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3話 合コン

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がやがやと騒がしい居酒屋の奥の席。
創作料理がメインの適度に気軽で適度におしゃれな店のチョイスはひかるだった。
相手はサークルで交流のある大学の女の子。幹事が上手くセッティングしてくれたらしい。
こういうイベント自体かなり久々で、珍しく俺もちょっとだけ緊張した。


女の子が取り分けてくれたサラダがもうすっかりなくなって、ポテトや唐揚げ、あとはちょっとしたつまみの盛り合わせがテーブルに並んだ、合コン中盤。
なんとなく打ち解けてきて席替えも挟んだ頃だった。全員アルコールも入って緊張も解けて、少しずつグループが出来始めている。

俺はバスケ鑑賞が趣味の子と話が盛り上がって、隅の席で2人で話していた。
ふわふわのショートボブとキラキラ光って見える大粒のピアスの女の子で、まつ毛が長くて可愛らしい。
帰り際連絡先は聞いておこうと思いながら、グラスが空いていることに気がついてメニュー表を渡す。


「あきちゃん、なんか飲みたいのある?」

「えー、茉理くんと同じの」


メニューを覗き込む時に肩先が軽くふれて、フワッと香水の匂いがした。ムスク系の重たい匂いは意外だった。あー、ちょっといいなと思った。


注文を頼もうと顔を上げた時、ちょうど目の前の席にひかるが座っていることに気がついた。
ひかるはひかるで別の子と話していたけれど、なんだかあんまり集中できていないようでしきりにグラスをクルクル回している。
そう言えば序盤、女の子が席を外したときに誰か香水頭から被ってきてない?と俺に耳打ちしてきた。聞くとどうやら匂いが気になるらしく、なんとなく気分が優れないと言った様子だった。
まだ引き摺っているんだろうか。

ていうか、もしかしたらこの子の香水なのかな、と思った。そこまでキツく無いと思うけど、ムスクって好み分かれるし、彼女がつけてるのそこそこ重めだったし。だとしたらちょっとひかるが可哀想に思えた。

そもそもこの合コン自体、結構前にひかるが彼女と別れてそれから長めに落ち込んでいたから、そろそろ彼女作っても良いんじゃ無いかと企画されたものだった。
草食系みたいな顔して意外と面食いでガツガツ行くタイプのひかるが、可愛くてしかも胸もでかい子とすらまともに話さないなんてあり得ないのに、ひかるはやっぱり心ここに在らずといったようで、空返事を繰り返している。

注文を取りに来たスタッフに、一応ひかるの分の水も頼んでやる。まあ最近テスト続きで2人して徹夜してたし、そのツケかなと思って見ていた。
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