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肆章 氷雪の国・スノーメイル

十九話、何気にちゃんと話すの初めて

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「じゃ!今日はよろしくな、フウカ」


「は、はい。よろしくお願いします」


「んな固くなんなくて良いぜ。アレキサンダーだと長ぇか?アルとかサンダーって呼んでくれよ」


今日の竜探しはアレキサンダーさんと一緒になったんだけど…兄さんが言ってた通り、凄くフレンドリーな人…あんまり関わった事無いから不安だったけど、杞憂だったかな?


「えっと…じゃあ、アルさんって呼ばせて貰っても良いですか?


「おう!ヴィクトールの事も愛称で呼んでやったら、きっと喜ぶぜ。俺はヴィッちゃんって呼んだら殴られたけど」


「成程…」


兄さんと似た物を感じるけど、やはり少しタジタジになっちゃうな…相手にも失礼だし、ちゃんと慣れていかないと。


「ヴィクトールさんだと、愛称はどうなるんですか?」


「ヴィクトールだと、ヴィーチャかな。手軽に先生でも良いと思うぜ。俺はライハにそう呼ばれてるし」


「…」


確かにずっとヴィクトールさんだと余所余所しい気はずっとしてたんだけど、急に呼んで迷惑じゃないかな…


「…なあフウカ」


「はい?」


「お前、何で強くなりたいと思ったんだ?」


アルさんの質問の意図が分からずに首を傾げてしまった。強くなりたいと思った理由?


「急にすまんな。でも、ライハの事を扱く上で聞いときたいんだ」


「…私、ずっと兄さんに守られてました。でもそれじゃ駄目だって思ったんです。人を傷付ける為に攻撃はしたく無いし、そんな事に師匠やヴィクトールさんから教えて貰った魔術を使いたく無い。でも、守る為の攻撃は出来るようになりたい」


アルさんが私の目を真っ直ぐに見つめる。私もそれに応える様に、見つめ返したまま言葉を続ける。


「兄さんは私を守ろうとしてくれます。でも、兄さんと言えど、あの人は数分年上なだけですし、兄さんだってまだ子どもなんです。だから私は…対等になりたいと思いました。守られてても良いから、守りたいって…」


「それで強くなりたいって思ったのか?」


「はい。私だって、御使ですから」


私だって、凄く悩んで強くなろうって決めた。集落を出てから、ずっと思ってはいたけど、旅をして行く中でどんどん強くなって、イーブルギルドに襲われた時に決めた。私が強くならなきゃ、話にならない。


「…良し、よく分かった。有難うなフウカ、話してくれて」


「此方こそ、少しスッキリしました」


「んじゃ、調査行くか!」


「え、待って下さい、其方は森じゃ…」


反対方向へと歩いて行くアルさんを止めようとしたけど、当の本人は私の方を振り返って太陽みたいに笑った。


「今日はこっちだ!街行くぞ」
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