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壱章 始まりの街・ステンリア

三十二話、こんな豪勢だと…少し罪悪感がある…

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「フウカちゃんライハ君!!食べてるかい?」


「おう!美味い料理ありがとな!!」


「嬉しい事いってくれるね!じゃんじゃん食べなよ!!今日は二人の送別会なんだからさ!」


私達は今、ステンリアになる大きな酒場でかなり大きな送別会をして貰ってる。かなり色んな人が参加してくれて、田舎のお婆ちゃんやお爺ちゃん、おばさんや子ども達。スタディアの皆に街の人。フランシスコさんもいる。セフィロンの二人は居ないけど、この前、無事に上司を動かせたって報告のお手紙と昨日お別れの挨拶のお手紙が来た。本当は今日も出席したかったけどその件についての会議が入ったから来れないらしい。


「其処でライハ坊が颯爽と魔獣を両断したわけよ!!ありゃあ王国の騎士団長にすら引けを取らない技じゃった!」


「フウカちゃんが作ってくれた魔法薬を使ったら次の日にはお庭がお花で一杯だったの。本当に吃驚しちゃって…魔獣避けの結界も張ってくれて、私達は安心してくらせてるのよ」


皆が何故か私達の話で盛り上がってる。兄さんの武勇伝って言うんだっけ…魔獣を討伐した時の話だったり、私の魔術の話だったり。少しこそばゆいけど、嫌な気持ちじゃないな…


「アンタらもライハを見習いな男共!!こんな若いのにアンタらとは天と地の差だよ!」


「ひでぇよ女将!!俺達だって真面目にやってるさ!」


「アタしゃ忘れないよ。アンタ達が運べなかった皿や布団を二人が運んでくれたのをね!」


泊まらせてくれてた宿屋の女将さんや従業員さんも居て、とっても広い筈の酒場が狭い様に感じる。心があったかい。


「では此処で!!街の有志達が楽しい出し物をご覧に入れましょう!!」


「おっ!いいねぇ!何するんだい」


お酒が入ってるからかな。皆いつもよりテンションが高くて、楽しげに笑ってる。隣にいる兄さんも料理頬張りながら出し物に笑ってる。お別れ、やっぱり寂しいけど…こんな風に送り出して貰えるとは思わなかったな…結局明日の朝にはステンリアを発つのに、ジャックと話せなかった…


「風華!この肉美味いぜ!食え食え!」


「はいはい。兄さんはちょっと野菜食べな」


「あ!俺の肉…ッ」


兄さんからお肉を取り上げてサラダを目を前に置いた。あ、美味しい…改めて見ると、凄く大きい酒場に、皆が持ち寄ってくれたご飯と注文したご飯…何故かプレゼントに出し物…こんなに貰っちゃって…良いのかな…嬉しいけど…私達…こんなにして貰う程、凄い事もしてないのにな…


「最後に、二人へ感謝のメッセージを!代表者ステージ!!はい!早く!」


「押すな馬鹿野郎!!」


あ、スタディアが大変だって教えてくれたおじさんだ…来てくれてたんだ…


「ええ…アンタ達がスタディアを守って、マキアさんを助けてくれて、本当に助かった。見ず知らずの俺の話を信じて、先生達の所に向かってくれてありがとな。来てくれたのがアンタらで良かったよ」


「お、次はアタシだね!二人共!アタシの宿を選んでくれてありがとね!!いつも汚れて帰ってくるアンタ達を見守るのはハラハラしたけど飯も風呂も喜んでくれて、アタシも嬉しかったよ!!また来ておくれよ!待ってるからね!」


「こんな片田舎の年寄り達を助けてくれて、子ども達や嫁さん達の相手をしてくれてありがとうねぇ。魔獣が怖くて怯えてたり、お花が咲かなくて落ち込んでたり、物が運べなくて困ってたりした私達を快く、見返りも求めずに助けてくれて…涙が出るくらい、嬉しかったよ」


他にも色んな人がお礼を言ってくれた。店番したお店の店主さんや、子ども達。嗚呼…あったかい…


「最後はボクか…緊張するよ…ふぅ…フウカちゃん、ライハ君。短い間だったけど、本当に二人に助けられた。研究のサンプル採集だけじゃ無い。初めて会った時にボクの命を助けてくれて、ギルドやマキアを救って、守ってくれた。この恩義は、絶対に忘れないし、ボク達ギルドが全霊でお返しするから。きっと、キミ達が居なかったら、ボクやマキアは此処には居ない。本当に…二人に出会えて良かった…」


出て来た涙を乱雑に拭った。兄さんも下を向いて肩を震わせてる。こう言う御礼とか、温かい言葉に耐性ないんだから…ちょっとは手加減して欲しかったな…なんて…
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