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声劇
【声劇:二人】ヨミガエってしまうよ【元恋人・死に別れ】
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「ミナ」(♀)・・・彼女。コウに対して負い目を感じている
「コウ」(♂)・・・彼氏。ミナに一途
ある日の午後に再開した二人。しかし、その様子はどこか変で…
※2024/11/6 セリフ表記を変更。(「」から:)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ある繁華街の道端。人が行き交っている)
コウ:久しぶり。ミナ
ミナ:…うそ。コウ?
コウ:なんだよ。そんな狐につままれたような顔して。
ミナ:いや、だって…。
コウ:あれ?もしかして話かけちゃまずかった?
ミナ:いや…別に。
コウ:じゃ、いいよね?これから暇?
ミナ:うん、まあね。今から行くところはあるけど時間はある。
コウ:じゃ、そこらのカフェにでも入らない?ちょっと話そうよ。
ミナ:あ…、うん。わかった。
(カフェに入店する2人)
コウ:いつものアイスティーでいいのかな?
ミナ:うん。
コウ:じゃあ僕はケーキもつけようかな。チョコレートでいい?
ミナ:なんであげるの前提なのさ。
コウ:好きでしょ?チョコケーキ。
ミナ:…今は食べる気分じゃないよ。
コウ:そう。じゃあ店員さん呼ぼっか。
コウ:すみません、アイスティーとコーヒーのケーキセット、チョコケーキで。
(少しの間)
ミナ:結局頼むんかい。
コウ:いいよ、僕が食べるし。
コウ:…で、最近どう?最後に会ったのって確か…。」
ミナ:1ヶ月前。おととい仕事やめた。今日は単に気分転換ってだけ。以上。
コウ:なんだよ、冷たいな。いつもそうやって端的に話しちゃうんだから。
ミナ:だって無駄じゃない。
コウ:言っただろ?話したいって。
ミナ:…じゃ、あんたの方はどうなの?
コウ:何にも変わらない。ただただぼーっとしてる。正直暇だよ。
ミナ:…やっぱり、まだあそこにいるの?
コウ:そうさ、ずっと立ってる。でも誰とも会わないし話してない。今日久々に人と喋ったよ。
ミナ:そうなんだ。
(少しの間)
ミナ:ねえ、あの時さ…
コウ:お、頼んだやつ来たね。
コウ:おお、なかなかおしゃれだね。美味しそう。
ミナ:…。
コウ:あれ、飲まないの?
ミナ:…。
コウ:おーい、ミナ?話聞いてる?
ミナ:……んで。
コウ:…え?
ミナ:(食い気味で)なんで今になって出てきたの!?
(少しの間)
コウ:…やっと話してくれる気になった?
ミナ:…聞かせてよ。あの時のこと。私何にも知らないんだよ。…知りたくなかったんだよ。この1ヶ月間、ずっと逃げ続けてきた…。あんたが急にいなくなって、訳わかんないんだよ私は…!!
コウ:ごめんね。急だったよね。でも、僕も本意じゃなかったさ。
ミナ:じゃあ、あんたが飛び出した訳じゃないの…?
コウ:ああ…、いや。半分は僕が飛び出したんだ。あの時、まだ横断歩道に人がいてさ。その人を突き飛ばしたらそのまま…。って感じ?
ミナ:…またそんなお節介焼いてたのね。
コウ:そうだね。でも、いつかミナに言われたとおり、自分の身を滅ぼす羽目になっちゃったな。
ミナ:…でも。なんとなくわかってたよ。どーせ誰かを庇って死ぬみたいなテンプレを踏んでるんだろうなーって。
コウ:テンプレとはひどいな。人の命を救ったことについては褒めてくれないんだ?
ミナ:あんたは偉いよ。自分のことなんていつも二の次で、困ってる人を見過ごせなくて。いっつもヒーローみたいだったよ。
ミナ:…でもさ、やっぱりバカだよ。なんでそんなことしたの?自分が死んだ後、どうなるのか何にも思わなかったの?」
ミナ:私が、あんたが死んでもなんとも思わないって、思ってたの?
コウ:それは…。
ミナ:あんたっていっつもそう!そうやって他人にかまけて、自分のことを大切にしない!私のことだって!
コウ:(食い気味で)それは違う。
コウ:それだけは違うんだ。ミナのことは大切だ。だから…。
(少しの間)
ミナ:あんたが死んでから、何にも手がつかなくなったよ。仕事も、友達関係も、全部。
ミナ:私、思ったよりあんたが死んで悲しかったんだよ。事故があったあの日から、ただただ部屋でぼーっとしてた。私ね、あんたが私の全てだったって気づいたの。
ミナ:だからね…。だから、
コウ:死のうとしたの?
ミナ:…。
コウ:僕と一緒になろうとしてくれてたんだよね?
ミナ:…。
コウ:なんとなくわかってたよ。ミナならそうするって。これからどこか遠いところで死のうと思ったんでしょ?…いやあ、僕って意外と愛されてるんだね。もう死んだって言うのに。
ミナ:…遠いとこじゃないよ。
コウ:…。
ミナ:あんたとおんなじところ。あの横断歩道に飛び出してやろうと思ったの。
(しばらく間)
コウ:…僕はさ、命の使い方はその人自身が考えるべきだと思うんだ。だから、もし本当にミナがそうしたいのなら、そうするのも悪くないと思う。
コウ:でもね、その命は君だけのものじゃないと思う。ミナはいつもたくさんの人に囲まれて、いろんな人に優しくして、頼られてる。きっと、ミナを必要とする人がたくさんいるはずだ。
コウ:ミナにとっての僕が、そうだったように。
ミナ:……ほんと、最後まで自分勝手なこと言うわね。
コウ:ああもちろん。自分勝手で他人優先なのはヒーローとして当たり前だからね。
ミナ:心配する人のこと考えないのは、ヒーローとして当たり前なのかしら?
コウ:それはごめん。謝る。本当にごめんなさい。
ミナ:ったく、人助けて死ぬとか…。ほんとお人好しよね。やれ命を大事にしろだの、どの面下げて言ってんのよ。
コウ:ははは、それはお互い様だと思いたいけどね。
ミナ:私はまだ未遂ですー。
コウ:どうだか。
ミナ:第一、あそこで死んで何にも後悔とかない訳?私に後を追って欲しいとかもなかったわけ?
コウ:もちろん、人を守って死んだことに後悔はないし、さっき言ったとおりミナには生きていてほしいさ。
コウ:…でも、実を言うなら…。まだもっと生きたかったかな。
ミナ:…え?
コウ:まだ、ミナといっぱい過ごしたかった。もっとそばで、もっと、ずっと近くで。
(少しの間)
ミナ:…ずるいよ、なんでそんなこと言っちゃうのさ…。これならいっそ、さっさと消えちまえばよかったのに…。
コウ:消えても、また会いにくるよ。何度でも蘇ってやる。君のためならいくらでも。
ミナ:…あっそ。
(しばらく間)
コウ:そろそろ、行かなきゃ。
ミナ:…コウ。
コウ:ん?なに?
ミナ:私、生きるよ。いつか、またあんたに会える日まで。それまでしっかり待ってなさい。
コウ:そっか。じゃ、気長に待ってるよ。
コウ:じゃあね。ミナ。
ミナ:うん、じゃあね。
(しばらく間)
コウ:あ、チョコケーキ食べちゃって。好きでしょ?
ミナ:…大好き。
「コウ」(♂)・・・彼氏。ミナに一途
ある日の午後に再開した二人。しかし、その様子はどこか変で…
※2024/11/6 セリフ表記を変更。(「」から:)
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(ある繁華街の道端。人が行き交っている)
コウ:久しぶり。ミナ
ミナ:…うそ。コウ?
コウ:なんだよ。そんな狐につままれたような顔して。
ミナ:いや、だって…。
コウ:あれ?もしかして話かけちゃまずかった?
ミナ:いや…別に。
コウ:じゃ、いいよね?これから暇?
ミナ:うん、まあね。今から行くところはあるけど時間はある。
コウ:じゃ、そこらのカフェにでも入らない?ちょっと話そうよ。
ミナ:あ…、うん。わかった。
(カフェに入店する2人)
コウ:いつものアイスティーでいいのかな?
ミナ:うん。
コウ:じゃあ僕はケーキもつけようかな。チョコレートでいい?
ミナ:なんであげるの前提なのさ。
コウ:好きでしょ?チョコケーキ。
ミナ:…今は食べる気分じゃないよ。
コウ:そう。じゃあ店員さん呼ぼっか。
コウ:すみません、アイスティーとコーヒーのケーキセット、チョコケーキで。
(少しの間)
ミナ:結局頼むんかい。
コウ:いいよ、僕が食べるし。
コウ:…で、最近どう?最後に会ったのって確か…。」
ミナ:1ヶ月前。おととい仕事やめた。今日は単に気分転換ってだけ。以上。
コウ:なんだよ、冷たいな。いつもそうやって端的に話しちゃうんだから。
ミナ:だって無駄じゃない。
コウ:言っただろ?話したいって。
ミナ:…じゃ、あんたの方はどうなの?
コウ:何にも変わらない。ただただぼーっとしてる。正直暇だよ。
ミナ:…やっぱり、まだあそこにいるの?
コウ:そうさ、ずっと立ってる。でも誰とも会わないし話してない。今日久々に人と喋ったよ。
ミナ:そうなんだ。
(少しの間)
ミナ:ねえ、あの時さ…
コウ:お、頼んだやつ来たね。
コウ:おお、なかなかおしゃれだね。美味しそう。
ミナ:…。
コウ:あれ、飲まないの?
ミナ:…。
コウ:おーい、ミナ?話聞いてる?
ミナ:……んで。
コウ:…え?
ミナ:(食い気味で)なんで今になって出てきたの!?
(少しの間)
コウ:…やっと話してくれる気になった?
ミナ:…聞かせてよ。あの時のこと。私何にも知らないんだよ。…知りたくなかったんだよ。この1ヶ月間、ずっと逃げ続けてきた…。あんたが急にいなくなって、訳わかんないんだよ私は…!!
コウ:ごめんね。急だったよね。でも、僕も本意じゃなかったさ。
ミナ:じゃあ、あんたが飛び出した訳じゃないの…?
コウ:ああ…、いや。半分は僕が飛び出したんだ。あの時、まだ横断歩道に人がいてさ。その人を突き飛ばしたらそのまま…。って感じ?
ミナ:…またそんなお節介焼いてたのね。
コウ:そうだね。でも、いつかミナに言われたとおり、自分の身を滅ぼす羽目になっちゃったな。
ミナ:…でも。なんとなくわかってたよ。どーせ誰かを庇って死ぬみたいなテンプレを踏んでるんだろうなーって。
コウ:テンプレとはひどいな。人の命を救ったことについては褒めてくれないんだ?
ミナ:あんたは偉いよ。自分のことなんていつも二の次で、困ってる人を見過ごせなくて。いっつもヒーローみたいだったよ。
ミナ:…でもさ、やっぱりバカだよ。なんでそんなことしたの?自分が死んだ後、どうなるのか何にも思わなかったの?」
ミナ:私が、あんたが死んでもなんとも思わないって、思ってたの?
コウ:それは…。
ミナ:あんたっていっつもそう!そうやって他人にかまけて、自分のことを大切にしない!私のことだって!
コウ:(食い気味で)それは違う。
コウ:それだけは違うんだ。ミナのことは大切だ。だから…。
(少しの間)
ミナ:あんたが死んでから、何にも手がつかなくなったよ。仕事も、友達関係も、全部。
ミナ:私、思ったよりあんたが死んで悲しかったんだよ。事故があったあの日から、ただただ部屋でぼーっとしてた。私ね、あんたが私の全てだったって気づいたの。
ミナ:だからね…。だから、
コウ:死のうとしたの?
ミナ:…。
コウ:僕と一緒になろうとしてくれてたんだよね?
ミナ:…。
コウ:なんとなくわかってたよ。ミナならそうするって。これからどこか遠いところで死のうと思ったんでしょ?…いやあ、僕って意外と愛されてるんだね。もう死んだって言うのに。
ミナ:…遠いとこじゃないよ。
コウ:…。
ミナ:あんたとおんなじところ。あの横断歩道に飛び出してやろうと思ったの。
(しばらく間)
コウ:…僕はさ、命の使い方はその人自身が考えるべきだと思うんだ。だから、もし本当にミナがそうしたいのなら、そうするのも悪くないと思う。
コウ:でもね、その命は君だけのものじゃないと思う。ミナはいつもたくさんの人に囲まれて、いろんな人に優しくして、頼られてる。きっと、ミナを必要とする人がたくさんいるはずだ。
コウ:ミナにとっての僕が、そうだったように。
ミナ:……ほんと、最後まで自分勝手なこと言うわね。
コウ:ああもちろん。自分勝手で他人優先なのはヒーローとして当たり前だからね。
ミナ:心配する人のこと考えないのは、ヒーローとして当たり前なのかしら?
コウ:それはごめん。謝る。本当にごめんなさい。
ミナ:ったく、人助けて死ぬとか…。ほんとお人好しよね。やれ命を大事にしろだの、どの面下げて言ってんのよ。
コウ:ははは、それはお互い様だと思いたいけどね。
ミナ:私はまだ未遂ですー。
コウ:どうだか。
ミナ:第一、あそこで死んで何にも後悔とかない訳?私に後を追って欲しいとかもなかったわけ?
コウ:もちろん、人を守って死んだことに後悔はないし、さっき言ったとおりミナには生きていてほしいさ。
コウ:…でも、実を言うなら…。まだもっと生きたかったかな。
ミナ:…え?
コウ:まだ、ミナといっぱい過ごしたかった。もっとそばで、もっと、ずっと近くで。
(少しの間)
ミナ:…ずるいよ、なんでそんなこと言っちゃうのさ…。これならいっそ、さっさと消えちまえばよかったのに…。
コウ:消えても、また会いにくるよ。何度でも蘇ってやる。君のためならいくらでも。
ミナ:…あっそ。
(しばらく間)
コウ:そろそろ、行かなきゃ。
ミナ:…コウ。
コウ:ん?なに?
ミナ:私、生きるよ。いつか、またあんたに会える日まで。それまでしっかり待ってなさい。
コウ:そっか。じゃ、気長に待ってるよ。
コウ:じゃあね。ミナ。
ミナ:うん、じゃあね。
(しばらく間)
コウ:あ、チョコケーキ食べちゃって。好きでしょ?
ミナ:…大好き。
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