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二章【波乱のウィンターホリデー】
お前ら感謝くらいさせろ下さい
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皆様こんばんは。アリア・ローゼリッタです。お祭りの祭囃子が小さく聞こえる中、お父様の案内で、竹林を進んだ先にある高台へと来ました。人1人居ない少し淋しい雰囲気です。
「此処だよ。ベンチに座ろうか」
「少し寒いわね…2人は大丈夫?」
「はい。大丈夫ですよ。お母様とお父様こそ大丈夫ですか?温かい飲み物、買っておけば良かったですね…」
すると、お父様とお母様はニッコリと優しく笑い、お父様が私を、お母様がテオを其々の膝の上に乗せました。え?
「お、お父様!?」
「はは、驚いてるね。久し振りだね。アリアをこうやって膝に乗せてあげるのは。うん、アリアは体温は低めだけど、やっぱり暖かいね。優しくて愛おしい体温だ」
「…そうですか…」
頭をポンポンされたら流石に抵抗する気も起きませんし…暫く大人しくしていましょうか…
「あぅ…」
「急にごめんなさいね。でも、私もテオと仲良くしたいわ。母親だもの。頼って頂戴」
「は…えと…うん」
お母様もテオの頭を優しく撫でると、夜空を見上げました。星がとても綺麗です。
「そろそろかしら!」
「そうだね。きっと」
4人揃って夜空を見上げると、空に光の花が咲きました。色とりどりの光が私達を包んで、とても幻想的な景色が広がっています。
「綺麗…とても…」
「そうだね。アリア。また君を此処に連れて来られて嬉しいよ」
あ…そうでした…初めてこのお祭りに来て、此処で花火を見て…確か、また花火を見に来たいとお父様達に言って…来年も来る筈だったけれど…私の体調が悪化して来れなくなって…今日まで…
「…御免なさい」
「…?どうして謝っているの?アリア」
「お父様もこのお祭りが好きだったでしょう?お母様も来たがっていて…私の体調さえ悪くならなければ…もっと行けた筈なのに…御免なさい…もっと早く…私が回復していれば…こんなに待たずに済んだかもしれないのに…」
嗚呼…綺麗な花火が目の前に咲いているのに視界が霞む…泣いてはダメ…悪いのは私なんですから…
「アリアは本当に優しい子だ」
「えっ…」
「泣き顔も…本当に久し振りだね」
お父様は目尻に溜まった私の涙を優しく拭ってくれました。なんで…
「アリア。私達はね、貴女とテオと…家族4人で此処に来れた事が幸せなのよ。謝るのは私の方だわ。御免なさい、アリア。貴女が苦しんでいるのをわかる事が出来なかった。そしてありがとう。私達の事を沢山考えてくれたのよね。貴女みたいな優しい娘を持てて、私は…私達はとてもとても幸せよ」
「僕もお姉ちゃん好きだよ…!優しくて…お勉強も教えてくれて…でも、泣いてるお姉ちゃんは好きじゃない…」
…情けないですね…お父様とお母様の優しさにも気付かないで…弟にもそんな顔させて…
「…ありがとうございます。私も幸せです。家族でこの場所に来れて」
今出来る精一杯の笑顔は…少し歪かもしれませんが…それでもいいですね。今は花火を見るのが1番です。でも…帰ったらまた感謝を伝えさせて下さい。あと…少しの文句も…優しすぎてお礼も、謝罪も受け取ってくれない自分勝手な両親と弟へ。
〈〈〈お前ら感謝くらいさせろ下さい!〉〉〉
「此処だよ。ベンチに座ろうか」
「少し寒いわね…2人は大丈夫?」
「はい。大丈夫ですよ。お母様とお父様こそ大丈夫ですか?温かい飲み物、買っておけば良かったですね…」
すると、お父様とお母様はニッコリと優しく笑い、お父様が私を、お母様がテオを其々の膝の上に乗せました。え?
「お、お父様!?」
「はは、驚いてるね。久し振りだね。アリアをこうやって膝に乗せてあげるのは。うん、アリアは体温は低めだけど、やっぱり暖かいね。優しくて愛おしい体温だ」
「…そうですか…」
頭をポンポンされたら流石に抵抗する気も起きませんし…暫く大人しくしていましょうか…
「あぅ…」
「急にごめんなさいね。でも、私もテオと仲良くしたいわ。母親だもの。頼って頂戴」
「は…えと…うん」
お母様もテオの頭を優しく撫でると、夜空を見上げました。星がとても綺麗です。
「そろそろかしら!」
「そうだね。きっと」
4人揃って夜空を見上げると、空に光の花が咲きました。色とりどりの光が私達を包んで、とても幻想的な景色が広がっています。
「綺麗…とても…」
「そうだね。アリア。また君を此処に連れて来られて嬉しいよ」
あ…そうでした…初めてこのお祭りに来て、此処で花火を見て…確か、また花火を見に来たいとお父様達に言って…来年も来る筈だったけれど…私の体調が悪化して来れなくなって…今日まで…
「…御免なさい」
「…?どうして謝っているの?アリア」
「お父様もこのお祭りが好きだったでしょう?お母様も来たがっていて…私の体調さえ悪くならなければ…もっと行けた筈なのに…御免なさい…もっと早く…私が回復していれば…こんなに待たずに済んだかもしれないのに…」
嗚呼…綺麗な花火が目の前に咲いているのに視界が霞む…泣いてはダメ…悪いのは私なんですから…
「アリアは本当に優しい子だ」
「えっ…」
「泣き顔も…本当に久し振りだね」
お父様は目尻に溜まった私の涙を優しく拭ってくれました。なんで…
「アリア。私達はね、貴女とテオと…家族4人で此処に来れた事が幸せなのよ。謝るのは私の方だわ。御免なさい、アリア。貴女が苦しんでいるのをわかる事が出来なかった。そしてありがとう。私達の事を沢山考えてくれたのよね。貴女みたいな優しい娘を持てて、私は…私達はとてもとても幸せよ」
「僕もお姉ちゃん好きだよ…!優しくて…お勉強も教えてくれて…でも、泣いてるお姉ちゃんは好きじゃない…」
…情けないですね…お父様とお母様の優しさにも気付かないで…弟にもそんな顔させて…
「…ありがとうございます。私も幸せです。家族でこの場所に来れて」
今出来る精一杯の笑顔は…少し歪かもしれませんが…それでもいいですね。今は花火を見るのが1番です。でも…帰ったらまた感謝を伝えさせて下さい。あと…少しの文句も…優しすぎてお礼も、謝罪も受け取ってくれない自分勝手な両親と弟へ。
〈〈〈お前ら感謝くらいさせろ下さい!〉〉〉
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