上 下
80 / 232
二章【波乱のウィンターホリデー】

お前ら喧嘩売ってくるなよ下さい

しおりを挟む
皆様こんばんは。アリア・ローゼリッタです。パーティもそろそろ一区切りが着きそうな感じです。そろそろ日付が変わりますからね。私の誕生日パーティが終われば、後は商談やら出会い探しの夜会へと早変わりです。その前に私はお暇しますけど。


「お姉ちゃん」


「テオ。どうかしましたか?」


「お父さん達から…そろそろご挨拶においでって伝言…ご挨拶って?」


嗚呼、噂をすればもう区切りですね。よし、やっと解放されます。はぁ…長かった…


「伝言ありがとうございます、テオ。ご挨拶はパーティの締め括りの挨拶ですよ。開始の挨拶はお父様とお母様がやってくれましたからね。終わりの挨拶は私が行うんです。テオもいつかやる日が来ますよ」


「それは…ちょっと…緊張する」


「皆そう言う物ですよ。大丈夫。さあ、お父様達の所へ戻りましょうか」


テオの頭を軽く撫でてそのまま手を繋いで、お父様達の元へ向かいます。アメリア達にも、そろそろ区切りの時間だと伝え、一ヶ所に集まって貰っています。お見送り楽ですからね。


「ああ、お帰りテオ。伝えて来てくれてありがとう。挨拶は出来そうかい?アリア」


「はい。大丈夫ですよ。少し緊張しますけど」


「アリアは少し人見知りの嫌いがあったけど…最近の様子を見ている限りじゃ大丈夫そうだったものね。ダンスも素敵だったわ~」


お父様とお母様。普通に喋ってますけど、今現在進行形で腕組んで密着してます。何でこんな距離感の夫婦見て、自分にも好機があるとか思うんでしょうね。私だったら即退散ですよ。自分が虚しくなるだけでしょうに。


「時間だね。じゃあ始めようか」


「アリア、頑張ってね~。テオは私達と一緒に見守ってましょう。大丈夫、出番は最初だけだから」


両親が先頭を歩き、私達は後ろに続きます。それだけでホール中の視線が集まるんですから、あの2人の存在感は群を抜いてるんですよね。祝福の視線と同時進行で妬みの視線も突き刺さってますね…あ、多分テオ。こう言った視線に敏感な子ですね。少し肩が震えてますし顔色が悪い…


「大丈夫。何があっても、私やお父様、お母様が貴方を守ります。だから肩の力を抜いて。私達が居ますから」


「…!うん…」


こっそり囁いた言葉にテオは顔を上げ、少し良くなった顔色で前を向きました。良かった…


「皆様、本日は娘の誕生を祝う席への出席。誠に感謝しております」


「皆様からの温かい言葉や贈り物に、ローゼリッタ家一同…心が震えています。残念ではありますが、このパーティに一度区切りをつけさせて頂きます。アリア、前にいらっしゃい」


「はい」


お母様に促され、私は前に出ました。うわ…此処だと本当に視線が一心に集まりますね。少し怖い…かもしれません。心なしが…手が震えていますし…大丈夫…大丈夫…


「アリア。大丈夫だ」


「貴女なら出来るわ」


そんな私を励ます様に、両肩に両親の手が置かれました。何故かそれだけで手の震えも恐怖も治まって…不思議ですね…親の力と言うのは…よし、さっさと終わらせてしまいましょう。


「皆様、本日は私。アリア・ローゼリッタの誕生を祝って下さり、本当に感謝しております。体の弱い私は、これまで滅多に皆様の前に出る事は叶いませんでしたが、本日は祝ってくださった方々のお顔を実際に拝見し、言葉を交わす事が出来、とても感激しております。この挨拶を持って、このパーティは御開きとさせていただきますが、夜会はまだまだ続きますので、どうぞ皆様の心ゆくままお楽しみ下さい。これで挨拶を終わりとさせていただきます。御清聴、ありがとうございました」


最後にお辞儀をすると、まばらな拍手の後、大きな拍手がホールを包みました。まあ、私に喧嘩売って来た方々は面白くなさそうにこっち見てましたけどね。何かまた吹っ掛けられそうで嫌ですね…早めに退散しましょうか。


〈〈〈お前ら喧嘩売ってくるなよ下さい〉〉〉
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後

有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。 乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。 だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。 それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。 王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!? けれど、そこには……。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

悪役令嬢ですが最強ですよ??

鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。 で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。 だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw 主人公最強系の話です。 苦手な方はバックで!

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

処理中です...