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肆章 氷雪の国・スノーメイル

十三話、進展あったね

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「風華ー!!!!」


「兄さん…苦しい」


春告の竜に関して、マキアが新情報があるって教えてくれたから、兄さん達が宿泊してる宿まで戻って来たんだけど、扉開けた瞬間飛びつかれた。


「離れろライハ」


「お前は今四六時中風華と居んだろ!?俺に譲れ!!」


「離れてって」


私がそう言っても離れる気配が無い兄さんに溜息を吐きながらも、アレキサンダーさんが用意してくれた椅子に座る。当然の様に兄さんは隣に座った。


「皆様、お集まり頂きありがとうございます」


「構わない。それで、進展と言うのは」


「はい。私は此処数日の間、春告の竜が居たと思われる場所を全て回って参りました」


全部!?十箇所以上はあった筈なのに…言ってくれれば私も…でも、きっと鍛錬中の私達に気を使ってくれたんだよね…だからマキアは一人で…


「其処には、大きな魔力の痕跡が残っていました。此方の資料をご覧下さい」


「かなりメーターが大きいな。何かとの比較なのか?」


「はい。右にある幾つかのメーターはこの国に生息しているとされる魔獣の平均的な魔力の痕跡です。そして一番左にあるメーターは件の場所に全て残っていた魔力です。この時点で、普通の魔獣である説はほぼ消えたと言って良いでしょう。そして二つ目ですが」


マキアが指をスライドさせると、新しい資料が出てくる。これは…?


「魔力を其々成分的に解析した結果をジャックより受け取りました。この魔力痕に最も近しかった魔獣はワイバーン。つまりは竜種です」


「じゃあ、ドラゴンとかその辺りが居るのは確定か?」


「恐らくは」


…成程ね。だったら、この魔力を辿れば春告の竜を見つけ出す事が出来るかもしれない。それで上手く春を呼べれば、災厄も防げる筈…


「だがどう見つける。俺達はワイバーン等の竜種を追う事は出来るが…」


「俺もアレキサンダーも精霊や神聖視されている竜を辿る事は出来ない」


「あ?俺達が居るじゃんか」


まあ、兄さんの言う通りだね。精霊も神聖視されてる魔獣類も私達なら何とか意思疎通が出来るかも…って昔師匠が言ってたっけ…


「俺達がやるべき事は、今回の事件の解決と春告の竜探して、来る災厄を防ぐ事だ!分かれて進めようぜ。その方が良いだろ?」


「イーブルギルドの警戒も怠るな。奴等は何処にスパイを潜ませてるか分からん」


「其処はオレサマが何とかするのじゃ!」


どうやらレオンは最近、アレキサンダーさんとの鍛錬の成果で、何となく嫌な魔力と良い魔力を判別出来る様になったみたいで、前までは遠くまで感知出来なかったけど、今は出来るみたい。成長だね。


「じゃ、組み合わせは俺とヴィクトールが考えておく。お前等は寝ろ。フウカは少しヴィクトールを待っててくれるか?」


「分かりました」


「適当に何か食って待っててくれな」


アレキサンダーさんに引っ張られて、兄さんは騒ぎながら寝室へと押し込まれてた。ヴィクトールさんはそのまま、アレキサンダーさんと別室へと移動してる。私は、テーブルにあったクッキーを摘んで、暖炉の火を眺めて時間が過ぎるのを待つ事にした。
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