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参章 芸術の国・アーティオン

二十四話、良い案思い付いた

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「貴女の菓子はとても美味しかった。まさかこの村の林檎をあんなにも活かして貰えるとは…ありがとうございます」


「いえ、此方こそ。とても美味しい林檎でしたから…喜んで貰えて何よりです」


結果的に、私達が作ったお菓子は大好評で、子ども達だけじゃ無くて、大人の人達にも喜んで貰えた。兄さん達は、外で村の人達と交流をしてる。私は、村長さんのお話を聞きに家にお邪魔している所。


「して、話とは?」


「…この国についてお聞きしたいんです。それに…この国における、双子の話も」


「…成程。確か貴女方は旅をしているのでしたな。けれど、何故双子の話を?」


気になったから。一言で言えばそうなる。でもきちんと伝えたい。それだけになりたく無いからね。


「この国は今、魔術師と非魔術師の争いが起こっています。それは此処だけの問題ではありませんが…魔法は確かに未知で、魔力の無い人にとっては脅威に成り得るものです。でも、それだけじゃ無いって伝えたくて、私は明日の魔法のショーに出るんです。その時に…私が表現したい事…まだ曖昧で…でも伝えたい事は明確にあって…それを固める為に、双子のお話を聞きたいんです。私も双子だからこそ」


「…貴女は素敵な魔術師だ。そう言う事でしたらお話しましょう。国と、吉兆の象徴である双子の事を」


「…!ありがとうございます」


村長さんは、テーブルに置いてあったティーポットから紅茶を注ぐと、私と自分の前に置く。私は黙って村長さんの口が開かれるのを待つ。


「この国は、昔から色々な文化が混ざり合う場所じゃった。絵や音楽、食、沢山の芸術が生まれ、それらを愛する国。勿論その芸術の中には魔術も含まれておった。じゃがの、何十年も前の魔法のショーで、少し事故が起こって、魔術師が起こした花火で非魔術師何人かが火傷を負った。幸い軽傷じゃったが、その場に居た非魔術師は花火を起こした魔術師に恐怖したそうじゃ。目の前にいる者は自分達を簡単に傷付けられる術を持っている…とな」


「…それが始まりですか?」


「そう聞いておる。じゃがこの国に住む者達の本質は変わっておらん。芸術を愛し、刺激を愛する者達じゃ。この国の特産物である絵具や絵画。後もう一つ。対のネックレスは魔術師と非魔術師が手を取り合い作ったとされておる」


「対のネックレス?」


…確かに何回か露店で見かけたかもしれない。不思議な形をしたネックレスだったけど…


「あれはの、双子をイメージして作られたものじゃ。その昔、酷い天災が起こったこの国に、不思議な力を持った双子が現れたそうじゃ。一人は地の力を使い、もう一人は天の力を使っていたらしい。その二人が力を使い神に祈り、この国に再び豊かさを取り戻した。此処にはそんな逸話があるんじゃ。だからこそ、この国では双子は吉兆とされ、大切にされる」


「地の力と天の力…」


地の力…私達で考えると兄さんと炎と私の水。天の力は雷と風…うん、少しイメージ固まったかも。最高のショーにしないと…その為には…兄さんにお願いしないとね。
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