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肆章 氷雪の国・スノーメイル
六話、俺達ってマジで呪われてたりする?
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「ん?早かったな」
「セルシウスには会えたか?」
「すみません、緊急事態です」
俺と風華が急いで宿に戻ると、せんせー達が資料と睨めっこしてるとこだった。風華の慌ててる様子に、ヴィクトールがいち早く反応して、二人分の椅子を追加した。ムカつくわあ…モテる男ってか…?
「それで、どうした」
「セルシウスに会って来ました。その時に、今は契約出来ないって。理由は災厄が来るから」
「サイヤク?」
風華は、せんせー達が使ってた資料の中から分厚い本を選んで、パラパラとページを捲っていく。そしてあるページを開くと、それをテーブルへと置いた。
「本来この時期のスノーメイルでは、雪解けが始まって、暖かくなる季節…けど、今はまだ雪が残っていて、それどころか吹雪いている地域まである」
「確かに、例年よりも雪解けが遅い…と色々な場所で聞きました。しかし、それと災厄に関係があるのですか?」
「昨日、ヴィクトールさんにこの資料を見せて貰った時、似た様なものを見た」
風華が指差したページには、一面の雪と眠ってるドラゴン、そして凍えてる人々に黒いナニカが蠢いている様な絵があった。
「約六百年前、この地を守ってる春告の竜が魔力不足で春を呼ぶ事が出来ず、スノーメイルの地は氷に閉ざされた。魔力不足の大きな理由の一つは、人々の信仰が無くなっていたから。春告の竜は、春を呼ぶ為に膨大な魔力を使う。でも、その魔力を蓄える事が出来なかった結果、スノーメイルには春は来ず、人々は飢え、その結果として、人の悪意や絶望を好む魔獣達の巣窟となった…」
「…それを、此処では災厄と呼ぶ…と言う事なのか」
「セルシウスが言ってました。最近、此処でも魔術師と非魔術師の争いが増え、魔力や魔術の象徴である春告の竜を嫌う者も出て来てしまった…その上災厄まで重なってしまえば、スノーメイルは氷に閉ざされるだけじな済まないと」
ガルムや人の悪意を好むタイプの魔獣やその他モンスターは、悪意が強ければ強い程に強くなる。通常のレベルが20くらいだとすると、悪意とか絶望が深い所だと85くらいまで跳ね上がる事もある。つまりは、負の感情が強ければ強い程彼奴等も強くなるし、数も増えるって言うヤバい連鎖が起こる。
「いや待て。そもそも春告の竜は存在するのかよ」
「するよ」
「その根拠は」
信じてないと言うか、信じられてないせんせーとヴィクトールが即答した俺に視線を向けた。まあ、そりゃそうか。竜は何方かと言えば精霊に近いし、今は姿を変えてるだろうから、分かんないよな。
「春告の竜は多分、その辺に居る魔獣に普段は姿を変えてるんだ。そんで、春を呼ぶ時だけ竜の姿に戻るんだろ。多分理由としては、此処の奴等に怖がられない様に」
「そして、ヴィクトールさん達が受けた依頼の呻き声や土地の破壊も、今の国の影響かと」
「…?どー言う事じゃ?」
「精霊とか竜とか…人の信仰とかで魔力を受け取る奴等は、人の思い込みとか恐怖とかそう言う影響をモロに受けんだよ。例えば根が優しい竜でも、半数くらいの人間が恐ろしい竜だって言えば、その通り恐ろしい竜になる」
多分今の感じだと春告の竜を恐れてる奴等が多いんだろ。だからこんな事になってる…はあ…やっと落ち着けると思ったのに、また事件か…
「セルシウスには会えたか?」
「すみません、緊急事態です」
俺と風華が急いで宿に戻ると、せんせー達が資料と睨めっこしてるとこだった。風華の慌ててる様子に、ヴィクトールがいち早く反応して、二人分の椅子を追加した。ムカつくわあ…モテる男ってか…?
「それで、どうした」
「セルシウスに会って来ました。その時に、今は契約出来ないって。理由は災厄が来るから」
「サイヤク?」
風華は、せんせー達が使ってた資料の中から分厚い本を選んで、パラパラとページを捲っていく。そしてあるページを開くと、それをテーブルへと置いた。
「本来この時期のスノーメイルでは、雪解けが始まって、暖かくなる季節…けど、今はまだ雪が残っていて、それどころか吹雪いている地域まである」
「確かに、例年よりも雪解けが遅い…と色々な場所で聞きました。しかし、それと災厄に関係があるのですか?」
「昨日、ヴィクトールさんにこの資料を見せて貰った時、似た様なものを見た」
風華が指差したページには、一面の雪と眠ってるドラゴン、そして凍えてる人々に黒いナニカが蠢いている様な絵があった。
「約六百年前、この地を守ってる春告の竜が魔力不足で春を呼ぶ事が出来ず、スノーメイルの地は氷に閉ざされた。魔力不足の大きな理由の一つは、人々の信仰が無くなっていたから。春告の竜は、春を呼ぶ為に膨大な魔力を使う。でも、その魔力を蓄える事が出来なかった結果、スノーメイルには春は来ず、人々は飢え、その結果として、人の悪意や絶望を好む魔獣達の巣窟となった…」
「…それを、此処では災厄と呼ぶ…と言う事なのか」
「セルシウスが言ってました。最近、此処でも魔術師と非魔術師の争いが増え、魔力や魔術の象徴である春告の竜を嫌う者も出て来てしまった…その上災厄まで重なってしまえば、スノーメイルは氷に閉ざされるだけじな済まないと」
ガルムや人の悪意を好むタイプの魔獣やその他モンスターは、悪意が強ければ強い程に強くなる。通常のレベルが20くらいだとすると、悪意とか絶望が深い所だと85くらいまで跳ね上がる事もある。つまりは、負の感情が強ければ強い程彼奴等も強くなるし、数も増えるって言うヤバい連鎖が起こる。
「いや待て。そもそも春告の竜は存在するのかよ」
「するよ」
「その根拠は」
信じてないと言うか、信じられてないせんせーとヴィクトールが即答した俺に視線を向けた。まあ、そりゃそうか。竜は何方かと言えば精霊に近いし、今は姿を変えてるだろうから、分かんないよな。
「春告の竜は多分、その辺に居る魔獣に普段は姿を変えてるんだ。そんで、春を呼ぶ時だけ竜の姿に戻るんだろ。多分理由としては、此処の奴等に怖がられない様に」
「そして、ヴィクトールさん達が受けた依頼の呻き声や土地の破壊も、今の国の影響かと」
「…?どー言う事じゃ?」
「精霊とか竜とか…人の信仰とかで魔力を受け取る奴等は、人の思い込みとか恐怖とかそう言う影響をモロに受けんだよ。例えば根が優しい竜でも、半数くらいの人間が恐ろしい竜だって言えば、その通り恐ろしい竜になる」
多分今の感じだと春告の竜を恐れてる奴等が多いんだろ。だからこんな事になってる…はあ…やっと落ち着けると思ったのに、また事件か…
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