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参章 芸術の国・アーティオン

二十七話、余韻にくらい浸らせろ!!

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「もう、泣き止めって」


「だって…」


「折角の美人が台無しよ、フウカ」


舞台袖で泣き崩れた風華をシュピーゲルの爺ちゃんとキャシーが迎えに来てくれて、キャシーの店の二階…って言うかキャシーの家で打ち上げをしてる。


「アンタの得意魔法、自然の中でも氷だったのね」


「元々風と水の調整が得意で、その二つを組み合わせて使ってる」


「成程…じゃが、観客の反応は上々じゃった。嬉しいものじゃな」


二人とマキア、レオンが作ってくれた料理を食べながら談笑が続く。因みにチーズフォンデュ食ってる。チーズ美味い。この国は食べ物だと野菜類が名産らしくてな。これにもアスパラとかトマトとかが付け合わせになってる。


「てかチーズフォンデュめっちゃ美味い」


「それは良かったわ。良いショーを見せて貰ったから、そのお礼よ」


「ありがとう、キャシーさん」


鶏肉にも合うなあこれ…キャシーめっちゃチーズ溶かしてたけど、何種類くらい混ぜたんだ?


「アスパラガス、追加しますね」


「あら、ありがとうマキア。気が効くわね」


「そう言って頂けて嬉しいです」


マキアもキッチンから切ったアスパラを持って戻ってきた。良く周りが見えてんな。


「肉美味い!」


「それはチキンよ。こっちがビーフ」


「何、ビーフあったんか」


レオンに盗られない様、すかさず俺もビーフを取ってチーズに付けて口に放り込む。美味い。やっぱ肉こそ至高。


「あ、レオン、口の周り付いてる」


「ん?」


「違うよ、こっち」


あ!レオンの奴、風華に口元拭って貰いやがって!いいもんね!俺だってされた事あるもん!


「…って言うか外騒がしくね?」


「言われてみれば確かに騒々しいのう…」


「見てきます」


「儂も行こう」


マキアとシュピーゲルの爺ちゃんがいち早く、部屋から出て外の様子を見に行ってくれた。何だ?祭の後の飲んだっくれ集団か?


「…嫌な感じするわね…念の為荷物纏めときなさい」


「…分かった、風華」


「うん」


俺と風華は出してあった物を鞄やポーチに詰め込んで、外に行った二人を待つ。レオンは不安げに耳をペタンと閉じている。


「フウカ様!ライハ様!」


「…!どうした、マキア」


「それが…」


マキアが慌てて部屋の中に入って来た。シュピーゲルの爺ちゃんも少し遅れて入って来る。マジでどうした?


「軽い乱闘騒ぎが起きておる。また魔術師を妬む非魔術師の暴動じゃ。しかも今日、魔法のショーに出た者が狙われていると聞く」


「危ないじゃない」


「君達は一旦安全な場所へ帰りなさい。キャシー、この子達を頼んだぞ」


シュピーゲルの爺ちゃんの言葉にキャシーが頷いた。え、って事は俺達は此処にいたらヤバいって事だよな?


「アンタ達、今何処に寝泊まりしてるの?」


「古い教会だよ」


「エアルのとこね。分かったわ。裏口はこっちよ。大通りは不味いから」


でもシュピーゲルの爺ちゃん一人にすんのか?危険じゃ…


「キャシーさん、シュピーゲルさんは!?」


「あの人は非魔術師だから平気よ。それよりもアンタ達は自分の心配しなさい!」


キャシーが開け放った裏口の外には、溢れんばかりの人と、暴言が飛び交っていた。地獄絵図かよ…


【No.3・アーティオン】

滞在期間 未定

特徴 今は祭中らしいけど、今日が最終日。屋台の人達は陽気な奴等が多くて、何より美味かった!魔術師と非魔術師の争いの発端は此処らしい。

特産物 絵、野菜類、双子をモチーフにした工芸品

人々 良い奴から非魔術師が嫌いな奴まで色々居る。だが、全体的な空気は魔術師反対派が多い気がする。

記載者 彼岸雷葉

記載場所 キャシーの家
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