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参章 芸術の国・アーティオン

二十六話、割とマジで俺も泣きそう

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「緊張してるか?」


「…うん」


「だよなぁ。俺も」


魔法のショーの受付しに行ったらまさかの最後のトリだった。吃驚だよな。俺も風華も二回聞いたもん。


「…もし失敗したら…」


「大丈夫だよ。風華の魔力コントロールはししょーの折り紙付きだぜ?それに、何かあっても俺がいる」


遠くからじゃ、何かあった時にすぐに助けてやれないけど、このショーではすぐ近くにいるんだ。だから必ず俺が何とかしてやるのが俺が出来る精一杯だからな。


「…ありがとう。魔術は怖くないって、知って貰いに行こう」


「嗚呼!」


俺達の番だと知らせるアラームが鳴る。俺達はすぐにステージ上には行かず、風華はこの場で魔術を使い始める。


「…!何これ」


「氷の百合だわ!綺麗…」


「何処から…!?」


外から、観客達のどよめきが聞こえる。風華はそれを合図に、俺と自分を二つの大きな百合の蕾の中に閉じ込めて、それを浮遊魔法で浮かし、ステージ上へと移動する。いつの間に人間二人に氷を動かせる様になってたんだか…


「…!双子の子どもよ!」


「何と…」


百合の花弁が開いたと同時にその花弁が氷から本物の百合の花弁となって、客席に舞った。俺達はって言うか俺は風華が外に足を踏み出したのを見て、同時に見える様に足を出す。


「行くよ、兄さん」


「嗚呼、いつでも」


小さい声でも風華の声はしっかり俺の耳に届いた。風華が杖を持って水を操り、俺が剣を抜いて炎を操る。神力とはまた勝手違うけど、慣れればいけそうだな!


「何て幻想的…これが魔術なの?危険な物と聞いていたのに…」


「こんなん、見せかけだけだ」


「そうかしら?」


観客も二つ反応があるけど、良い感情を持ってくれてる人がパッと見多そうだな。よし!この調子で行くか!


「あれは…伝承の双子をイメージしているのかしら」


「きっとそうだ。だって…こんなにも温かい」


「…これがフウカ君の魔法…何とまあ素晴らしい…」


俺が炎を起こして風華が風を起こす。風だけじゃ見えないから、認識阻害魔法で色を変えて。いよいよラストか。頑張れよ、風華!

俺は剣の魔力を一つに集中させて大きな火の玉を作る。一方の風華は会場一帯を覆う程に大きな水のドームを作っている。時間の勝負だ。


「行くぞ風華!!」


「うん!」


俺が炎を投げた瞬間に水のドームが完成した。そしてそれを見届けた風華が空中に浮かぶ火の玉に一気に魔力を込めた。すると勿論火の玉は


ドン!!!!!


大きな破裂音がして、空には色とりどりの花火が打ち上がっていた。流石風華、タイミング完璧だな。


「…やるじゃない。あの子達」


「あ、風華、キャシーとシュピーゲルさんが居るぞ」


「…!見に来てくれたんだ」


風華が嬉しそうに微笑むと、その場でお辞儀をした。勿論俺もそれに続く。どうだ…?ブーイングは覚悟してるけど…


「凄かったよー!」


「ありがとう!」


そんな予想に反して、俺達が貰ったのは大きな拍手を歓声だった。俺は嬉しくて風華の方をバッと向いたが、風華は泣いてた。止めてくれ風華。俺も泣きそうになる!!!!
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