双子の世界見聞録〜転生したら生まれた集落で忌子呼ばわりされたからとりま双子の妹と一緒に世界を回ることにした話〜

壱章 始まりの街・ステンリア

二十四話、不死身か！？不死身なのか！！？

「あ”～クソ！！何だよ此奴！！怯まねぇ所か攻撃受けてもビクともしねぇ！！！」


「…特殊魔法が掛かってる…？でもそんな気配しないし…やっぱりガルムじゃないし…」


狼の様な見た目をした魔獣、ガルム。人の悪意や失意が多く蔓延している場所に巣食う奴ら。人の負の感情が強ければ強い程に其奴等は力を増す。逆に、そう言う感情がある程度無いと生きていけない。だからこそ、ステンリアの、こんな平和な田舎町に出る訳が無ぇ。自然と消滅するのがオチだ。なのに…


「お前何なんだよ！！チートか！？」


「意味分かんない事言ってないで考えて！」


「すいません！！」


よし！試しに一回ぶった斬ってみっか！此奴なら討伐しても…うん！世間にとって良い事しかないよな！！殺やったるぞ！！


「行くぞ！！ッリャアアアアア！！」


「え…討伐するの？」


大きく降り被って、その勢いのまま剣を振り下ろした。お！！特大ヒット！流石に終わりだろうな…


「…！？再…生…なの…？」


「嘘やん…」


斬ったとこから、粒子みたいのに包まれて、また同じ形に戻りやがった…！語彙力が無えよ！剣振ってるだけで精一杯だわ！！


「お前やっぱ謎生物じゃねぇか！！てか俺じゃなくてノーム狙ってんな！？弱い者イジメはクソだぞ！！？」


「其奴って言葉解ってるの？」


「知らん！！」


一見俺らに向かって威嚇してる様に見えだけど実際、此奴の目はノーム一直線だ。あの怪我もこのバケモンに襲われたからで間違いねぇし…何だ？人間ならまだしも精霊を狙う理由なんて無いだろうし…あああ！！俺は風華みたいに頭良くねぇから分かんねぇよ！！


「風華！！此奴懲りもせずノーム狙ってるから抱えて逃げろ！！離れた先で魔法障壁張って、其奴治してやれ！！」


「…！分かった。兄さんも気を付けて！」


風華は傷に障んない様にノームを抱き上げると森の奥に走って行った。やっぱ途端に此奴は風華を追って走り出そうとするけど


「俺が許す訳ねーだろがい！」


剣で弾いて行き場を塞ぐ。風華の場所は精霊が教えてくれっから心配はないけど…勝てっか？これ…いや、勝てるけど、倒し方がな…


「ま、俺がウダウダ考えてても無駄か！俺は頭動かすより体動かす方が得意だし。お前、此処に残ったのが俺で良かったな！！もし風華が此処に残って、あの可愛い俺の妹のご尊顔に傷なんか付けてたら、俺ブチ切れだっただろうし！あはは、命拾いだな！」


此奴は…生捕のがいいのか…？でも実験されたりするのは可哀想か。観察とかなら良いんだろうけど…うし、一思いに殺るか。


「悪く思うなよ！！って事でくたばれ！！」


これって神力使った方が早かったりするか…？