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肆章 氷雪の国・スノーメイル
二十七話、取り敢えずは休憩
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「マジ天使かと思ったんだよ」
「何回も聞いた。足は?」
「風華の魔術のお陰で大丈夫だよ」
あれからすぐにマキアとレオンが来てくれて、歩けない兄さんとまだ目が醒めないヴィクトールさんを運んで宿まで戻ってくれた。私はレオンに支えられながら宿に戻った。少し視界がボヤけてたから。
「…ヴィクトールは?」
「アルさんが見てくれてるけど…まだ目は覚めてないんだと思う」
「そうか…」
すぐに目覚めた兄さんと違って、ヴィクトールさんはまだ意識が戻って無い。呼吸と顔色は戻ったから、命に別状は無いみたいなんだけど…
「俺さ、今回凄いヴィクトールに助けられたんだよ…避難してた洞窟の場所とか、魔獣避けとかさ…それなのに俺何も出来ねえのな」
「兄さん…」
「俺結局、ヴィクトールに助けて貰ってただけだった…情けねえや」
珍しく兄さんがヘコンでいて、私もあんまり掛ける言葉が見当たらないけど…これも片割れの役割だよね。
「ヴィクトールさんはそんなに弱く無いし、見返りは求めないよ。それに、兄さんだって好きでこうなった訳じゃないでしょ?」
「それは…そうだけど」
「私とアルさんからしたら…兄さんとヴィクトールさんが生きててくれた。それだけで良いんだよ」
倒れる兄さんと顔色の悪いヴィクトールさんを見た時、本当に心臓が嫌な音を立てて、痛いくらいに動いてた。もう少し遅かったらと思うと嫌な汗が流れる。
「兎に角、今は体が回復するまでしっかり休んでて。調査は私とアルさんで頑張るからさ。マキアとレオンも看病してくれるって」
「…ごめん」
「もう…そんなに弱気なの兄さんらしくないよ。休憩したら、また元気でちょっとお馬鹿な兄さんを見せてよ。待ってる」
握り過ぎで震えている兄さんの手にそっと私の手を重ねた。いつも助けて貰ってる私だから、こう言う時くらいは兄さんの助けになりたい。
「ありがとな、風華」
「双子だもん。頼ってよ」
「…嗚呼」
弱々しいけど、兄さんがやっと笑ってくれた。私はまた明日から調査に戻るから、家事とかは暫くマキアが請け負ってくれるみたい。流石に手伝うって言ったんだけど、マキアが頑なに譲ってくれなかったんだ。優しいね。
「今日のご飯はビーフシチューだって。兄さんの好きなバターたっぷりのパンもあるんだよ」
「そうか。久し振りにフランシスコの爺ちゃんのパン食べてえな」
「そうだね。師匠にも食べさせてあげたいね」
師匠…何処に居ますか?貴方の魔力を常に探しているけど、全く反応が無いの。早く帰って来て…私達はずっと、待ってるんだよ…
「何回も聞いた。足は?」
「風華の魔術のお陰で大丈夫だよ」
あれからすぐにマキアとレオンが来てくれて、歩けない兄さんとまだ目が醒めないヴィクトールさんを運んで宿まで戻ってくれた。私はレオンに支えられながら宿に戻った。少し視界がボヤけてたから。
「…ヴィクトールは?」
「アルさんが見てくれてるけど…まだ目は覚めてないんだと思う」
「そうか…」
すぐに目覚めた兄さんと違って、ヴィクトールさんはまだ意識が戻って無い。呼吸と顔色は戻ったから、命に別状は無いみたいなんだけど…
「俺さ、今回凄いヴィクトールに助けられたんだよ…避難してた洞窟の場所とか、魔獣避けとかさ…それなのに俺何も出来ねえのな」
「兄さん…」
「俺結局、ヴィクトールに助けて貰ってただけだった…情けねえや」
珍しく兄さんがヘコンでいて、私もあんまり掛ける言葉が見当たらないけど…これも片割れの役割だよね。
「ヴィクトールさんはそんなに弱く無いし、見返りは求めないよ。それに、兄さんだって好きでこうなった訳じゃないでしょ?」
「それは…そうだけど」
「私とアルさんからしたら…兄さんとヴィクトールさんが生きててくれた。それだけで良いんだよ」
倒れる兄さんと顔色の悪いヴィクトールさんを見た時、本当に心臓が嫌な音を立てて、痛いくらいに動いてた。もう少し遅かったらと思うと嫌な汗が流れる。
「兎に角、今は体が回復するまでしっかり休んでて。調査は私とアルさんで頑張るからさ。マキアとレオンも看病してくれるって」
「…ごめん」
「もう…そんなに弱気なの兄さんらしくないよ。休憩したら、また元気でちょっとお馬鹿な兄さんを見せてよ。待ってる」
握り過ぎで震えている兄さんの手にそっと私の手を重ねた。いつも助けて貰ってる私だから、こう言う時くらいは兄さんの助けになりたい。
「ありがとな、風華」
「双子だもん。頼ってよ」
「…嗚呼」
弱々しいけど、兄さんがやっと笑ってくれた。私はまた明日から調査に戻るから、家事とかは暫くマキアが請け負ってくれるみたい。流石に手伝うって言ったんだけど、マキアが頑なに譲ってくれなかったんだ。優しいね。
「今日のご飯はビーフシチューだって。兄さんの好きなバターたっぷりのパンもあるんだよ」
「そうか。久し振りにフランシスコの爺ちゃんのパン食べてえな」
「そうだね。師匠にも食べさせてあげたいね」
師匠…何処に居ますか?貴方の魔力を常に探しているけど、全く反応が無いの。早く帰って来て…私達はずっと、待ってるんだよ…
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