双子の世界見聞録〜転生したら生まれた集落で忌子呼ばわりされたからとりま双子の妹と一緒に世界を回ることにした話〜

参章 芸術の国・アーティオン

二十一話、マジで何やってんのか分からん

「兄さんボウルに砂糖振るって」


「ザルでやるやつ！？」


「そう、ちゃんとやってね」


俺が砂糖を振るってる間に、風華がパイ生地を作って、マキアが林檎をジャムに加工してレオンは林檎の大きさを仕分ける作業をしている。


「取り敢えず、明日行く為の下準備だから、焼くのとかは明日の朝。沢山作って、此処の皆さんにもあげよ」


「この量作って林檎足りるのか？」


「お陰様でね」


…心配無用だったらしい。明日、村に行く事が此処の奴等からもお許しが出て、その時に持っていく林檎の菓子の下準備中って感じだ。風華曰く、小さいものと少し悪くなっているものや酸っぱいものをジャム、ジュースとして加工するらしい。その識別にレオンの鼻が役立ってる訳だ。


「風華、振るい終わったぞ」


「ん、ならそれにレモン数滴と蜂蜜を入れてゆっくり混ぜて」


「分かった」


パイに入れる林檎らしい。一日置いて味を馴染ませるんだと。パイ生地には砂糖とか入れないから、その分パイの具を甘くするらしい。分からん。


「マキア、ごめん。その器取ってくれる？」


「どうぞ」


「ありがとう」


一から作ったパイ生地を小さな皿の大きさに合わせて風華が切っていく。アップルパイの割に生地小さくね？


「何か小さくないか？」


「大きいのは作んないから。こう言う一人用の方が食べやすいでしょ？」


「成程…」


風華、其処まで考えてんのか…やっぱ凄えな此奴はさ。こんな知らない人の為に一生懸命になれるんだから。


「フウカ様、終わりましたよ」


「お疲れ様。少し休憩したらアップルティーの準備して貰って良い？」


「かしこまりました」


風華はパイ生地を全てカットし終わると其々の形にあった型に生地を入れて冷蔵庫に閉まう。その手には新しい生地の材料があった。


「生地？」


「タルト生地とタルトタタンの生地を作るの。兄さん、レオンが仕分けしてくれた一番右の籠に入ってる林檎を小さく切ってくれる？ジュースにするから」


「了解」


籠の近くにまな板と包丁を持って行き、分けられた林檎を二つくらい手に取り、皮を剥いていく。これくらいなら俺でも出来るさ。集落に居た頃はこう言うの、俺の仕事だったからな。


「オマエ、意外にキヨーなんだな」


「意外には余計だよ。ま、慣れだな」


「ほへー」


俺が皮を剥いている横で、レオンは再び林檎の識別を始めた。本当改めて見ると凄い量だな。結構重量あったと思うけど…俺あんま重いって感じなかったし…もしかして俺、順調にゴリラへの道を歩んでたりするか？それはめっちゃ嫌なんだけど！？