くすぐり小説【想像したことを書き綴るだけ】

ホロン

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オリジナルストーリー

くすぐり奴隷を購入した話 後編

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「んぅ…ふあぁぁぁ…。」

朝、いつも通りであろう時間に起きる。
…否、ここは日本ではなく海外だ。
時差の関係で、俺はこの国では早い時間帯に起きたのだと、直感的に分かった。

その証拠に、今こうして、隣に昨日レンタルした奴隷が寝ているのだから。

昨日は、あの後特に何かしたわけでもなく、普通にご飯を食べて、普通にお風呂に入って、普通に過ごした。
ご飯とお風呂に関しては、何も言わなければ遠慮される気がしたので、命令した。
渋々ではあったが、「ご厚意感謝いたします。」と言われて、ご飯を食べ、お風呂に入ってくれた。

そして、寝る際に1つの命令と1つの約束をした。

命令は、床で寝ずに添い寝すること。
というのも、このホテルはそこまで広くなく、ベッドが1人用であったので、これもまた何も言わなければ、地べたで寝てしまいそうだと思ったからだ。
これも感謝されてしまったが、どちらかというと、俺がただただ欲に忠実なだけだ。
この子、ちゃんと清潔さを保てば可愛いと、お風呂から上がってきた時に感じたから。

そして約束は、俺より早く起きることだ。
これはどちらかというと、ゲームのようなものだ。
もし俺より遅い時間に起きたら、起きた瞬間くすぐると言っておいた。
昨日散々くすぐったため、疲労で起きれないだろうとは思ったが、案の定起きていなかった。
とはいえ、ここまでぐっすり寝ているのを起こすのも忍びないと思ってしまう自分がいる。

「…いや…これ…。」

俺は、あることに気づいた。



「んぅ…あ、あれ…?」
「起きた?」
「は、はい…おきました…けど…これは…。」
「昨日、何の約束したか、覚えてる?」
「………!」

…と、演技をする。

起きると、ベッドにX字に拘束されていて、ご主人様が馬乗りになっていた。

これはおそらく、ご主人様が、私が約束を破ったと思っているから。
昨晩した約束を破れば、朝起きた瞬間からくすぐられる。

「じゃあ、言ったとおりくすぐるから。」
「…はい。」

でも、これでいい。

このご主人様は、私が今まで会ってきた中で一番優しい。
ご飯は基本的にレンタル期間中に1食だけで、ない時もあるぐらい。
お風呂なんてもってのほか、川で体を洗うことすらままならない。
おかげで体は臭くなるし、色々な箇所がべとべとする
もう慣れたとはいえ、嫌なものは嫌だ。

このご主人様は、ご飯をすでに2食もくださって、さらにお風呂も入らせてくださった。
ここまでのご主人様はなかなかいない。
だからこそ、その感謝を忘れたくなくて、ご主人様に「嘘」をついてまで、ご奉仕しようとした。

「…その前に…。」
「ひう!?」

服の中に手を入れて、腋をくすぐるのかと思ったら、そうではなく、乳首をいじってきた。
それに、「その前に」とは、どういうことだろう。

「何か隠してることない?」
「…!?」

純粋な質問。
けれど、日本語では、これを質問に見せかけた確認のために使うことがある。

日本語を知ったからこそ分かる。
ご主人様はおそらく、すでに全てを見透かしている

「ん…ありま…せん…。」

それでも、私は一度ついた嘘を貫き通そうとしてしまった。

「じゃあ、どうして、俺だけに掛け布団が掛かってたのかな?昨日は一緒に寝ろって言って、君にも掛け布団が掛かってたよね?」

やっぱりバレている。

けれどこれは、奴隷として生活する上での性のようなもの。
ご主人様より早く起き、ご主人様の喜ぶことをする。
今までずっと、そのようにしてきたから、私自信ほぼ無意識にやっていたこと。

「わ、私は…ん…その…寝相が悪くて…。んん…。」
「それならちょっとくらい乱れててもいいと思うけどなあ。俺が起きた時は、相当綺麗に掛かってたけどねえ?」

よく見ている。

「た、たまたまじゃないでしょうか…?ん…。」
「そう?じゃあもう1個言うけど、枕の位置も変えてるよね?」
「…!」

このご主人様、本当によく見ている。

今までは、私が何をしようと、嫌な気分にならなければそれでいいご主人様が多かった。
だからこのような気遣いも、気づかれないことが多く、気づいたとしても、掛け布団の位置だけのことがほとんど。
今回は添い寝自体が初めてだったから、枕の位置をずらして、ご主人様が寝やすくするということ自体も初めてやったのだが、そうでなくとも、それ以外の気遣いに気づくご主人様はいなかった。

気にかけてもらっている感じがしてとても嬉しかった。
これも、奴隷の性なのだろうか…。

そんなことを思っていると、それを見透かすような言葉が飛んできた。

「君は、影の気遣いが上手いね。」
「…え?」
「俺は、奴隷という存在を初めて見るから、どういったことをするのか興味があったんだ。何か、特別な訓練でも受けているのかなと。」
「…。」

ないわけではないが、それは、「くすぐられ奴隷」として、くすぐったさに敏感であるという点だけ、気遣いだけ見れば、普通の奴隷たちの方が上手だ。
むしろ、私はただの「くすぐられ奴隷」なのだから、くすぐりとは無関係の勝手な行動は怒られる行為だ。
命令されない限りは、私がやる意味がないから。

だからこそ、今まで気づかれずにやる方法を独自で身につけていた。
少しでも、奴隷生活に対してモチベーションを維持させるために。
だって、一度奴隷に成り下がったら、基本的にはもう一般人には戻れないから。

「そう言った気遣いを、なるべく気づかれずにして、しかもでしゃばらないのは、人としてすごいと、俺は思うよ。」
「あ、ありがとう…ございます…?」

感謝された。
ここまで深い感謝は初めてで、戸惑いすぎて一瞬敬語を忘れそうになった。

「でも…。」
「?」
「やっぱり、嘘をつくのはよくないかなぁ?早起きの件は、結局君の方が早かったけど、それとは別に、俺は嘘をついたことに対して、お仕置きをしようかなぁ?」
「え、えぇ?」
「さっき乳首いじったから…感度、上がってるよね?覚悟してね。」
「は、はい…。」

…という感じで、この後、めちゃくちゃくすぐられた。

昨日とは違って、耳元での甘い言葉責めや、優しくくすぐられつつキスで口を塞がれたりして、脳も体も溶けそうになった。



ホテルを出た後、この子を奴隷市場に返すべく、一緒に奴隷市場へ向かう。

向かってる最中は、この国のことについて知ってることや、奴隷市場についてのことを教えてもらった。
旅行は、こういった文化的なことや、その国ならではのことを知れるからいい。

けれど、会話中、もちろん話題に興味津々で聞いているつもりではあったが、時折この子が見せる悲しそうな雰囲気がより気になっていた。
もしかしたら気のせいで、ただの俺の勘違いかもしれないが、もし本当に悲しさを覚えているのだとしたら…。

「ご主人様、今回はレンタルにてご指名いただき、誠にありがとうございました。ご主人様にご寵愛いただき、私はとても幸甚に存じます。」
「…。」
「ご主人様…?」

最後まで奴隷としての立場を崩さなかった。
けれど、この言葉の最後で見せた笑顔は、間違いなく切なさがあった。

(値段は…円換算でどれくらいだ…。)
「ちょっとだけ待っててくれる?」
「?はい…。」

俺はその奴隷市場のオーナーに、料金システムについて尋ねた。

この奴隷市場では、レンタルの他に購入というシステムがあり、奴隷、オーナーの両方との契約を交わした上で、お金を払って奴隷を自身の所有物にできる。
一度所有物にしてしまえば、あとは主の思い通りで、つまりは、この奴隷市場からの束縛から解放される。

もし、俺がこの選択をするならば、俺は個人的な願望として、この子に尋ねたいことがある。

「1つ、質問していいかな?」
「?はい。なんなりと。」
「日本は好き?」
「…。」
「………!」

この子は、自分で日本語の本を読むくらい日本が好きなのだろう。
けれどこの質問は、それについて知りたいのではなく、この子が意図を汲み取ってくれることを想定した上での、確認だ。

「…はい。大好き…です。」

少し詰まらせながら、彼女は答えた。

「分かった。」

俺は、この子を購入した。

日本円に換算すると、思っているよりかは安かった。
おそらく、この国と日本との為替相場的に、円高なのだろう。

元奴隷を日本へ連れて行くことが可能かどうかは、正直わからない。
けれど、奴隷になっていたのなら、国籍は剥奪されていてもおかしくはないし、もしダメだとしても、俺がこちら側に移住すればいい。
それぐらいの覚悟はしている。

けれど今は、自分の選択が間違いではないこと、今あるプラスの感情を素直に受け止めることだけを考えるとしよう。

「これからよろしく。」
「はい…!ご主人様…!」

…そういえば…。

「君、名前はある?」
「な、名前は…奴隷市場では、0120と呼ばれてました。」

フリーダイヤルかな?

けれど、それは呼びづらいな…。
おそらく、名前はあったとしても覚えていない、と言ったところだろう。

「じゃあ、俺が名前をつけよう。」
「そ、それは…。」
「君は俺の所有物でもあるんだ。どうしようが俺の勝手だ。」
「………はい!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、日記はこれで終了だ。

万が一でもこの日記が見つかった場合、俺の名前も、訪れた国の名前も、そしてこの子の名前も、バレたくはない。
なので、ここから先は、これを読んだ人の想像に任せよう。

君は、この話が本当にあると思うかい?
もしあるなら、この国に訪れたいと思うかい?
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