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弐章 蒸気の国・エンジーム

三十九話、エンジーム最終日だ!!

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「本当にこんな事でいいのかい?」


「嗚呼!結局お前等にも世話になったしな!」


「全く…無欲だな…君も」


エンジームでの滞在最終日、俺達はナルシ野郎一推しの飯屋に来ていた。勿論此奴の奢りだ。礼をしてくれるって言うから、飯食わせろって提案したんだ。


「本当に君達には驚かされてばかりだったよ。初めて出会った日からずっとね」


「結構経ったもんな。2ヶ月くらいは多分いるし、予想以上に長い滞在期間になったよ」


「でも、この国の事沢山知れたし、ちゃんと守れた。それに新しい仲間も出来たしね」


今日はレオンとマキアはベレッツァのギルドで留守番だ。積もる話もあるだろうからってマキアが気を利かせてくれたんだ。出来る奴だよ。彼奴。


「君達と出会った日の事は昨日の事の様に鮮明に覚えているとも。とても刺激的で運命的な出会いだった…」


「俺としては変な奴だけどな。今もあん時も」


「私も変わった人だと思ってる」


笑っている此奴に対して割と辛辣な俺達。仕方ない。初対面があれなんだ。逆に俺達良く此処まで関係を良好に保ってるよ。


「何はともあれ、今日は全て私の奢りだ!存分に食べてくれ給え!」


「おう!いっただっきまーす!!」


「兄さん、あんまりがっつかないで」


取り敢えず手近にあった肉を掴んで食う。うんやっぱ此奴審美眼はあるんだな。めっちゃ美味いもん。


「あ、グラタン美味しい」


「そうだろう?ふふ、此処のシェフは一流だからね。だからこそ、良く利用するんだ」


「雰囲気も良いね」


風華とナルシ野郎が何か優雅な会話繰り広げてんだけど。え?俺は仲間外れか?


「あ、兄さんソース付いてる。もう、だからがっつかないでって言ったのに」


「ん、ごめん」


「君達は本当に仲が良いね」


風華がナプキンで俺の頬に付いていたらしいソースを拭ってくれた。優しいなあお前はやっぱり!


「…改めて、二人にお礼を。エンジームの為に尽力してくれた事、感謝する」


「今更かよ」


「嗚呼、未だイーブルギルドについては謎が多い。しかし、フウカとライハのお陰でこの国に平和が戻ってきたのもまた事実だ。我々だけでは成し得なかった。だから、ありがとう」


ナルシ野郎は座りながら深々と頭を下げた。上げた顔には、いつもよりも穏やかな笑みが広がっていた。


「硬い話は一旦此処までだ。また次の機会に話したい事もある。また夜に話そう」


「分かったよ。取り敢えずは飯だな」


「うん、美味しいもんね」


俺達は何を言う事も無く、軽く会話を交えながら食事を摂った。うん、やっぱ飯は良いな!!良い思い出になったぜ!
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