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二章【波乱のウィンターホリデー】

お前らあっち向け下さい

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皆様こんにちは。アリア・ローゼリッタです。あの後着物戦争(仮)が終わり、結局私は青色の着物を着せてもらっています。帯は赤色です。お父様は紺色の着物に黒色の羽織を着ていますね。大人っぽいです。

私達が再び広間に戻ると、其処には寂蓮さんだけでなく、その他複数の人が着席しています。なんか…浮いてますね。髪色的に。


「皆様よく来て下さいました。此方は、ローゼリッタ家のヴィンセント・ローゼリッタ殿とその御息女、アリア・ローゼリッタ嬢で御座います。態々王都から此方に来て頂きました」


皆さんの視線が一斉に此方に向きます。老若男女問わず、色々な方が出席されているようですね。歳が近そうな方が何人かいらっしゃいます


「ヴィンセント・ローゼリッタと申します。この度は御招待ありがとうございます。是非この東の地域の文化を学ばせて頂きたい」


「ア、アリア・ローゼリッタです。貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございます。皆様が大切になさっている文化を是非体験させて下さい」


良かった…視線に棘は感じませんから、上手くいったみたいですね。却説…お茶会とはマナーが打って変わりますから…慎重に行きましょう

此方のお茶のマナーは礼儀が元となっていますから…あ、寂蓮さんが菓子鉢を持ってきて下さいましたね…お茶菓子は、寂蓮さんに勧められてから手を伸ばします。そしてお隣の方に


「お先に」


そう言う事で、お先に頂戴します。の意味で同席者への心配りとなる様で…それはお茶の場合も一緒です。抹茶…飲めるでしょうか…前世では苦くてあまり飲めませんでしたが…ストレートの紅茶とはまた違う苦味なので…心配です。

あ、お菓子は懐紙かいしと呼ばれる紙をお皿の代わりにしてお箸で1つ取ります。お箸はお菓子を置いた懐紙の端で拭ってから、菓子鉢の上に元あった様に戻すんです。菓子鉢を隣に送った後にお菓子は懐紙ごと口の近くに運んで、添えられた楊枝で切ります。抹茶を飲む前に食べ切るのがマナーです。あ、楊枝と懐紙は持ち帰りますよ。


「ふむ…本当に素晴らしいですね。此方には無い物ばかりです。この茶菓子も精密で美しい…職人の技が光っていますね」


「そう言っていただけて恐縮です。そうです、抹茶は苦く、他地域の方はあまり得意ではないとの事…大丈夫ですかな…?」


「ええ、私は東の地域出身ですからね。抹茶は少々たしなんでおりましたから」


お茶菓子を食べ終わり、お茶が来るのを待っている時間にお父様とのお話が再開しました。お父様は東の地域の名家の出らしいです。名前が其方の物とは違うのは、お祖母様…つまり私の曽お祖母様が西の地域の方で、名付け親が彼女だったらしく、ヴィンセントと言う名になったそうです。


「アリアは大丈夫かい?抹茶は初めてだろう?無理はしないようにね」


「大丈夫ですよ。お父様。抹茶には前から興味がありましたから…こんな貴重な機会、逃したら勿体無いですから」


そうだ、後でお店によって金平糖を買いましょう。きっとテオも気に入る筈です。あとは…月餅も良いですね…ふふ、楽しみです。


「アリア嬢は勉強家でいらっしゃるのですね。実に素晴らしい。先程の作法もとても美しくていらっしゃった」


「ふふ、有り難う御座います。この子は学校でも優秀な成績を修めてくれていましてね…本当に自慢です」


そんな公開誉め殺しみたいな事止めてもらっても?恥ずかしさで死にたくなりますし、何か視線がエグいですから!!


〈〈〈お前らあっち向け下さい!!!〉〉〉
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