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弐章 蒸気の国・エンジーム

三十一話、やっぱ心って大事だよな

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「お疲れ様でございます。ライハ様」


「ん?サンキューな!マキアもお疲れ!」


「私は魔導人形ですので、疲れはしませんが…ありがとうございます」


マキアは戸惑ってるみたいだけどお礼を言ってくれた。優しいなあマキアは!


「んで立ってんの?座れよ」


「それでは失礼して」


隣に座ったマキアを改めて見ると、やっぱ人間にしか見えん。普通に美人だし。ってことは俺可愛い風華と美人なマキア連れて旅してるって事?はは、両手に花じゃん。


「マキア、楽しいか?」


「楽しい、とは?」


「ステンリア出て、俺達と居て楽しいか?俺達はマキアが来てくれて本当助かってるよ。でも俺達は良くてもマキアはどうなんかなって。ほらさ、俺と風華って身内だからマキアを置いてけぼりにしてる事偶にあるし」


喧嘩中とかマジでそう。いや、喧嘩っていう喧嘩はしてないけど軽い言い合いとかの時。いつもマキアが不思議そうな顔してるんだよな。


「楽しい、楽しくない…は私にはまだ良く分かりませんが…ですが、きっと楽しい…と思います。フウカ様とライハ様の関係はとても素晴らしいものだと思います。互いを大事に想っている家族の形…私と生みの親であるジャックとはまた違う形…それがとても勉強になります」


「そっか。でもジャックとお前は親子で俺達は双子だからな。双子も普通の兄妹とは少し違うんだよ」


「そうなのですか?」


うーん…俺の感覚だから絶対に正しくはないんだけどな。まあ人によりけりだしいいっしょ!


「何か、俺が数分先に産まれたから兄ちゃん振ってるけどさ、俺達本当は上も下もないし。どちらかと言えば片割れ…半分って言う言葉がしっくりくるんだよな。今みたいに風華が近くに居ないとあんま落ち着かんし、戦闘中も集中力が下がる。いつも風華に助けられてるし、彼奴がいる事で生まれる安心感もあるんだ」


「成程…半分…私の雷伝石と輪廻石の様な感じでしょうか」


「マキアで言うとそうかもな!」


俺が笑ってそのまま草むらに寝転がると、心無しかマキアが笑った様に見えた。可愛い…


「ライハ様は自由な方ですね。何というか…いつも心のままに生きられている感じがします」


「そうか?うーん…俺的には、マキアはもうちょっと自由になって良いと思うぞ」


「自由…ですか?」


マキアまだ固いもんなあ…これから一緒にどんくらい旅するか分かんないけど、其処でもっと軟くなれたらいいよな!


「そうそう!俺みたいに…なると風華に怒られるから…でもマキアにだって心はあるんだからさ。心の赴くまま…って言うのも意外といいもんだぜ!」


「心の赴くまま…」


「…っと!そろそろ行くか!」


戦いとかでも案外心って大事なんだよな。マキアだって絶対に心あるもんな!だって俺達を心配してくれた事だってあるんだから。だから…マキアならきっとちゃんと笑えるさ!
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