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一章【平穏ライフを目指して】

お前らハードル上げるな下さい

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皆様こんにちは。アリア・ローゼリッタです。あの後無事とは言い難い感じでルカが起床し、本当に寝惚けていた様で全力で謝られ、2年生の先輩達がそれを不審がり、シュテル先輩が笑っていると言う中々にカオスな朝を迎えました

私は今、手芸部の部室に来ています。元々は活動日ではないのですが、近々またバザーを催すので、その為の作業を行なっています。しかし理由としては、バザーの日程が急遽変わり、期限が短くなってしまいまして…

つまりはゆっくりと休日を楽しむ筈だったのですが緊急呼び出しの為、活動中です。


「アリアさん、綺麗な刺繍ね。貴女の持つ繊細さがよく分かるわ」


ブロンドの髪をふわりと揺らして微笑むのは手芸部の部長。3年生のユティカ・リーネ先輩です。ユティカ部長は可愛らしい子供用のお洋服を縫っています。とても器用な方です。


「ありがとうございます。部長のお洋服も素敵です。きっと喜んでもらえますね」


「そうだといいけれど…」


あと数名の部員達は、生徒達から要らない古着を回収したり、バザーの開催を知らせるポスターを貼り出したりしています。顧問は知りません。


「アリアちゃーんユティカちゃーん!お洋服貰ってきたわよ!」


「カミュ先輩。お帰りなさい。ありがとうございます」


「ありがとうカミュ」


カミュ・ノスタリア先輩。3年生で所謂オネェさんです。面倒見が良く、私もお世話になっています。カイン先輩と並ぶ五代貴族の一族の方です。


「そうそう、来る途中でおサボりしてた顧問がいたからすぐ来る様にお灸を添えて来たわ。アリアちゃんはまだ会ったことなかったわよね」


「…え、あ、そ、そうですね…」


カミュ先輩…本当に何というか…お仕事がお早くて…


「可愛い1年生が入ってきたって言ったら嫌々だけど来てくれるそうよ。全く、少しは真面目に活動してくれたらいいのにねェ…」


カミュ先輩は、淡いピンク色の髪をハーフアップにしてらっしゃいます。緑色の瞳が綺麗ですね。カミュ先輩は後輩にも慕われ、先輩からも頼りにされています。

折角カミュ先輩がしてくれたのですから…私も腹を括って顧問の先生に会おうと思います。一言話したら刺繍に戻ります。あと3枚は今日中に仕上げてしまいたいのです。


「あらァ!アリアちゃんの刺繍素敵ね!本当に入部当時から思ってたけど、器用と言うか、センスが良いと言うか…これなら貴族の御婦人も手に取ってくれるわね!」


「そうでしょうか…そうなったら嬉しいですね私ももう少しピッチを上げて、お洋服も仕上げてしまいます。いつまでも部長やカミュ先輩に任せる訳にもいきませんから」


「んもー!可愛いんだからァ!」


わっ!カミュ先輩がガバッと抱き着いて来ました。頬擦りしないで下さい…!


「先輩…!針持ってるから危ないです…!」


「あら御免なさい。可愛かったからついね」


カミュ先輩は上品に笑うと古着の仕分けを始めました。男性物と女性物、サイズで分けます。それを元に子供用や大人用等の服にリメイクしていきます。私の担当はハンカチへの刺繍と孤児院へ寄付するお洋服の制作です。


「あ、アリアさん。紫色の糸を持ってきてくれるかな」


「分かりました。ミシン糸ですよね」


「ええ、よろしくね」


手芸部の部室には沢山の糸や布、装飾品があります。少人数編成ですが、かなりの好成績を残しているので、部費は他の少人数の部活よりかは配分されています。なので用具等は充実しています。


「部長、どうぞ」


「ありがとう」


「紅茶淹れましょうか。一息吐きましょう」


「いいわねェ!流石はアリアちゃんね!気が効くわァ」


此処にある茶器や茶葉はコンクール等の懸賞やバザーで購入した物です。紅茶を淹れるのは基本私のお仕事です。先輩達が気に入って下さったようで。


「おはよう」


「あら先生、遅かったわね」


「本当は来るつもりなかったんだけど。カミュが煩いからねぇ」


はい、来ました。人気投票第2位。って事は先生の分も紅茶要ります?


「先生、今アリアさんが紅茶を淹れてくれているのですが、飲みますか?」


「アリア?ああ、新しい1年生ね。貰えるなら貰おうかな」


はい分かりました。紅茶追加ですね。もう諦めた者勝ちなんですよ。これは。


「お待たせしました。初めまして、アリア・ローゼリッタです」


「よろしくね。私はアレク・ユーリア。保健医をしてるよ」


アレク・ユーリア。人気投票第2位のキャラです。原作では何部の顧問か言及されていなかったので、何気なく入った部活の顧問だったので即刻退部したくなったのは記憶に新しいです。


「アリアちゃんの紅茶はとっても美味しいのよォ~。そうだ、良いお茶菓子を持ってきておいたの。ちょっと待っててねェ。先生味わって飲むのよ!」


「私もアリアさんの紅茶は大好きなんです。きっと先生もお気に召すかと」


「へぇ…」


あの、無駄にハードル上げないで頂けますかねそんな大した物ではないんですが…


〈〈〈お前らハードル上げるな下さい!〉〉〉
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