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王女リファイアの事情
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街で徹夜で飲み明かしたあとの明朝、村に帰ったオレは早速SNSの説明書を読み新規登録をすることにした。
このSNSは結婚を前提とした紳士淑女の交流を目的としています……最終的に交流した誰か一人とは結婚していただくことが使用の条件です……結婚をしないでSNSの使用を辞めることはできません。どうか本当に結婚を望む方だけが使用されますようによろしくお願いいたします。
……と説明書の冒頭には書いてあった。まあ、構うまい。気になるあの子には……もう将来を約束した彼とやらがいるんだ……さっさと他のいい女の子と結婚して、見返してやるんだ……。
魔方陣を地面に魔法のペンで魔法のインクを使って書くと、一人の女性とつながることができるという。その魔方陣と相手の魔方陣がつながり、自由に行き来ができるようになる……という仕掛けだ。インクが続くかぎり、魔方陣は何個でも描ける。
「ま、やってみるか……」
オレは若干興奮気味に説明書通りに魔方陣をその魔法のペンで家の土間に書いた。
「……最後にあなたが望む宝石の数を魔方陣に書き入れてください……か?」
……宝石ねぇ……男だったら可能性は無限大にしたいよな。
「よし! 書き終えたぞ……」
オレは無限大を意味する記号を魔方陣に書き入れた。
すると……魔方陣が青白く光り出す。女の子がここから出てくる……ってことなんだろうか? かたずをのんで、ずーっと待ち続ける。10分ぐらい経ったかな?
……魔方陣が青白く光り出す。女の子がここから出てくる……ってことなんだろうか? かたずをのんで、ずーっと待ち続ける。10分ぐらい経ったかな?
「……何もおきねぇじゃねえかよ!」
オレは地団駄を踏む、くそ、この魔方陣め!
ちくしょうが!
「こんな魔方陣!こんな魔方陣!まやかしじゃないか?」
そう言って、僕は魔方陣を崩そうと魔方陣に足を踏み入れた……。
そのとき次の瞬間僕の視界は青白い強烈な光でまぶしくなる……と次の瞬間僕は、僕の部屋じゃない空間にいた。
「……なんだ、ここは?やけに豪華な部屋だな……。そうか、あのSNSは本物だったわけか……」
僕の足下には魔方陣が描かれている。この魔方陣と僕の魔方陣がつながっている……ということなのだろうな。
「……女の子の部屋だな……」
かすかに心地よい香りが漂っている。オレたち庶民の部屋には使われることのない高貴な香りという感じがした。部屋はやたら広い。窓の外をみる……。なんだ、ここは?
「ここ、すごい地面から離れた……5階建ての石造りの建物の中じゃねーかよ」
それに……外には警備をする甲冑を着た兵士の姿がある。
と窓から外を覗いていると……。遠く後ろから若い女の子の声がかかった。
「……あのぉ。ひょっとして? SNSから来た殿方? ですよね」
驚いて振り返る。
「あ、ああ。そ、そうだよ?」
と声の方を見ると10歩ぐらい離れた距離にシンプルな白い、だがやや薄紅色のかかった絹の薄い生地をしたドレスのような服を着ている、美しい漆黒のロングヘアをしたオレと同い年ぐらいの少女がいた……。
「……私のほうは自己紹介は要らない……と思いますが……あなた様は?」
「オレはアル……村で果物を育てている。オレの育てた柑橘類は品質が良くて市場で高く売れるって評判なんだぜ。王家にも献上されたことがあるんだ……」
「……王家に……、それが本当なら……私もあなたの果物を口にしているのかもしれませんね」
「え?」
まさかとはおもうけどさ……
「あなた様は……この国の王女様……なのですか?」
下手な敬語混じりに突然なるオレ。嘘だろ? そんなことがあるのか?
「……なんてね? いくらなんでも嘘だろ?」
ずかずかと10歩ぐらい歩き、彼女との距離を詰める。そこにいたのは、一度街に似顔絵があったのを見たことがある……」
「……え……。リファイア王女さま?」
「はい、そうですよ……ところで、村人とは……込み入った嘘ですね。SNSが庶民に手が届くとは思えないです。何か裏があって本当のあなたを知らせてもらえていない……という事なのでしょうね……。はぁ……」
「な、なに言っているですか! 本当に村人ですよ! 嘘言ってどうするんです」
「……ではSNSの魔方陣を通ってあなたの家に行ってもよろしいですか?」
「い、いや、あんなむさ苦しい土間に王女様を迎えることなんて、できないっすよ」
「…………すいません。困らせてしまったみたいです。では、村人のアルさん……とこれからも呼ばせていただきます」
「信じてくださいよ! 村人です。本当に!」
「ふふ、いいですよ。無粋な詮索は……もうやめておきます」
「……なぜ王女さまはSNSなんかつかっているんです……」
「……なんでもなにも……使うように脅されています……」
「え?」
「しらじらしい!」
「本当にわからないですよ!」
「じゃ、言います。あなた方は、この国が欲しいのでしょ? 私と結婚を無理強いするつもりでしょ! ……あんまりです! あなたは、どうせ、この国を狙う帝国のどこかの貴族に決まっているのに!」
「……違いますよ……。帝国……とは平和がずっと続いてますよね……」
「庶民は……そう思っているでしょうね。なかなかの演技じゃないですか!」
「本当に本当にオレはこの国のただの村人ですよ!」
「……わかりました……。もう、いいです。今日は……帰ってください……。心の準備をしたいです。そのぐらいは許して…………うぅぅ」
彼女は泣き崩れてしまった。
「気まずいじゃねぇか……。まあ、いいや。帰るよ……。それにもう来ないから」
僕はそそくさと王女の脇を通りSNSの魔方陣に足を向け、自分の家の土間に戻った。
彼女とは二度と会うつもりはなかった。しかし、驚くべきことに、翌日彼女の方から僕に会いに来ることになる……。
このSNSは結婚を前提とした紳士淑女の交流を目的としています……最終的に交流した誰か一人とは結婚していただくことが使用の条件です……結婚をしないでSNSの使用を辞めることはできません。どうか本当に結婚を望む方だけが使用されますようによろしくお願いいたします。
……と説明書の冒頭には書いてあった。まあ、構うまい。気になるあの子には……もう将来を約束した彼とやらがいるんだ……さっさと他のいい女の子と結婚して、見返してやるんだ……。
魔方陣を地面に魔法のペンで魔法のインクを使って書くと、一人の女性とつながることができるという。その魔方陣と相手の魔方陣がつながり、自由に行き来ができるようになる……という仕掛けだ。インクが続くかぎり、魔方陣は何個でも描ける。
「ま、やってみるか……」
オレは若干興奮気味に説明書通りに魔方陣をその魔法のペンで家の土間に書いた。
「……最後にあなたが望む宝石の数を魔方陣に書き入れてください……か?」
……宝石ねぇ……男だったら可能性は無限大にしたいよな。
「よし! 書き終えたぞ……」
オレは無限大を意味する記号を魔方陣に書き入れた。
すると……魔方陣が青白く光り出す。女の子がここから出てくる……ってことなんだろうか? かたずをのんで、ずーっと待ち続ける。10分ぐらい経ったかな?
……魔方陣が青白く光り出す。女の子がここから出てくる……ってことなんだろうか? かたずをのんで、ずーっと待ち続ける。10分ぐらい経ったかな?
「……何もおきねぇじゃねえかよ!」
オレは地団駄を踏む、くそ、この魔方陣め!
ちくしょうが!
「こんな魔方陣!こんな魔方陣!まやかしじゃないか?」
そう言って、僕は魔方陣を崩そうと魔方陣に足を踏み入れた……。
そのとき次の瞬間僕の視界は青白い強烈な光でまぶしくなる……と次の瞬間僕は、僕の部屋じゃない空間にいた。
「……なんだ、ここは?やけに豪華な部屋だな……。そうか、あのSNSは本物だったわけか……」
僕の足下には魔方陣が描かれている。この魔方陣と僕の魔方陣がつながっている……ということなのだろうな。
「……女の子の部屋だな……」
かすかに心地よい香りが漂っている。オレたち庶民の部屋には使われることのない高貴な香りという感じがした。部屋はやたら広い。窓の外をみる……。なんだ、ここは?
「ここ、すごい地面から離れた……5階建ての石造りの建物の中じゃねーかよ」
それに……外には警備をする甲冑を着た兵士の姿がある。
と窓から外を覗いていると……。遠く後ろから若い女の子の声がかかった。
「……あのぉ。ひょっとして? SNSから来た殿方? ですよね」
驚いて振り返る。
「あ、ああ。そ、そうだよ?」
と声の方を見ると10歩ぐらい離れた距離にシンプルな白い、だがやや薄紅色のかかった絹の薄い生地をしたドレスのような服を着ている、美しい漆黒のロングヘアをしたオレと同い年ぐらいの少女がいた……。
「……私のほうは自己紹介は要らない……と思いますが……あなた様は?」
「オレはアル……村で果物を育てている。オレの育てた柑橘類は品質が良くて市場で高く売れるって評判なんだぜ。王家にも献上されたことがあるんだ……」
「……王家に……、それが本当なら……私もあなたの果物を口にしているのかもしれませんね」
「え?」
まさかとはおもうけどさ……
「あなた様は……この国の王女様……なのですか?」
下手な敬語混じりに突然なるオレ。嘘だろ? そんなことがあるのか?
「……なんてね? いくらなんでも嘘だろ?」
ずかずかと10歩ぐらい歩き、彼女との距離を詰める。そこにいたのは、一度街に似顔絵があったのを見たことがある……」
「……え……。リファイア王女さま?」
「はい、そうですよ……ところで、村人とは……込み入った嘘ですね。SNSが庶民に手が届くとは思えないです。何か裏があって本当のあなたを知らせてもらえていない……という事なのでしょうね……。はぁ……」
「な、なに言っているですか! 本当に村人ですよ! 嘘言ってどうするんです」
「……ではSNSの魔方陣を通ってあなたの家に行ってもよろしいですか?」
「い、いや、あんなむさ苦しい土間に王女様を迎えることなんて、できないっすよ」
「…………すいません。困らせてしまったみたいです。では、村人のアルさん……とこれからも呼ばせていただきます」
「信じてくださいよ! 村人です。本当に!」
「ふふ、いいですよ。無粋な詮索は……もうやめておきます」
「……なぜ王女さまはSNSなんかつかっているんです……」
「……なんでもなにも……使うように脅されています……」
「え?」
「しらじらしい!」
「本当にわからないですよ!」
「じゃ、言います。あなた方は、この国が欲しいのでしょ? 私と結婚を無理強いするつもりでしょ! ……あんまりです! あなたは、どうせ、この国を狙う帝国のどこかの貴族に決まっているのに!」
「……違いますよ……。帝国……とは平和がずっと続いてますよね……」
「庶民は……そう思っているでしょうね。なかなかの演技じゃないですか!」
「本当に本当にオレはこの国のただの村人ですよ!」
「……わかりました……。もう、いいです。今日は……帰ってください……。心の準備をしたいです。そのぐらいは許して…………うぅぅ」
彼女は泣き崩れてしまった。
「気まずいじゃねぇか……。まあ、いいや。帰るよ……。それにもう来ないから」
僕はそそくさと王女の脇を通りSNSの魔方陣に足を向け、自分の家の土間に戻った。
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