約成立?
大人になったせいか、自分が使ってる言葉、全部ちょっと難しくなった気がする。
契約、とか。
ここからは危ないみたいで、私は谷に琥珀をお留守番させることにした。
「琥珀、良い子にして待っててね。」
《気をつけてね。》
「琥珀、泣いてる?」
目が濡れてきてるよ。
《っ!泣いてないもん!早く出発して!》
「永遠の別れじゃないから!待っててね!」
私はアリルの背に乗った。
琥珀のすがたがみえなくなるまで、私は後ろ向きに座った。

ーーーー

琥珀は、人間の姿になり、涙を拭きながら、
小声でつぶやいた。
「サヨウナラ。私の契約者。あなたの光になります。」
琥珀は涙を全て流しながら、光となり消えた。
‘真実’を味わいながら。

ーーーー

宝石の洞窟、アレキサンダーさん、琥珀のため、ホタルちゃんのため、頑張らなくちゃ。
ぐっと感情を押し殺していると、アリルが私に言った。
『泣いて、いいんだよ。』
「っ!」
「ううっ、ひっく。」
涙が、止まらなかった。
大人になったはずなのに、なんで泣いちゃうんだろう。
「私の、せいで、ホタルちゃんが、ひっく、私が、弱いから…」
どうして、どうして…
私は、こんなにも、役に立たないんだろう。
『アクア様、アクア様は何も悪くないですよ。ですので、どうか泣かないでください。』
アリル…
「アリル、私って、泣き虫だねえ。」
「ぐっちゃ、ぐちゃになるまで泣いて… 
無理だったのかな?ピンクダイアナなんて…」
顔をアリルの背中に埋めながら、私は、うざったるいほどアリルに聞いた。
その度に、アリルはちゃんと
『大丈夫ですよ。』
と、答えてくれた。

気づいたら、私は寝ていた。
アリルによると、微笑みながら。
そうだよね。泣いてちゃダメだ。
これからも、頑張らなくちゃ!
私は、一人じゃないから!
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