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参章 芸術の国・アーティオン

四話、キャシーさん…凄い

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「はい、腕上げて。うん、やっぱり袖の部分はシースルーにして正解だったわね。腰のリボンは…もう少し長くても良いかしら…アンタ足も細いし、スカートの裾、もう少し短くしましょう。フィッシュテールだから、後ろから見える心配もないから」


「凄い、こんな短時間で…」


「魔術のお陰よ。それよりフウカちゃんとご飯食べなさい。御世辞にも健康的とは言えないわよ」


うっ…師匠の所では割と健康的な生活してたんだけど…育った環境の所為で食事の量があまり多く食べられないんだよね。私…兄さんは凄く食べるのに…


「後で良いレストラン紹介してあげるわ。私の行き付けだから、楽しみにしてなさい」


「はい。兄さん達と行ってみます」


「それが良いわ。アンタのお兄さん…ライハだっけ?あの子結構野蛮そうよね」


初対面で見抜かれてる…そうだね…兄さんは…野蛮かも、うん。


「でもアンタを大切に想ってるのも分かる。ライハが一番楽しそうにしてたもの。フウカの服をオーダーメイドして行けって言った時。素敵な兄妹愛ね」


「厳密には、双子なんですけどね。私も兄さんに何か返せると良いんですけど」


「あら双子!?もう!そう言う事は早く言いなさいよ!アンタ達二人でお揃いにしてあげる!ちょっと待ってなさい、ライハ連れて来るわ」


え、あ…キャシーさんは意気込むと、アトリエを出て行った。部屋の奥では相変わらず裁縫道具達が忙しなく動いて、私の服に合わせる小物とかを作ってくれているらしい。お花があちこちに散りばめられてて凄く可愛い。このお洋服にもお花が沢山描かれてるんだよ。


「何!?誘拐か!?」


「人聞き悪い事言わないで頂戴!フウカからアンタ達が双子だって聞いたから、折角ならお揃いにしようと思っただけよ!」


「そう言う事は早く言ってくれ!」


…兄さん…何で此処に来るだけなのにそんなに煩いの…?扉開いてない筈なのに一言一句聞き取れるんだけど…


「お待たせ。ちゃちゃっとやっちゃいましょ!ライハ、採寸するから動かないで。後好きな色教えて頂戴」


「蜂蜜みたいな…色?」


「アンバーね。任せなさい。アンタも元は良いんだからもうちょっと所作とかに気を付けなさいな」


キャシーさんが私にやった様にテキパキと兄さんの採寸を測って浮いているペンがメモにサイズを書き写す。傍らにある机では、もう一本のペンや色鉛筆がデザイン画を描いていた。実はこう言う同時に複数の事を熟す魔術って言うのはかなり難しい。違う事を考えながら意識は向けないといけないから、これが出来るのは、かなり上級者な証拠。やっぱりキャシーさん、凄い人なんだな…
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