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弐章 蒸気の国・エンジーム

十一話、辺な胸騒ぎがすんな!!!

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結局俺達は平原に移動した。何故かって?もしかりに大掛かりな魔術使った時にギルド壊したら嫌だからって言う風華の優しい理由。俺はナルシ野郎のギルドメンバーと一緒に風華との決闘を見守ってる。頑張れよ!!風華!!


「手鏡が落ちたら、開始の合図となります。それでは美しき決闘を!」


「準備はいいね?フウカ」


「いつでも」


ナルシ野郎は…ゲェ!?此奴も鞭使うのかよ!ミチルのはリボンみたいだったけど、此奴のは普通にシンプルは鞭。何ならちょっとカッコいいクソが。あ、鏡割れた…


(兄さんの話から察するに、彼の魔術は空間操作系かな…突然とは言えあの兄さんから簡単に剣を奪える魔術はそれくらいしか思い付かないから…取り敢えず初手は!)


「魔法障壁展開」


おわっ!いきなりナルシ野郎風華の背後取りやがった…でも流石は風華だな。障壁でちゃんと防いでる。彼奴、神力使ってでも勝つって言ってたもんな…頑張れよ!!風華!


「一つ確認」


「何だい?」


「勝利条件は?」


あ、確かに聞いてなかった…そこ大事だぞ!!理不尽な事言ったら殴るかんな!!


「ふふ、簡単さ」


「…ッ!?」


「相手の戦闘不能だ」


彼奴…ギルドマスターの名前は伊達じゃねぇ…嫌に笑ったと思ったら一瞬で風華に迫りやがった。でも風華も杖の持ち手でしっかりと鞭をガードする。うん、昨日の特訓が活かされてる。風華、大丈夫だよ。お前なら!!


「成程、なら手加減は要らないんだね」


「勿論だ」


「そう。安心したよ」


…!風華かなり大掛かりな魔術使う気だ!!あの感じはいつも大きい魔法使う前の雰囲気だからな!!


「生憎、私と兄さんはまだ旅を続けないといけないの。だから負けられないんだ。これ、まだ上手く制御出来ないから…良ければ練習に付き合って?いくよ…花嵐!!!」


「これは…!うわ!!?」


風華が大きく杖を振り上げたと同時に、力を抜いたら簡単に飛ばされるレベルの風が吹いた。神力…に近いけど、少し違うか…?そりゃこの魔術使うんだったらギルド壊れるわな…ナルシ野郎はダイレクトに花嵐を喰らって遠くに飛ばされた。


「…これで立てるんだ…」


「素晴らしい魔術だったよ…まさかこの私が吹き飛ばされるとはね!」


此奴タフだ!!あの魔術喰らって吹っ飛ばされたのにピンピンしてやがる!!


「…?ねえ、何か辺な音聞こえない?」


「辺な音?」


「何か聞こえたのかい?」


ピンと張り詰めていた空気の中で風華が一言そう言った。俺達は耳を澄ませる風華に釣られて真似をする。んー?んー…


「…ボアの鳴き声?」


「なんだか地響きもするわ…」


ナルシ野郎のギルドメンバーも気付いたらしく全員が辺りを見回した。なんだ…?嫌な予感がするんだが…
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