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歯医者さんとぼく

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歯医者×患者

塩谷 尚人(受け)
趣味は映画鑑賞。暗い映画を観て落ち込んで寝込むタイプ。

絢辻 将吾(攻め)
趣味は掃除。お掃除ロボットをなぜかよく壊す。

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「ナオさんですよね……あれ、塩谷さん?」




わざわざ自宅から離れた駅前を起点にしてゲイ向けのマッチングアプリを使っていたのに、はじめて会う約束を取り付けた相手が長年通っている歯医者の先生だった確率って、どのくらいなんだろう。




「あ、はい………」




肩を叩かれて、振り返った先には今朝お大事にと言われたばかりの相手がいて、普通に苗字で呼ばれた僕は間抜けにも返事を返してしまった。






次最近、恋人と別れたばかりだった。
別れた理由は単純に相手の浮気で、僕が残業をしてボロボロになって帰ってきたら恋人は別の男にチンポをハメていて、全裸のまま2人を部屋から放り出して数年続いた恋愛が終わった。

数日くらい落ち込んで寝込んで、落ち込むフェースが終わったら次は部屋のもの全部捨てて、スッキリ片付いた頃にやけになってめちゃくちゃに遊んでやろうと相手を探して今に至る。

偶然ですねえ、とヘラヘラ笑っている絢辻先生に僕はどうして良いのか分からずひたすら嫌な汗をかいていた。

駅前の口コミのいい小さな歯医者。絢辻はそこの歯科衛生士の1人で、僕の担当医でもあった。
のんびり落ち着いたした喋り方が特徴的で、虫歯ができやすい僕にいつも「やりがいあるんで楽しいですね~」と声をかけてくれるような優しい先生。
私服姿の絢辻は、品の良さそうな紺色のシャツを着ていて、普段白衣の姿しか知らない僕からすれば新鮮だった。
確か僕とは歳が近かったはずなので若い方だと思う。こんなモテそうな人となんでマッチングしたんだろう。

顔を合わせる相手に自分の性的嗜好はあまり知られたく無かった僕は、ここからどうにか人違いを装って帰れないかを模索する。無理か、さっき返事しちゃったし。ていうかこの人、こっち側だったのかよ。


「まぁせっかくだしホテル行きます?」

「……え、は?いや、……え?」

「そもそもワンナイトのつもりでしょ、お互い」

「…まあそう…ですけど、……え?先生本気で言ってます?」


はははと爽やかに笑うと、そのまま絢辻は僕の背中に手を添えて歩き出した。場所も調べずに僕の返事も聞ききらずにうまいことゆっくり歩き出すまでがあまりにスムーズで、あっこの人遊びまくってるんだと察してしまって、僕が描いていた爽やかで優しい先生像が崩れて複雑な気持ちになった。





混乱したままホテルに着き、そのまま流れるようにシャワーを浴させられて、まだ実感も湧かずにぼんやりしているとすぐに絢辻が出てきて僕の隣に座った。
湿気で少しだけ髪型が崩れて、前髪が落ちて目を覆っている。それが妙に色っぽくてどきりとした。


「ラッキーだったな。俺ずっと好きだったんですよね」

「………え?」


どさ、と押し倒されて絢辻が上に乗っかった。

突然の告白に混乱しつつ、あんまり今まで告白されることもなかった僕はしっかり赤面した。

絢辻が手を伸ばしてするりと頬を撫でる。優しい触れ方に急に恥ずかしくなった。頬を滑る指がそっと唇に触れたと思うと、感触を楽しむようにむにむにと柔らかく押した。

キスされる。
そう思ってつい緊張してしまう。
唇のフチに親指が添えられて、いよいよだと思って僕がキツく目を閉じると、突然グイッと唇を引っ張られ、歯を剥き出しにされた。


「……フェチなんですよね。歯並び悪いの。塩谷さんの歯特に好きなんすよ俺。丸っこくて小さいのに並び前後しててかわいい」

「…………………は、へ、なに?なんて?」


予想だにしなかった方向から告白を受けた。混乱していると口の中に滑り込んできた指が下の奥歯に触れ、ぐっと下げられる。口を閉じられなくなった僕を見下ろす絢辻は、しっかり欲情している雄の顔をしていた。

確かに僕は歯並びが悪い。
昔からずっとコンプレックスで、人前で口を開けないように笑わないようにしていた。そのせいで愛想が悪いと叱られることもあったくらいには、歯並びが悪かった。
だから正直絢辻が言っていることが理解できなくて怖い。
この人、変態だ!かかりつけの歯科衛生士が変態だったんだ!怖!
僕のこと治療しながらエロい目で見てたって事!?


「ぁ!?、……っう、ぁ」


文句を言おうとした矢先、絢辻の指が僕の歯をなぞって動き始めた。
うまいこと口を開けた状態で固定させて、上顎の前歯の裏をゆっくりなぞっていく。犬歯の尖ったところを親指で軽く押したかと思えば、また奥に戻って奥歯の凹凸を確かめるようにすりすり撫でる。
時折奥で縮こまった舌をくちゅくちゅ撫でられたり、上顎をそっとくすぐられると、あーこれ診察じゃなくてちゃんとエロい事してるんだ…と自覚してしまって顔が熱くなった。


「…一回、ちゃんとまじまじ見てみたくって。あはは、やっぱ歯ちっちゃいのっていいな」

「へんはい……」


溜まった唾液が口の端から溢れてつう、と垂れた。
絢辻の指が唾液でベタベタになっているのが恥ずかしい。本人はお構いなしのようで、特に上顎の犬歯がお気に入りらしく唇を押し開けて眺めたり表面を撫でたりを繰り返している。

こんな風にベッドで口の中をマジマジと見られたことなんか無かった。
さらに相手がそれに性的に興奮するなんてシチュエーション知らなくて、僕は経験したことない羞恥を感じるハメになる。

歯の先の尖った部分に指を引っ掛けるようにして、何度もゆっくり絢辻が撫でる。
じっとりした動きは、肌を優しく愛撫するときの手つきに近い。
意識してしまうとだんだん本当に気持ち良いことをしているような気分になる。そんな性癖は僕には無いし要らないので、慌てて意識を逸らした。


「ここはちゃんと尖ってるんだ。でもなんか丸っこく見えてかわいい、ふふ」

「………………………」


僕の葛藤を他所に、楽しげなのを隠しもしないで絢辻がそう言った。
ときどき触れてしまう下半身に違和感を感じて、そっと股間に触ると、(こんなに好き勝手してくるんだから、僕だって触っても良いだろう)思った通りすでにちょっと反応して固くなっている。
この人本当に興奮しているんだと知ってしまった。若くて優しくてよく笑う爽やかな先生がこの性癖持ち。残念すぎる。


「…なに、変態って言いたいんですか?」

「もーいっへまふ」


口を開けられたままふがふが答えると、ちょっとだけ面白くなさそうな顔をした絢辻が、突然僕の舌を摘んでぬちぬち擦り始めた。
僕が舌を引っ込められないよう柔らかくつまんで、指の腹でくすぐるように撫でる。くすぐったさの中にほんの少し性的な気持ち良さがあって、いやでも息が荒くなってしまった。
ときどきぐぎゅっと摘まれて擦られると、ひくっと腰が跳ねる。


「じゃあ塩谷さんも変態だね、しっかり勃ってますよ」

「は、…え、うそ」

「本当。ほら」

「あ!……え、ぅあ、あっ」


ぐい、と僕の脚の間に絢辻が太ももを割り込ませて押し上げる。直接的な刺激につい声が漏れた。


「口の中気持ち良かった?舌触られるの好きそうだけど」 


意地悪な顔をして笑った絢辻が、僕を見下ろして口の中を掻き回した。

涙袋の目立つ目元をしている分かなりかわいらしい印象が強い先生だけど、こういうふうに見下ろされるとそういう小動物的な印象が消えて、一気に男の顔になるらしい。

ああダメだ、顔を見てるとどんどん興奮してくる。


実際のところ、僕は駅前の待ち合わせの時点からめちゃくちゃ期待していて、押し倒された時にはもうばっちりその気になっていた。
理由は簡単。僕はめちゃくちゃな面食いで、この先生の顔がどタイプだったのだ。

少し垂れた大きな目、小さめで丸く見える黒目、ふっくらした涙袋にしっかり鼻幹が立ち上がった鼻。唇は薄い方が好きだし、犬っぽければなお好きだ。
要は童顔のカエル顔が好き。
それでほんの少しだけ、クズっぽい雰囲気が欲しい。

僕は恋人を選ぶときにいつもこうやって顔で探しては、クズっぽいという印象だけで終わらない正真正銘のクズを引き当てて失敗している。
そんな風に失敗しても失敗しても僕は結局顔で選ぶほど、どうしようもなく面食いなのだ。

そして、今まで出会ってきた男の中でわ1番好みに近いのがこの目の前の男だった。
目元も鼻筋も唇も、輪郭も髪型も、なんなら首の太さも手が綺麗なところまで全部好みだった。
僕が定期的に検診で歯医者に通うのは、虫歯ができやすい以前に顔が見たかったからだ。

そんな男に抱かれるとなれば、たとえずっと歯をいじくり回される羽目になったんだとしても興奮してしまう。
むしろ変態趣味を見せられてさらに興奮したまである。本当にどうしようもないのは僕だ。


「ぅ、ン、んん……!」


何か言い返す前に絢辻がキスをした。すぐに舌が割り入ってきて、丁寧に歯の裏側をなぞってそれからくちゅくちゅ舌を絡められる。
ねちっこいキスだった。じっくり堪能するように歯列をなぞっていく舌に、いやでもぞくぞくと背筋が震えた。

そっと薄目を開けて至近距離で顔を見る。
目を伏せたときにだけ見える瞼の二重の線が見えた。
おもったよりくっきりした奥二重なんだ。あーこれすらめちゃくちゃ刺さる、マジで顔が好み。

どうせワンナイトだし、こんな好みの顔に抱かれる経験なんてこの先無いかもしれない。
少しずつ頭に血が昇って思考を放置し始めた僕は、そうやって都合のいい言い訳を自分自身にしてから好きにしてくれと言わんばかりに絢辻の背中に腕を回した。





「あ、ぁ、ア!……っふ、ぁ」

「かわい…本当、ナカすごいね。ねぇ指噛んでよ」


後ろからめちゃくちゃに突きながら、絢辻が歯の裏側を指で撫でた。
やたらとデカいそれで良いところをガンガン突かれて、時々乳首もつねられて引っ掻かれて、訳がわからなくなった僕はもう歯を撫でられるだけで気持ち良くなってしまうまでには欲情していた。

ずっと僕の口を触るのをやめない絢辻が、奥歯をとんとん突いて噛んで、とまたささやいた。

言われた通りに恐る恐る歯を立てる。

少しだけ弾力がある指は案外噛み心地が良くて癖になりそうだった。昔飼ってた犬が骨ガムをしきりに噛んでいた姿を思い出して、ちょっとだけ共感する。
ぎゅう、と噛み締めるようにゆっくり力を入れた。
関節の骨の部分の硬さを感じた瞬間、ものすごい背徳感に襲われる。
絢辻の形が良くて長い指を思い出した瞬間、腹の奥が熱くなった。

「あ、締まった。…ねえ、もしかしてよく遊んでます?」

「そんなんじゃ……ぅ、ひぁ、あっ」

「ほんとに?だって、イくの癖になってるじゃん、ほら」

「え…、ぅあ、アッ!待っ、ひ、あー……」


ぐいっと腰を固定されて、思いっきり腰を打ちつけられる。ぷっくり腫れた前立腺を押しつぶすようにガツガツ突き上げられて、気持ち良すぎて腰が砕けそうになる。
あっまたイッた。イッてるっぽい。弱々しく放たれた精液がぽたぽたシーツに落ちていった。

別に遊んできたわけでは無い。そうでは無いけれど、歴代の恋人たちが浮気性だった分、抜群にセックスが上手かったのだ。
更にどうも全員僕のことをいじめたくなる性分だったらしく、散々調教されて開発されて、それはもう好き放題に抱かれた。

その結果、元々早漏気味で快感にも弱いタイプだった僕はこんな風に一回のセックスで数回は達せるようになってしまったし、なんならドライでもイけるようになってしまった。言ってしまえばめちゃくちゃ雑魚体質。
だからこうやって、割とどの男にもセックスでは喜ばれる。

そんな事を考えていたら、元カレの顔が浮かんでしまった。最近全頭ブリーチをして入れたベージュブラウンの髪になって、それがすごく似合っていた。
笑った顔がサモエドに似ていて確かに顔も好みだったが、それに加えて音楽の趣味もドラマの趣味も合ったし、なにより同じラジオを聴いている男だった。同じ話題で盛り上がれるのはもちろんだけど、それよりも笑いのツボみたいなものが同じだったことが、僕は嬉しかったのだ。
こいつとだったら本当に長く一緒にいられるかなって安心した矢先の浮気現場遭遇。僕のことあんなに好きだって言って、裏切らないって言ったのに。泣きたくなってきた。


「あはは、すご。またイッたの」

「ぅ……も、キツいって…」  

「うそ。まだいけるでしょ塩谷さん、ほら頑張って」

「ア!ばか、やめ、……あ、あ、あ゛っ!」


涙目になってる僕になんて気がついていない絢辻が、僕の性器に触ってそのまま扱き始める。
器用に腰を動かしながら右手で的確に弱い部分を扱かれて、いやでも僕のは反応してたらたらと先走りをこぼし始める。

感傷に浸っている暇も無くなって、すぐに頭がショートしたように真っ白になった。
ぐいっと顎を捕まえられて、強引にキスをされる。体制がキツくて苦しくて顔を逸らそうとしても全然逃してくれない。
口の端から指が入れられて、奥歯に噛ませるように口をこじ開けられてのキスだった。声もだだ漏れになって、唾液もたらたら溢れて顎先を伝って落ちるのが分かった。

絢辻が体重をかけて押し潰してきて、寝バックの姿勢になる。
いよいよ逃げられなくなって、また良いところをガツガツ容赦なく責められる。更に口の中も指で歯列をなぞったり舌をつまんだりされ、目の前がチカチカした。
自分と絢辻の体重でベッドに性器が押し潰されていて、それすら腰が砕けるほど気持ちよかった。


「ねえ塩谷さん、また遊びたくなったら俺のこと呼んでよ」

「あぐ、…ァ、あ゛っ!なに、なんて……」

「塩谷さん、すっごいタイプなんだもん。…いつでも抱いてあげるからさ」

「も、むり、アッ、やめ、……んゔッ!!」


ずりゅっと勢いよく性器を抜かれて悲鳴に近い声が漏れる。絢辻は間髪入れずに僕をひっくり返して、今度は正常位でまた突き刺した。

あーダメだと思った。これだと顔が見えてしまう。伏目がちに僕を見下ろしている表情が色っぽくて、下腹がきゅんきゅん疼く。
緩んだ口元も、ギラついた目も全部良かった。僕に夢中になって惚けただらしない顔をするのがたまらなく良い。

絢辻が眉を顰めて快感に耐えるような表情を見せる。わざと腹に力を込めて締め付けると、一瞬顔を歪ませた。ちょっと童顔でかわいらしい印象のある男がこうやって、一気に雄っぽい顔に変わる瞬間がたまらない。

手を伸ばして頬を撫でると、手首を掴まれ軽く指を噛まれる。


「…こっちの体位のが方が好きなの?すごいけど」

「ン、だって、顔見えるし……ぅぁ、あ゛ッ!?」


絢辻が僕の足を肩にかけて、そのまま深いところまでぐいぐい押すように腰をすすめた。

今まで一度も触れられなかったような所をぐりぐり押し潰されて、声にならない悲鳴がヒューヒュー喉から漏れ出る。指先まで甘く痺れるほどの強烈な快感だった。
ガクガク腰が震えて、少ししてからドライで達していたことに気がつく。
知らない、こんなの知らない。


「……もう出すね、1番奥で出してやるから」

「ぁ、~~~~ッッ、~~!!」


僕のことなんてお構いなしに、絢辻が乱暴に腰を打ちつける。どうにかなってしまいそうな快感だった。ほとんど無意識で絢辻に足で抱きついて腰をがっちりホールドする。

小さく絢辻が声を漏らして、それから奥の奥でドクドク脈を撃って射精した。
しばらく僕は放心状態で、ベッドから腕すら起こせなかった。






「ねえ、もしかして塩谷さん俺の顔好きだった?」

「………急になんすか」

いつの間にか下着を履いていた絢辻が、思い出したようにそう聞いてきた。
その通りではあったが、はいそうですと言うのは恥ずかしくって顔を逸らしてしまう。
というかあんなセックスしておいてなんでそんな元気なんだよ。

「いや、元々職場でも見られてる感覚はあったけど、さっきも反応全然違かったしさ」

「えっ見られてる意識あったの?」

「うん。てかやっぱそうだったんだ、俺ら相性いいね」

絶頂の回数が多かった分、まだ余韻が抜けきらない僕はどうにかシャワーは浴びたもののまだぼんやりしていて、下着すら付けられていなかった。
正直頭も回っていなくて、絢辻が言っていることがピンと来ない。

「相性って……」

「さっきシてる時も言ったけどさ、また遊ぼうよ。塩谷さんも知らない男とするより俺の方が良くない?」

「えっと…セフレになれってこと?」

「うん」

「…………うーん、まあ」

一度曖昧な返事をして、瞼を閉じてゆっくり考える。

正直あまり身体だけの付き合いは好きではない。僕はそもそもちゃんと恋人が欲しいタイプだし、勢いで始めてしまったこういう遊びもちょっと経験したらすぐ辞めるつもりだった。当然セフレなんか作る気は無い。

ただ、絢辻に関しては顔が好みすぎて断るには惜しすぎる。
もうこんな好みドンピャの顔の男とは出会えなさそうだし、また抱いてくれるって言われちゃったらそんなの、まあ、断る理由は無い。 

次の恋人が出来るまでだったら良いか、と思った。余計なこと思い出して、落ち込まないで済みそうだし。

「オッケーの返事?それ」

「まあ、うん。…いいよ、恋人が出来るまでなら…」

「あはは、じゃあ連絡先教えてくださいよ」

「……そっちの僕のスマホ、取ってください」

手渡されたスマホのロックを解いて連絡先を交換する。顔見知りの相手と改めてプライベートで繋がるのって変な気分だ。ぼんやりアイコンの飼い猫と思われる画像を眺めてそんな事を考えた。

視線を感じてスマホから目線を外すと、じっと絢辻が僕の顔を見ていた。思いっきり目が合ってしまってたじろぐ。
ふふ、と小さく絢辻は笑って僕に軽いキスをした。

なんだそれ。
結構そういうので好きになったりしちゃうからやめてほしい。

ちゅ、ちゅ、と何度かキスをされて、至近距離で顔を覗き込まれる。

「…塩谷さん明日予定ある?」

「なんすか…別に無いけど」

「じゃあもっかいシていい?」

「え"っ…嘘でしょ?!」

「嘘じゃないですよ、ほら。…またムラムラしてきちゃった」

「いやいやいや、無理、無理だってもう…うわっ」

僕に覆い被さってきた絢辻が、勃起した性器を僕の萎えたそれに擦り付けて来た。下着越しでも分かるくらい熱くて硬い。
…あんなにじっくりしておいて、もう回復したの?

すりすりと腰を押し付けられて、もどかしい刺激にまた甘い快感が腰から広がる。
鼻先が触れ合うくらいの距離でじっと絢辻が僕の目を見て言った。熱っぽい表情で、僕のこと抱きたくてたまんないって顔で見つめられる。

「…ねえ、駄目?」

「……う、うう。分かってやってるでしょ、そういうの…」

「あ、ちょっと勃ってきてる。かわいい」

「あ"~もう、分かったからほんと、これで最後にしてください……」

嬉しそうな顔をした絢辻にキスをされながら、もし毎回このペースなら、僕の体力持つかな…と若干不安も覚える。けれど結局、熱い舌で口内を弄ばれるうちにどうでも良くなってしまった。

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