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零章 祝福された呪いの双子

二話、時間って経つの早いよな

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おはよう諸君。あれから時は本当に一瞬で過ぎ去って、俺達は今十歳だ!!

…あれからさ、マジで色々あったんだよ。母上はお星様になった。あんな綺麗で強い母上だからな!きっと今は夜空でイッチバン輝いてる一等星になってる筈だ!!間違いない!!

母上は元々重い病気だったらしい。死ぬ覚悟で俺達双子を産んでくれた。素晴らしい人だ。

最高の名前も残してくれたしな!!俺には雷葉らいはって言うカッコいい名前を。妹には風華ふうかって言う可愛い名前を…

俺達はどっちもオッドアイだった。カッコいいよな!俺が赤と黄色、風華が青と緑だ。そして何より顔が良いんだな俺達。え?自画自賛だって?事実だからしゃーねぇんだわ!黒髪にオッドアイ…ビジュ最高だぞ!?

まあ、集落の奴等からしたらさ、忌み嫌う対象でしかねぇんだけど。俺達は予想通り、激しく差別された。食糧とかの分前も無し。だから俺達は二人で支え合って生きてる。でも、もうすぐこの集落から出て行く予定だ!!獣を狩ってその皮とかで作った嗜好品を売って金を貯めたんだよ。大変だったけど、風華を守る為なら安いもんだぜ!!


「兄さん。風の精が騒がしい。出発は急いだ方がいいかも」


「うお!?風華、いつの間に帰ってきてたんだよ…」


「今さっき。急いで、あの子達が騒がしい時は決まって嫌な事が起こる」


確かに今日は風が強い。ボロボロで今にも崩れそうな俺達の家はガタガタと音を立てている。


「分かった。風華、支度は?」


「持ち物何て、薬とお金、食糧くらいだから。もう行ける」


「了解、待ってろ。兄ちゃんもすぐ準備するから」


妖の子…それはこの集落特有の呼び方らしい。母上が教えてくれた。外の世界では、こう言った特異な力を持つ者を御使みつかいと呼ぶらしい。

本来、類稀なる力を持った御使は産まれたら重宝されるらしいが…此処は例外中の例外。逆に迫害されてるよ。

御使は産まれた際、人とは違う何かを持っているらしい。俺達のオッドアイもその一つだ。他にも、生まれながらケモ耳が生えていたり、角が生えていたり…主に見た目に何らかの違いがあるらしい。良くわからんけどな。

俺達が与えられた力。これを神力じんりきと呼ぶ。

何でも、数千年前、神々が人間に戦いを挑んでいた事があったらしい。乱戦は続き、それを見兼ねた天使が、人の子に特別な力を与えた事から御使は産まれ、今も稀にその力を宿した子供が産まれるのだそうだ。

地域、血筋、年齢…全てが関係なく、本当に突然変異的に産まれてくる御使。何故今も尚産まれ続けているのかは分からないが、年々数は減っているらしい。

因みに俺達の神力は精霊スピリットだ!本来、一つの人間に宿る力を俺達は二人で分けられている。俺は炎と雷の精霊を。風華は水と風の精霊と繋がっている。これが判明したのは母上が亡くなる少し前の事だ。

…色々な国を見れば、忌み嫌われている俺達にも居場所は出来るだろうか…否、作るしかないよな。俺達は二人で一つ…一緒なら怖い物なんてないさ。


「行こうか。風華」


「うん。兄さん」


此処からだ。俺達の世界見聞録は…!!



【No.0・山奥の集落】

滞在期間 十年

特徴 御使について、正しい知識は皆無。連携は取れる良い集落ではある。御使を妖の子と仮称。

特産物 山菜?薬となる薬草は豊富。魚は美味い。

人々 古典的な頭の硬い老人が多い。優しい人も少数だがいる。御使に恐怖を抱いている者が多い。

記載者 彼岸雷葉

記載場所 彼岸家、居間
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