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ただ二人でそばにいる
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しばらくそうして甘い痺れを堪能していたけど、ぼんやりしながらもこちらに向ける瞳に気づいた。どこか物足りなさそうな、ねだるような視線。
俺は一度結月から離れ、自分の荷物を漁る。大きめのタオルとコンドームを取り出した。
急にできた空き時間でジムを利用することがあるから、タオルはいつも持ち歩いていた。ホテルのシーツを汚すことは避けたいため、結月の体の下に敷く。
十分すぎるほど昂っている熱にコンドームを付けると、うつ伏せにした結月の腰を持ち上げた。
後ろからの光景もこんなにエロいんだなと密かに喉を鳴らす。今すぐにでも結月とひとつになりたいのに、懸念があった。
「悪い結月、ローションないけど平気そうか?」
「ん……はい、大丈夫です。入れてください、トキオさん」
「っ、わかった、ゆっくり入れるな」
首を捻り俺を見る瞳は早く早くと訴える。痛みがないよう、押し付けた熱をゆっくり結月の中へ進めた。
「んっ、あぁっ、はいって、くる……っ」
「っ、はぁっ」
だらりと脱力していた結月は耐えるようにシーツを握る。痛いのかと思ったが、聞こえるのは甘い喘ぎだった。
「大丈夫そうか?」
「っはい、きもちいいです……あっ、ん」
気持ち良いとこぼす結月に安心し、ゆっくりゆっくり腰を進める。焦れったさで体にこもった熱が暴れだしそうだった。
やっと根元までおさまり、大きく息を吐く。
「動かすぞ」
「っ、ん、あ、ああっ」
小刻みに抜き差ししながら唇で背中に吸い付く。ちゅっ、ちゅっ、と何度もキスをし、舌で舐めつけた。同時に中も擦る。
「はぁっ、あ、んっ」
「俺も気持ち良いよ、結月っ」
自分よりも細い腰に手を置き、抜けそうなくらいまで体を引く。そこからいっきに奥へ押し入った。
「あぁっ、あっ、んんっ」
「はぁっ」
奥へ奥へ。結月を満たすために、結月で満たされるために俺は腰を打ち付ける。甘い痺れは頭からつま先まで全身に広がり、じんじんとした疼きを生んだ。
「あぁっ、んぅ……トキオさん、すきっ、すきっ」
「っ」
堪えきれないみたいに、何度も俺の名を呼び好きだと繰り返す結月。気持ち良さに溺れながらそんなことを言われては、体の内側を巡る熱がせり上ってくる。
結月も俺も限界が近いのだとわかった。
「俺も好きだ……結月、好きだっ」
浅いところからズンっと奥へねじ込む。その瞬間、俺は考える前に体を屈めていた。結月のうなじに唇を寄せ、柔らかな肌に歯を立てる。ついにうなじに噛み付いた。
「あっあぁっ、んんーっ」
「はっ」
気持ち良くて、幸せで、胸に熱いものが込み上げる。腕の中に結月はいるのにもっと存在を近くに感じたくなる。
離れたくない。ずっとそばにいてほしい。そんな子供のわがままみたいな感情が苦しいくらい胸を締めつけた。
「はぁっ、はぁっ」
俺も結月も熱を吐き出す。しばらくお互い何も喋れないだろうと思った。荒い呼吸を整えながら、ただ結月の体温を感じる。
俺は無意識に、シーツの上に垂れているふわふわの耳に手を持っていく。優しく、撫で付けるように手の甲をすべらせた。
シャッター音が繰り返されている。暑く感じるほどの眩しい照明。それを受ける俺たちの姿がカメラで切り取られていく。
「はーい、いいよ、その調子」
カウンターチェアに座りながら、少しずつポーズを変える。肩に置かれた手に内心くすぐったさを覚えていたが、顔には出さないように口元を引き締めた。
「ちょっと視線合わせてみてー」
カメラマンからの指示で俺は首を捻る。斜め上に視線を持ち上げると、数え切れないくらい見つめ合ってきた瞳があった。
「結月、緊張は解けたか?」
「す、少しなら……」
結月にとって初めての撮影。二人一緒の方が結月も安心できるだろうというのと、世間を騒がせた二人なら注目を集めるという理由で、撮影には俺も参加していた。
真っ白なセットの中央にカウンターチェアがひとつ置いてあるだけのシンプルな空間。ファッション誌の撮影だからシンプルながらも洗練されたお洒落さがあった。
二人とも白いジャケットのセットアップで、俺は紫の襟付きシャツ、結月は鮮やかな青いタートルネックシャツを着ている。濃くて鮮やかな青は、結月のミルクティー色の髪と耳に良く合っていた。
「ただ二人でそばにいる。いつも通りだろ?」
「……はい、僕とトキオさんのいつも通りですね」
少しだけ頬をゆるめた結月からぎこちなさが抜ける。自然と頬に手を伸ばしそうになって、俺は慌てて腕を引いた。まさか撮影中に人に触れたくなるなんて、以前の俺は想像もしなかっただろう。
鳴り続けるシャッター音、そばにある大好きな人の体温。俺にとっても特別な撮影をこなしながら、今夜のことを考えてしまう。
美味しいものを食べて、ゆっくり風呂に浸かって、腕の中の結月に何度も触れて。お互いに抱きしめ合いながら、眠るまで癒しの時間を堪能する俺たちの姿が、簡単に想像できた。
俺は一度結月から離れ、自分の荷物を漁る。大きめのタオルとコンドームを取り出した。
急にできた空き時間でジムを利用することがあるから、タオルはいつも持ち歩いていた。ホテルのシーツを汚すことは避けたいため、結月の体の下に敷く。
十分すぎるほど昂っている熱にコンドームを付けると、うつ伏せにした結月の腰を持ち上げた。
後ろからの光景もこんなにエロいんだなと密かに喉を鳴らす。今すぐにでも結月とひとつになりたいのに、懸念があった。
「悪い結月、ローションないけど平気そうか?」
「ん……はい、大丈夫です。入れてください、トキオさん」
「っ、わかった、ゆっくり入れるな」
首を捻り俺を見る瞳は早く早くと訴える。痛みがないよう、押し付けた熱をゆっくり結月の中へ進めた。
「んっ、あぁっ、はいって、くる……っ」
「っ、はぁっ」
だらりと脱力していた結月は耐えるようにシーツを握る。痛いのかと思ったが、聞こえるのは甘い喘ぎだった。
「大丈夫そうか?」
「っはい、きもちいいです……あっ、ん」
気持ち良いとこぼす結月に安心し、ゆっくりゆっくり腰を進める。焦れったさで体にこもった熱が暴れだしそうだった。
やっと根元までおさまり、大きく息を吐く。
「動かすぞ」
「っ、ん、あ、ああっ」
小刻みに抜き差ししながら唇で背中に吸い付く。ちゅっ、ちゅっ、と何度もキスをし、舌で舐めつけた。同時に中も擦る。
「はぁっ、あ、んっ」
「俺も気持ち良いよ、結月っ」
自分よりも細い腰に手を置き、抜けそうなくらいまで体を引く。そこからいっきに奥へ押し入った。
「あぁっ、あっ、んんっ」
「はぁっ」
奥へ奥へ。結月を満たすために、結月で満たされるために俺は腰を打ち付ける。甘い痺れは頭からつま先まで全身に広がり、じんじんとした疼きを生んだ。
「あぁっ、んぅ……トキオさん、すきっ、すきっ」
「っ」
堪えきれないみたいに、何度も俺の名を呼び好きだと繰り返す結月。気持ち良さに溺れながらそんなことを言われては、体の内側を巡る熱がせり上ってくる。
結月も俺も限界が近いのだとわかった。
「俺も好きだ……結月、好きだっ」
浅いところからズンっと奥へねじ込む。その瞬間、俺は考える前に体を屈めていた。結月のうなじに唇を寄せ、柔らかな肌に歯を立てる。ついにうなじに噛み付いた。
「あっあぁっ、んんーっ」
「はっ」
気持ち良くて、幸せで、胸に熱いものが込み上げる。腕の中に結月はいるのにもっと存在を近くに感じたくなる。
離れたくない。ずっとそばにいてほしい。そんな子供のわがままみたいな感情が苦しいくらい胸を締めつけた。
「はぁっ、はぁっ」
俺も結月も熱を吐き出す。しばらくお互い何も喋れないだろうと思った。荒い呼吸を整えながら、ただ結月の体温を感じる。
俺は無意識に、シーツの上に垂れているふわふわの耳に手を持っていく。優しく、撫で付けるように手の甲をすべらせた。
シャッター音が繰り返されている。暑く感じるほどの眩しい照明。それを受ける俺たちの姿がカメラで切り取られていく。
「はーい、いいよ、その調子」
カウンターチェアに座りながら、少しずつポーズを変える。肩に置かれた手に内心くすぐったさを覚えていたが、顔には出さないように口元を引き締めた。
「ちょっと視線合わせてみてー」
カメラマンからの指示で俺は首を捻る。斜め上に視線を持ち上げると、数え切れないくらい見つめ合ってきた瞳があった。
「結月、緊張は解けたか?」
「す、少しなら……」
結月にとって初めての撮影。二人一緒の方が結月も安心できるだろうというのと、世間を騒がせた二人なら注目を集めるという理由で、撮影には俺も参加していた。
真っ白なセットの中央にカウンターチェアがひとつ置いてあるだけのシンプルな空間。ファッション誌の撮影だからシンプルながらも洗練されたお洒落さがあった。
二人とも白いジャケットのセットアップで、俺は紫の襟付きシャツ、結月は鮮やかな青いタートルネックシャツを着ている。濃くて鮮やかな青は、結月のミルクティー色の髪と耳に良く合っていた。
「ただ二人でそばにいる。いつも通りだろ?」
「……はい、僕とトキオさんのいつも通りですね」
少しだけ頬をゆるめた結月からぎこちなさが抜ける。自然と頬に手を伸ばしそうになって、俺は慌てて腕を引いた。まさか撮影中に人に触れたくなるなんて、以前の俺は想像もしなかっただろう。
鳴り続けるシャッター音、そばにある大好きな人の体温。俺にとっても特別な撮影をこなしながら、今夜のことを考えてしまう。
美味しいものを食べて、ゆっくり風呂に浸かって、腕の中の結月に何度も触れて。お互いに抱きしめ合いながら、眠るまで癒しの時間を堪能する俺たちの姿が、簡単に想像できた。
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