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壱章 始まりの街・ステンリア

九話、旅って、新鮮で面白いね

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「ギルドの正面にあるのが、先程お二人が居たカフェ。様々メニューの豊富さから、街の人々だけでなく、冒険者からも人気の店となっています」


「マキアには、この街の事は殆どインプットしてあるから、何でも聞いてあげて!」


「すっげぇな!マキア!」


ギルドから出た私達は、マキアさんを先頭に、このステンリアの街を案内してもらってる。活気に溢れた騒がしい街中は、リリーフィエとも違って、とても真新しい。


「彼処は鍛冶屋です。新米の冒険者達が最初に集う場所。格安でとても良い武器を作ってくれます。古くからある、ステンリアでも由緒ある鍛冶屋です」


「へぇ…確かに値段以上だな…今度見に行ってみよ~」


「店主は新しい人が大好きです。それは冒険者だけでなく、全ての人が然り。是非顔を出してあげて下さい。95%の確率で店主は喜びます」


「おおたっけ」


魔導人形のマキアさん。姿形こそ私達とそっくりだけど、言動は機械らしさが残ってる。人間らしすぎず機械らしすぎない…うん、マキアさんはマキアさんだね。


「彼処はギルドファーム。依頼の受諾から交渉。そしてギルド設立を一挙に行う施設です。お二人も気が向いたらギルド設立も良いかもしれません」


「…ギルド…」


「俺達は旅人だからなぁ…」


ギルド…あれば楽しいだろうけど、私達は一つの場所にはずっと居られない。だから、創るなら、旅が終わってからだね。


「ステンリアの特産物はパン、ワイン、そして羊毛です。羊毛で作られた織物は各国に人気な輸出物として名高く、パンとワインはステンリアの気候でしか育たない特別な小麦粉と葡萄を使い、人気の食品となっています。折角です。彼処にお邪魔しましょう。それが最適と答えが出ています」


「あ、マキア待って!あのお店は、とても人気なパン屋さんでね。顔見知りなら、奥でを振る舞ってくれるんだ」


「…?いいもの?」


「なんだそれ!面白え!行こうぜ!風華!!」


兄さんは我先にとマキアさんの後を追っていった。もう少し落ち着きがあってもいいと思うんだけど…まあ、それが兄さんだから仕方ないね

ドアを開けると、鈴のカランコロンって言う心地良い音が響いて、優しそうなお爺さんと美味しそうなパンの匂いが私達を迎えてくれた。


「おお、ジャックの坊ちゃん。よく来たの。いらっしゃい。お客さんか?」


「うん。ボクの命の恩人なんだ。男の子がライハ君で女の子がフウカちゃん。二人とも、此方は店主のフランシスコさん。彼が焼くパンは絶品だよ」


「ホッホッホ、そう言われては腕が鳴るわい。どれ、四人とも奥で待っていなさい。儂のとっておきを振る舞ってやろう。そうだ、ライハ君にフウカさん。好きなジャムはあるかい?」


ジャム?あんまり食べる機会がないけど…あれだよね?果物をお砂糖で煮た甘いソースみたいな美味しいやつ…師匠やヴィクトールさんが偶に食べさせてくれたお菓子に乗ってた。


「私は苺」


「俺はラズベリー!」


「ふむ、ありがとう。では、腕によりを掛けよう。奥に行っていなさい」


お店は全て木で出来てて…童話に出てくる小人の家みたいに可愛い。奥には切株を模してるのかな…?丸い椅子が五つ並んでる。机の木の素材を活かされて作ってある。何て言うんだっけこれ…えっと…ウッドクラフト?だっけ…お店の名前も…栗鼠リスの隠れ家…可愛い…



【No.1・ステンリア】

滞在期間 未定

特徴 新米の人にも街の人にも愛される場所が多い。ギルドの数も多くて依頼も豊富。

特産物 パン、ワイン、羊毛

人々 活気があって賑やか。優しい人がとても多い。リリーフィエとはまた違う雰囲気。

記載者 彼岸風華

記載場所 栗鼠の隠れ家
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